20 / 128
ハルキオン
帰宅
しおりを挟む
いつものホテルにて。
「なんか帰り遅かったよね、何かあったの」
カイラはヴェルトに詰められていた。
壁際に追い込まれたカイラは「いやー……」と言葉を濁す。
「正直に全部話して。危ない目に遭ってないだろうね?」
紫の目を誤魔化せる気がせず、「実は……」とカイラは今日あった事を話し始めた。
***
「あのねぇ、カイラ君……」
カイラの話を聞いた後、黙り込んでいたヴェルトが口を開く。
カイラは恐怖で身を竦ませた。
「知らない人の家に簡単に上がらない!」
「っ、ごめんなさい!」
「しかも死刑執行人の家……って、危険すぎるでしょ!」
「あぁでもその、優しかったですよ、そのル……ハルキオンさん」
「その優しい人を巻き込むんじゃないよ!」
この言葉には何も言い返せず、カイラは俯いた。
(確かに……僕があの時、家に上がるのを断っていれば……ルネスタさんは酷い目に遭わずに済んだんだよなぁ)
カイラが落ち込んでいる傍らで、ヴェルトは冷静になっていった。
(あれ……なんで僕、こんなに怒ってるんだろ)
そもそもどうして怒っているのか。
人を巻き込んだから?
……いや、違う。
他人の事などどうでも良いヴェルトは、死刑執行人がどうなろうが知った事ではないと心の底から思っている。
彼があまりにも不用心過ぎるから?
……それはあるかも。
村の出身という事もあるのだろうが、カイラはどうも危機感に欠けている。
(だから死刑執行人の下の世話なんてやらされる事に……! あぁ、そうか分かったぞ。僕は……カイラが他の男に触れた事に腹が立ってるんだ)
恋人でもなんでもない癖に。
まだ彼は子供なのに。
勝手に彼に対して欲情して。
勝手に彼に対して独占欲を抱いてる。
……全く、心底反吐が出る。
「カイラ君」
「…………」
ヴェルトに呼びかけられたカイラは、悲しそうな目をヴェルトに向けた。
身長差のせいでどうしても上目遣いになってしまう。
そんな所も堪らなく可愛いと思ってしまうのだ。
ヴェルトはカイラを強く抱き締めた。
「んんっ!?」
動揺するカイラの唇を荒っぽく奪う。
舌を捩じ込んで、カイラの舌を愛撫するよう自身の舌を絡ませる。
時折甘い息を漏らすカイラに再び欲情する。
きっとこの昂りは、呪いなんかではない。
めちゃくちゃにしてやりたい。
自分の事を忘れられなくなるように。
全てを忘れさせて、その空白を「ヴェルト」という最低な男の性格や声や体で埋めてやる。
リスのような少年を手籠にして、ずっとヴェルトの事しか考えられないようにしてやりたい。
声を聞くだけで欲情して。
手を繋ぐだけで身を震わせて。
組み敷かれる事に最上級の悦びを感じさせてやりたい。
頭の中に邪な考えが浮かぶ。
ヴェルトはそれをカイラに言い渡してやる事にした。
カイラの艶やかな唇を堪能し、ゆっくりと離した。
頬を紅潮させ呆然と突っ立っている彼に、ヴェルトはこう告げた。
「5日間手伝い無し」
「えぇっ?!」
カイラは驚愕のあまり素っ頓狂な声を上げた。
「なんか帰り遅かったよね、何かあったの」
カイラはヴェルトに詰められていた。
壁際に追い込まれたカイラは「いやー……」と言葉を濁す。
「正直に全部話して。危ない目に遭ってないだろうね?」
紫の目を誤魔化せる気がせず、「実は……」とカイラは今日あった事を話し始めた。
***
「あのねぇ、カイラ君……」
カイラの話を聞いた後、黙り込んでいたヴェルトが口を開く。
カイラは恐怖で身を竦ませた。
「知らない人の家に簡単に上がらない!」
「っ、ごめんなさい!」
「しかも死刑執行人の家……って、危険すぎるでしょ!」
「あぁでもその、優しかったですよ、そのル……ハルキオンさん」
「その優しい人を巻き込むんじゃないよ!」
この言葉には何も言い返せず、カイラは俯いた。
(確かに……僕があの時、家に上がるのを断っていれば……ルネスタさんは酷い目に遭わずに済んだんだよなぁ)
カイラが落ち込んでいる傍らで、ヴェルトは冷静になっていった。
(あれ……なんで僕、こんなに怒ってるんだろ)
そもそもどうして怒っているのか。
人を巻き込んだから?
……いや、違う。
他人の事などどうでも良いヴェルトは、死刑執行人がどうなろうが知った事ではないと心の底から思っている。
彼があまりにも不用心過ぎるから?
……それはあるかも。
村の出身という事もあるのだろうが、カイラはどうも危機感に欠けている。
(だから死刑執行人の下の世話なんてやらされる事に……! あぁ、そうか分かったぞ。僕は……カイラが他の男に触れた事に腹が立ってるんだ)
恋人でもなんでもない癖に。
まだ彼は子供なのに。
勝手に彼に対して欲情して。
勝手に彼に対して独占欲を抱いてる。
……全く、心底反吐が出る。
「カイラ君」
「…………」
ヴェルトに呼びかけられたカイラは、悲しそうな目をヴェルトに向けた。
身長差のせいでどうしても上目遣いになってしまう。
そんな所も堪らなく可愛いと思ってしまうのだ。
ヴェルトはカイラを強く抱き締めた。
「んんっ!?」
動揺するカイラの唇を荒っぽく奪う。
舌を捩じ込んで、カイラの舌を愛撫するよう自身の舌を絡ませる。
時折甘い息を漏らすカイラに再び欲情する。
きっとこの昂りは、呪いなんかではない。
めちゃくちゃにしてやりたい。
自分の事を忘れられなくなるように。
全てを忘れさせて、その空白を「ヴェルト」という最低な男の性格や声や体で埋めてやる。
リスのような少年を手籠にして、ずっとヴェルトの事しか考えられないようにしてやりたい。
声を聞くだけで欲情して。
手を繋ぐだけで身を震わせて。
組み敷かれる事に最上級の悦びを感じさせてやりたい。
頭の中に邪な考えが浮かぶ。
ヴェルトはそれをカイラに言い渡してやる事にした。
カイラの艶やかな唇を堪能し、ゆっくりと離した。
頬を紅潮させ呆然と突っ立っている彼に、ヴェルトはこう告げた。
「5日間手伝い無し」
「えぇっ?!」
カイラは驚愕のあまり素っ頓狂な声を上げた。
12
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる