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第4章

第三の年 神歴第一の年 参

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「私は、この世界の為に、私が成すべきを知りたい。その為の奇跡を起こす。
対価は、成すべきことを成す!つまり私のこれからを捧げよう!
叶えて貰おうか!」

そう高らかに叫んだーーー


その刹那、時が止まった。


無音と闇、星々の煌めきと、月の光が照らす空間。

時の流れなど、星の瞬きや月の光の強弱で僅かに分かるかどうか…といった様子であったが、それらの僅かな変化すらも完全に止まったのだ。

少女の鼓動も、呼吸すらも止まったような感覚に、思わず冷や汗が出るような気がした頃、


何もない暗い空間に真っ直ぐな光が縦に、果てしなく走った。

そうして、まるで扉が開くようにして、空間が広がり、光の溢れる異空間ともいうべき光景が目の前に現れた。

振り返ると、今しがたまでいた天上の景色が遠くに残っており、
横には夜の闇がまるで扉のように折りたたまれているのが見えた。

その闇はまるで次元そのものが閉じたかのようで、これまでの世界とは完全に切り離されていた。


そして、少女は静かに息を整え、決意を胸に、その光に満ちた空間へと一歩踏み出した。

その背後で、夜の闇が再び音もなく閉じた。

そうして少女は振り返る事なく、現れた遥か奥へと続く光の道を、一歩、また一歩と歩いて行った。




光の道がどこまでも続いていた。

両側には、色形を変えながら絶え間なく流れゆく光の帯。

世界は静かに、そして悠久に広がっていた。

少女は歩き続けていた。空を飛ぶこともできたが、不思議とその気にはならなかった。

ただ、この道を歩いて、何かを見つけるべきだと感じていた。

どれほどの時間が過ぎたのか、ようやく道の終点が見えてきた。

そこには、荘厳な大理石のような白い階段がそびえ立っていた。

階段の両脇には、空を突くかのように高くそびえる柱が並び、上方の闇へと消えていた。

神殿か、あるいは聖域か。

少女は足を止め、しばしその姿を見上げた。

「ここが…終点?」
そう呟きながら、彼女は一歩一歩、階段を昇っていく。

石の冷たさが靴越しにも、足元に伝わるが、なぜかそれが心地よく感じられた。

そして、ついにその頂にたどり着く。

そこには、白亜に輝く玉座があった。

まるで永遠の象徴のように凛として佇んでいる。

だが、その玉座に腰掛ける者はいなかった。

代わりに、玉座の上には小さな何かが光を放っていた。

それはかすかに明滅し、消え入りそうな弱い光だった。

「これは一体…?」

少女は声に出してしまった。
それは意識せずとも口をついた言葉だった。
そうして、彼女は自然とその光に手を伸ばし、触れた瞬間――。

――光が弾け、少女を包み込んだ。
まばゆい光の筋が彼女の身体に流れ込み、視界が一瞬にして変わった。

「えっ…?」

瞬きのうちに変化が起こった。視点が突然高くなったのだ。
驚いて足元を見ても、そこには変わらぬ白い床が広がっている。

けれど、何かが違う。彼女は自分の体を見下ろした。服が妙に短く感じられ、袖や裾が不自然に縮んでいた。

――背が伸びてる…?

この世界に来てから、ずっと変わることのなかった身体が、今、急に成長していたのだ。

少女の背丈は大人びたものへと変わり、その姿は十五歳ほどの年頃になっていた。

瞬く間に訪れたその変化に、彼女は言葉を失った。

しかし、それはただの始まりに過ぎなかった。彼女の内側で、さらなる変化がうごめき始めていた。
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