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20.兄2人(6)
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「ルヴィ」
王宮の応接室で、カルロに呼ばれていつもの様にその膝に乗ろうとするシルヴィアを、傍に控えていたバルトロメオが咎める。
「シルヴィア、不敬です」
「なぜだ。俺がいいと言っているのに」
「カルロ様も、いつまでもシルヴィアをそのように扱っていただいては困ります。そろそろ嫁にやる準備も――」
「嫁!?ルヴィを誰かにくれてやると言うのか!!あの好色ジジイの魔の手をようやく排除したのに!!」
「好色ジジ……カルロ様。言葉が過ぎます。別に政略結婚させようというのではありませんよ。ですが、シルヴィアももうそういう歳です。そうでなくても、カルロ様と私の地位目当てに、シルヴィアには沢山の結婚の申し込みが。面倒なことになる前に、シルヴィアが納得できる縁談を調えたほうが良いかと」
「ダメだ!ルヴィはどこにも嫁にやらん」
「誰目線ですか、カルロ様」
まるで娘の父親の様な台詞をはいて、横に立つシルヴィアの腰を引いて膝上に抱き込む。
そこまで密着しておいて、一切の男女の色を感じさせない二人の様子に、バルトロメオがため息をつく。
「ですから、過度の触れ合いは止してください、と」
こちらに来なさい。と、バルトロメオがシルヴィアに命じる。シルヴィアの目にも、カルロ(と、自分)の分が悪いことはわかる。おとなしく従おうとカルロの腕を抜けようとするが、その腕に更に力がこもる。
「カルロ様……?」
「様はいらない」
顔を伏せているカルロの表情は見えない。
「カルロ?離して」
「嫌だ」
シルヴィアはカルロの腕と身体の隙間からバルトロメオに助けを求める。当惑した様子の妹をこれ以上責めることも出来ず、バルトロメオはこの場での説得を諦める。
「わかりました。もう今日はそのままでいいですから。シルヴィアの縁談についてもとりあえず保留で」
バルトロメオが降参したのを見て、カルロがようやく力を緩める。
「やっと面倒な手続きやらなにやらがひと段落付いたんだ。煩いこと言わずに茶くらい好きに飲ませろ」
シルヴィアを抱きかかえたまま、紅茶を手にしたカルロが背もたれに身体を預ける。
頭をそっと引き寄せられたシルヴィアは、そのままカルロの胸に頭をつけて凭れ掛かる。
「折角ここまできたんだ。ルヴィは嫁になんかいかずに、ずっと俺達のところにいればいい」
天井の照明辺りを見ながら、カルロが呟く。その内容に、打つ手なし、とバルトロメオが肩を竦めた。
王宮の応接室で、カルロに呼ばれていつもの様にその膝に乗ろうとするシルヴィアを、傍に控えていたバルトロメオが咎める。
「シルヴィア、不敬です」
「なぜだ。俺がいいと言っているのに」
「カルロ様も、いつまでもシルヴィアをそのように扱っていただいては困ります。そろそろ嫁にやる準備も――」
「嫁!?ルヴィを誰かにくれてやると言うのか!!あの好色ジジイの魔の手をようやく排除したのに!!」
「好色ジジ……カルロ様。言葉が過ぎます。別に政略結婚させようというのではありませんよ。ですが、シルヴィアももうそういう歳です。そうでなくても、カルロ様と私の地位目当てに、シルヴィアには沢山の結婚の申し込みが。面倒なことになる前に、シルヴィアが納得できる縁談を調えたほうが良いかと」
「ダメだ!ルヴィはどこにも嫁にやらん」
「誰目線ですか、カルロ様」
まるで娘の父親の様な台詞をはいて、横に立つシルヴィアの腰を引いて膝上に抱き込む。
そこまで密着しておいて、一切の男女の色を感じさせない二人の様子に、バルトロメオがため息をつく。
「ですから、過度の触れ合いは止してください、と」
こちらに来なさい。と、バルトロメオがシルヴィアに命じる。シルヴィアの目にも、カルロ(と、自分)の分が悪いことはわかる。おとなしく従おうとカルロの腕を抜けようとするが、その腕に更に力がこもる。
「カルロ様……?」
「様はいらない」
顔を伏せているカルロの表情は見えない。
「カルロ?離して」
「嫌だ」
シルヴィアはカルロの腕と身体の隙間からバルトロメオに助けを求める。当惑した様子の妹をこれ以上責めることも出来ず、バルトロメオはこの場での説得を諦める。
「わかりました。もう今日はそのままでいいですから。シルヴィアの縁談についてもとりあえず保留で」
バルトロメオが降参したのを見て、カルロがようやく力を緩める。
「やっと面倒な手続きやらなにやらがひと段落付いたんだ。煩いこと言わずに茶くらい好きに飲ませろ」
シルヴィアを抱きかかえたまま、紅茶を手にしたカルロが背もたれに身体を預ける。
頭をそっと引き寄せられたシルヴィアは、そのままカルロの胸に頭をつけて凭れ掛かる。
「折角ここまできたんだ。ルヴィは嫁になんかいかずに、ずっと俺達のところにいればいい」
天井の照明辺りを見ながら、カルロが呟く。その内容に、打つ手なし、とバルトロメオが肩を竦めた。
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