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マティアス
信頼
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「本当に、何とお詫びをすれば良いものか」
シャワーを浴びた為髪を湿らせたマティアスは、2人を前に実に申し訳なさそうな表情を浮かべている。
マティアスは自分で何とか媚薬の効果を静めたようだった。
「本当だよ」
とヴェルトは吐き捨てた。戦闘中に受けた頬の傷は、嫌々アマネに手当てしてもらったらしい。
「まぁまぁ、皆無事だった訳ですし、ね?」
マティアスと同じく髪を湿らせたカイラは、ヴェルトを宥めようとする。
「カイラ君、怒って良いんだよ? 完全に相手の不注意だったんだから」
「面目ない。まさか植物まで夢魔の呪いの対象だとは思わず、そのままにしてしまっていた
「いや、いいんですよ。大丈夫ですから」
とカイラは微笑んだ。
それ以上は何も言えなくなり、ヴェルトは閉口する。
「しかしカイラ。何かで埋め合わせをさせてはくれないだろうか。このままでは私の気が済まんのだ」
カイラは少し考えて、こう答えた。
「では、僕に魔法を教えてくれませんか?」
「魔法……? その程度でいいのか?」
「えぇ。僕もっと強くなりたいんです」
全ては夢魔の呪いから自分とヴェルトを守る為。
「ふむ……分かった。なら、いつでも私の所へ来るが良い。冒険に役立ちそうな魔法を教えてやろう」
「はい、ありがとうございます」
と嬉々としてカイラは一礼した。
***
マジェスティック邸の寝室にて。
寝巻きに着替え三角形の可愛らしいナイトキャップを被ったマティアスが、布団に包まり溜め息を吐いた。
(男同士……という事で、少々奴らを軽蔑していた)
だが……とマティアスは天井を見つめ続ける。
(彼らの戦い方。互いが互いを支え合っているような……信頼しておるのだな。素晴らしい恋人だ)
***
一方ホテルにて。
カイラとヴェルトの2人が真剣な面持ちで互いの顔を見つめていた。
「あのさカイラ君。ノリで告白した……なんて思われたく無いからもう一度言うよ」
「はい」
「僕も君の事が好きだ……って、なんでニヤニヤしてるのカイラ君」
「ごめんなさい、なんだか嬉しくて。僕もヴェルトさんの事が大好きです」
ヴェルトもカイラと同じように笑った。
「ひとつ、謝らなくちゃいけない事がある」
「なんです?」
カイラは思わず身構えてヴェルトの言葉を待つ。
「君に嘘を吐いていた。酔っ払って帰って来た時に僕がカイラ君に好きって言ったの、覚えてるよ。ハルなんちゃらに渡したくないって言ってたのも本心だ」
「……なんだ、忘れてたわけじゃないんですね」
とカイラはほっと溜息を吐いた。
「僕みたいなのから好かれるなんて不幸だからね。僕、死神みたいなものなんだ。休憩中に話してた彼女の事も、僕が死なせたようなものだから」
「そんな事____」
「でもねカイラ君」とヴェルトはカイラの言葉を遮る。
「今の僕はその時の僕とは違うから。君の事を絶対に守ってみせるからね」
ヴェルトはそう宣言して、カイラをそっと抱き締めた。
シャワーを浴びた為髪を湿らせたマティアスは、2人を前に実に申し訳なさそうな表情を浮かべている。
マティアスは自分で何とか媚薬の効果を静めたようだった。
「本当だよ」
とヴェルトは吐き捨てた。戦闘中に受けた頬の傷は、嫌々アマネに手当てしてもらったらしい。
「まぁまぁ、皆無事だった訳ですし、ね?」
マティアスと同じく髪を湿らせたカイラは、ヴェルトを宥めようとする。
「カイラ君、怒って良いんだよ? 完全に相手の不注意だったんだから」
「面目ない。まさか植物まで夢魔の呪いの対象だとは思わず、そのままにしてしまっていた
「いや、いいんですよ。大丈夫ですから」
とカイラは微笑んだ。
それ以上は何も言えなくなり、ヴェルトは閉口する。
「しかしカイラ。何かで埋め合わせをさせてはくれないだろうか。このままでは私の気が済まんのだ」
カイラは少し考えて、こう答えた。
「では、僕に魔法を教えてくれませんか?」
「魔法……? その程度でいいのか?」
「えぇ。僕もっと強くなりたいんです」
全ては夢魔の呪いから自分とヴェルトを守る為。
「ふむ……分かった。なら、いつでも私の所へ来るが良い。冒険に役立ちそうな魔法を教えてやろう」
「はい、ありがとうございます」
と嬉々としてカイラは一礼した。
***
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寝巻きに着替え三角形の可愛らしいナイトキャップを被ったマティアスが、布団に包まり溜め息を吐いた。
(男同士……という事で、少々奴らを軽蔑していた)
だが……とマティアスは天井を見つめ続ける。
(彼らの戦い方。互いが互いを支え合っているような……信頼しておるのだな。素晴らしい恋人だ)
***
一方ホテルにて。
カイラとヴェルトの2人が真剣な面持ちで互いの顔を見つめていた。
「あのさカイラ君。ノリで告白した……なんて思われたく無いからもう一度言うよ」
「はい」
「僕も君の事が好きだ……って、なんでニヤニヤしてるのカイラ君」
「ごめんなさい、なんだか嬉しくて。僕もヴェルトさんの事が大好きです」
ヴェルトもカイラと同じように笑った。
「ひとつ、謝らなくちゃいけない事がある」
「なんです?」
カイラは思わず身構えてヴェルトの言葉を待つ。
「君に嘘を吐いていた。酔っ払って帰って来た時に僕がカイラ君に好きって言ったの、覚えてるよ。ハルなんちゃらに渡したくないって言ってたのも本心だ」
「……なんだ、忘れてたわけじゃないんですね」
とカイラはほっと溜息を吐いた。
「僕みたいなのから好かれるなんて不幸だからね。僕、死神みたいなものなんだ。休憩中に話してた彼女の事も、僕が死なせたようなものだから」
「そんな事____」
「でもねカイラ君」とヴェルトはカイラの言葉を遮る。
「今の僕はその時の僕とは違うから。君の事を絶対に守ってみせるからね」
ヴェルトはそう宣言して、カイラをそっと抱き締めた。
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