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ガゼリオ

4日目〜慰め〜

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「ヴェルト、さん……?」

 薄暗い部屋に転がるヴェルトの姿を見たカイラは、驚愕のあまり名前を呼ぶ事しかできなかった。

 衣服を無理やり剥がされ、萎えた陰茎から先走りを滴らせた男……これがあのヴェルトだとは。

「カイラ、くん、みな、いで……」

 カイラは羽織っていた緑色のローブをヴェルトに掛けた。

「どうしたんですか? 何があったんですか? やっぱりミキが」

「カイラ君」

 やや潤んだ瞳を向けられたカイラは口を噤んだ。

「お願い、何も聞かないで……何も話したくない」

 言える訳がなかった。

「ヴェルトさん……?」

 カイラの先生であり、ヴェルトの親友であったガゼリオに犯されたなど。

「とりあえず、シャワーを浴びて寝てしまいたい」

 カイラが差し伸べた手を、ヴェルトは握った。

   ***

 シャワーを浴び終わったヴェルトはベッドに横になった。

「カイラ君、こっちに来て」

 毛布に包まったヴェルトは弱々しい声でカイラを呼ぶ。

 不安そうな表情を隠せないカイラは、言われた通りベッドの側に寄る。

「カイラ君、添い寝してくれないかな」

「え?」

「お願いだよ、カイラ君」

 いつもの頼もしい感じが消え弱々しく頼むヴェルトを拒める訳がないカイラは、言われた通りヴェルトの隣に寝転がる。

「ありがとう」

 とヴェルトはカイラの体を抱き枕のように抱きしめた。

 しばらく2人は無言であったが。

「……んっ」

 突然、ヴェルトが普段出さないような甘い吐息を吐いた。

 ガゼリオの屹立の感覚が残っており、忌々しく疼くのだ。

「ヴェルトさん?」

「……う、ううぅ……!!」

 これはガゼリオと夢魔により刻まれた、自分には不要な感覚。

 もう思い出したくもないが、忘れられそうにもない。

 ヴェルトは悲痛に満ちた表情を浮かべ、カイラをより強く抱き締めた。

 カイラは後悔する。

(僕がもっと早く決断していれば……ヴェルトさんの言葉を無視して、僕が助けに行っていれば!)

「カイラ君」

「っ、なんですか?」

「もしかして、自分のせいだと思っているのかい? ……そうだとしたら、それは間違いだよ」

 詳しくは言いたくないけど。とヴェルトは弱々しい声で続ける。

「カイラ君は関係ない……関係ないんだよ。だからねカイラ君、自分の事責めないでね、お願い」

 しばらく黙った後、カイラは「分かりました」と返した。

 目を瞑ったヴェルトの顔を見つめながら頬を撫でる。

 その時に魔力の残滓ざんしを感じたのだ。

(ヴェルトさん、魔法をかけられていたのかな)

 ヴェルトが何をされたのか。

 本人が話さないのならば、体に訊けば良い。

 カイラはヴェルトにかけられた魔法の解析を始める事にした。
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