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ハルキオン
対立
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ここはハルキオン邸の応接室。
「____よって、ケーキとケースは親戚であると、モイは論ずるのです!」
唐突に始まったシロクマのモイによる発表を聞いたカイラは拍手を送った。
モイは照れたように頭を掻く。
「えへへ、ありがとね。明日ご主人に発表するつもりなんだ。ああ見えてお医者さんでもあるから、きっとお気に召すと思うよ」
(ケーキとケースの話って医学に関係あるのかな)
カイラが困惑していると。
____ガシャン!
何かが割れるような音が上の階から聞こえたので、カイラとモイは天井を見上げた。
「なんだろねぇ」
特に焦る様子もなく、モイは伸び伸びとした口調でカイラに訊ねる。
「……なんだろう。胸騒ぎがする」
とても、嫌な予感。
杖とハルキオンが座っていた場所に置かれていたナプキンを手に持ちながら、カイラは走る。
「『ルックフォー』!」
階段を駆け上り煙を追い、発生源である扉を勢い良く開く。
そこはハルキオンの部屋だった。
洗練された部屋なのだが……片付けが苦手なのだろう。医学書の類が床に放置されている。
そして、音の発生源であると思われる電気スタンドが見るも無惨な姿で転がっている。
ハルキオンの部屋のベッドの上にいる2つの人影。そのうち1つをカイラは怒りの籠った目で睨む。
「ミキ……!」
ミキは今、ハルキオンの上に跨り、ハルキオンの怒張の上へ腰を下ろそうとしている。
「来たか……おっと勘違いするな? そもそもこうなった原因はお前にあるんだぜ」
「は……? 原因?」
自分と愛の無い行為に及ぼうとする夢魔の体を押して抵抗し続けながらも、ハルキオンはミキの言葉に困惑する。
ハルキオンが忘れかけていた欲を取り戻した理由。それはカイラにかけられた呪いの為だ。
「だけど、元々の原因はお前にあるんだ!」
杖を構えて、最もハルキオンへのダメージが少ないであろう『アイス』の呪文を唱えた。
水色に輝く光の球が杖の先から現れ、ミキに向かって飛翔する。
そしてついにミキに命中するかと思った時。
魔法がフッと消滅してしまったのだ。
ミキは乾いた笑い声を浮かべる。
「やっぱ後輩に頼んで魔法吸収のバリアを貼る魔道具を作って貰って正解だったわ!」
魔法以外の攻撃手段を持たないカイラは落胆したが、「おい、カイラ!」と突然ミキに呼びかけられ身構えた。
「オマエがコイツの精気を出す手伝いをするんなら、オレはコイツを諦める……お前にやらせた方が面白そうだからな」
「……っ」
それは……例え、性行為に及ばないとしても。
(不貞行為になるんじゃ……いや、そもそもヴェルトさんと恋人同士になったとか、なってないとかよく分からないけれど)
「おい、どうすんだ?」
このままでは……ハルキオンが望まぬ事を強いられてしまう。
まだ知り合って間も無いのだが、カイラはハルキオンの事を嫌いになれさそうだと思った。
最初……木のステージで見かけた時は、冷血な死刑執行人という印象を受けた。
だが話してみると気さくで、個性的な人なのだと思ったのだ。
(彼を助ける事が、今1番大切なんだ)
「分かった! 僕がやる! だからハルキオンさんを離せ!」
「____よって、ケーキとケースは親戚であると、モイは論ずるのです!」
唐突に始まったシロクマのモイによる発表を聞いたカイラは拍手を送った。
モイは照れたように頭を掻く。
「えへへ、ありがとね。明日ご主人に発表するつもりなんだ。ああ見えてお医者さんでもあるから、きっとお気に召すと思うよ」
(ケーキとケースの話って医学に関係あるのかな)
カイラが困惑していると。
____ガシャン!
何かが割れるような音が上の階から聞こえたので、カイラとモイは天井を見上げた。
「なんだろねぇ」
特に焦る様子もなく、モイは伸び伸びとした口調でカイラに訊ねる。
「……なんだろう。胸騒ぎがする」
とても、嫌な予感。
杖とハルキオンが座っていた場所に置かれていたナプキンを手に持ちながら、カイラは走る。
「『ルックフォー』!」
階段を駆け上り煙を追い、発生源である扉を勢い良く開く。
そこはハルキオンの部屋だった。
洗練された部屋なのだが……片付けが苦手なのだろう。医学書の類が床に放置されている。
そして、音の発生源であると思われる電気スタンドが見るも無惨な姿で転がっている。
ハルキオンの部屋のベッドの上にいる2つの人影。そのうち1つをカイラは怒りの籠った目で睨む。
「ミキ……!」
ミキは今、ハルキオンの上に跨り、ハルキオンの怒張の上へ腰を下ろそうとしている。
「来たか……おっと勘違いするな? そもそもこうなった原因はお前にあるんだぜ」
「は……? 原因?」
自分と愛の無い行為に及ぼうとする夢魔の体を押して抵抗し続けながらも、ハルキオンはミキの言葉に困惑する。
ハルキオンが忘れかけていた欲を取り戻した理由。それはカイラにかけられた呪いの為だ。
「だけど、元々の原因はお前にあるんだ!」
杖を構えて、最もハルキオンへのダメージが少ないであろう『アイス』の呪文を唱えた。
水色に輝く光の球が杖の先から現れ、ミキに向かって飛翔する。
そしてついにミキに命中するかと思った時。
魔法がフッと消滅してしまったのだ。
ミキは乾いた笑い声を浮かべる。
「やっぱ後輩に頼んで魔法吸収のバリアを貼る魔道具を作って貰って正解だったわ!」
魔法以外の攻撃手段を持たないカイラは落胆したが、「おい、カイラ!」と突然ミキに呼びかけられ身構えた。
「オマエがコイツの精気を出す手伝いをするんなら、オレはコイツを諦める……お前にやらせた方が面白そうだからな」
「……っ」
それは……例え、性行為に及ばないとしても。
(不貞行為になるんじゃ……いや、そもそもヴェルトさんと恋人同士になったとか、なってないとかよく分からないけれど)
「おい、どうすんだ?」
このままでは……ハルキオンが望まぬ事を強いられてしまう。
まだ知り合って間も無いのだが、カイラはハルキオンの事を嫌いになれさそうだと思った。
最初……木のステージで見かけた時は、冷血な死刑執行人という印象を受けた。
だが話してみると気さくで、個性的な人なのだと思ったのだ。
(彼を助ける事が、今1番大切なんだ)
「分かった! 僕がやる! だからハルキオンさんを離せ!」
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