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第4章
第三の年 神歴第一の年 陸
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第二の世界は、神の再創造によって、奇跡と祈りに満ちた楽園のような場所だった。
人々は日々神に感謝し、与えられた恵みの中で幸せに暮らしていた。
石畳の街並みや煉瓦造りの建物が広がり、そこには温かな…人々が互いに支え合いながら生きる光景が広がっていた。
しかし、この世界にも影が差していた。
闇に棲む、魔物と呼ばれる怪物たちが人々を脅かしていたが、神の祝福と奇跡の力により、人々はそれらに立ち向かう術を与えられていた。
彼らは共に協力し、守り合いながら日々を過ごしていたのだ。
だが、神の奇跡と祝福に頼り続けることで、人々は次第に力を持ちすぎてしまった。
多くの奇跡を受けた者たちは、祝福の力を弱き者から奪い、権力を増していった。
そしてついには、その力をもって魔物を引き連れ跋扈し、神に反抗するようになった。
神は、自らを信じる者たちと共に、悪しき心を持つ強き者たちと戦いを繰り広げた。
それはやがて世界を二分する大戦争へと発展していった。
戦いは苛烈を極め、大地は再び荒廃し、かつての平和な時代は消え去った。
長きにわたる戦いの末、神は最後の悪しき者を討ち果たし、荒れ果てた大地に立っていた。
傷だらけで力を失った神のもとに、神を信じる者たちが集まってきた。
神は、彼らに向かって笑顔を作り、力なく語りかけた。
『辛い戦いであった。私も力を失ったが、またやり直せば良い。
お前たちと私と、また新たな世界を始めよう…』
そう言いながら、悪き心を持つとはいえ、我が子を直接手にかけた辛さを堪えつつ、これからの希望に目を向けて、笑顔を浮かべ振り返った。
しかし、その瞬間――
突然、彼の胸に鋭い痛みが走った。
『な…ぜ……?』
神は驚愕し、視線を下に向けると、そこには信じるはずの人々の手が、愛する子らの手が、彼に刃を突き立てていた。
彼の力を頼り、祈りを捧げていたはずの者たちが、暗い光を宿した瞳で、神を裏切ったのだ。
「あなたのせいだ」
「あなたの祝福が、この世界をこんなふうにした」
「大勢が死んだ。このようなことは二度とあってはならない」
「祝福の力がなければ、もうこんなことは起こらない…」
次々と飛び交う罵声が、神の意識を揺らしていく。
彼らは祝福と奇跡にすがりつき、それが引き起こした破滅をすべて神に押し付けていた。
彼らの手に握られた刃は、躊躇なく神の身体を貫き続けた。
力を失い、倒れゆく神の耳には、人々の歓声がこだました。
彼らは神を討ったことを誇りにし、その亡骸を掲げ、勝利の声を上げていた。
それはすぐに訪れた。
神が斃れた瞬間、世界は崩壊を始めたのだ。
神の存在が支えていた世界そのものが、まるで糸がほどけるように崩れ去り、人々の歓喜の声も、次第に恐怖の悲鳴へと変わっていった。
神なき世界は、維持できるものではなかった。
地は裂け、空は崩れ、海は乾き、人々の姿は一瞬で塵となり、消えていった。
彼らが手にかけたのは、世界そのものの存在を支える神だったのだ。
そして、何もかもが無に帰し、虚無だけが残った。
世界も、人々も、すべては消え去った。
たった一つ。暗闇の中で微かに揺らめく光が、一つ残されていた。
一言告げれば、また世界が始まるのであろう。
しかし、今はただ、静かに闇に包まれていた。
人々は日々神に感謝し、与えられた恵みの中で幸せに暮らしていた。
石畳の街並みや煉瓦造りの建物が広がり、そこには温かな…人々が互いに支え合いながら生きる光景が広がっていた。
しかし、この世界にも影が差していた。
闇に棲む、魔物と呼ばれる怪物たちが人々を脅かしていたが、神の祝福と奇跡の力により、人々はそれらに立ち向かう術を与えられていた。
彼らは共に協力し、守り合いながら日々を過ごしていたのだ。
だが、神の奇跡と祝福に頼り続けることで、人々は次第に力を持ちすぎてしまった。
多くの奇跡を受けた者たちは、祝福の力を弱き者から奪い、権力を増していった。
そしてついには、その力をもって魔物を引き連れ跋扈し、神に反抗するようになった。
神は、自らを信じる者たちと共に、悪しき心を持つ強き者たちと戦いを繰り広げた。
それはやがて世界を二分する大戦争へと発展していった。
戦いは苛烈を極め、大地は再び荒廃し、かつての平和な時代は消え去った。
長きにわたる戦いの末、神は最後の悪しき者を討ち果たし、荒れ果てた大地に立っていた。
傷だらけで力を失った神のもとに、神を信じる者たちが集まってきた。
神は、彼らに向かって笑顔を作り、力なく語りかけた。
『辛い戦いであった。私も力を失ったが、またやり直せば良い。
お前たちと私と、また新たな世界を始めよう…』
そう言いながら、悪き心を持つとはいえ、我が子を直接手にかけた辛さを堪えつつ、これからの希望に目を向けて、笑顔を浮かべ振り返った。
しかし、その瞬間――
突然、彼の胸に鋭い痛みが走った。
『な…ぜ……?』
神は驚愕し、視線を下に向けると、そこには信じるはずの人々の手が、愛する子らの手が、彼に刃を突き立てていた。
彼の力を頼り、祈りを捧げていたはずの者たちが、暗い光を宿した瞳で、神を裏切ったのだ。
「あなたのせいだ」
「あなたの祝福が、この世界をこんなふうにした」
「大勢が死んだ。このようなことは二度とあってはならない」
「祝福の力がなければ、もうこんなことは起こらない…」
次々と飛び交う罵声が、神の意識を揺らしていく。
彼らは祝福と奇跡にすがりつき、それが引き起こした破滅をすべて神に押し付けていた。
彼らの手に握られた刃は、躊躇なく神の身体を貫き続けた。
力を失い、倒れゆく神の耳には、人々の歓声がこだました。
彼らは神を討ったことを誇りにし、その亡骸を掲げ、勝利の声を上げていた。
それはすぐに訪れた。
神が斃れた瞬間、世界は崩壊を始めたのだ。
神の存在が支えていた世界そのものが、まるで糸がほどけるように崩れ去り、人々の歓喜の声も、次第に恐怖の悲鳴へと変わっていった。
神なき世界は、維持できるものではなかった。
地は裂け、空は崩れ、海は乾き、人々の姿は一瞬で塵となり、消えていった。
彼らが手にかけたのは、世界そのものの存在を支える神だったのだ。
そして、何もかもが無に帰し、虚無だけが残った。
世界も、人々も、すべては消え去った。
たった一つ。暗闇の中で微かに揺らめく光が、一つ残されていた。
一言告げれば、また世界が始まるのであろう。
しかし、今はただ、静かに闇に包まれていた。
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