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DAY 27.
お待ちしておりました
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「戻ったーーー」
のんびりと戻った俺に
和泉は不機嫌そうな顔を向けた。
普段なら文句の1つも言いそうなトコだけど、
不満そうな表情を浮かべるだけだ。
おっさんの姿をしている間は、
女の子の声を出すのを控えて欲しいと
青木から言われたせいだろう。
「おせぇよ・・」
青木の方は予め約束した通りの
台詞を口にした。
「そんな遅くもねぇだろ?」
俺は興味ない(演技をしながら)青木に言うと、
黒々としたご神体に視線を移しつつ、
青木と肩を組んだ。
(・・誰か居たか?)
肩を組んだことで近くなった俺の耳に
青木がこそこそと話しかけた。
・・不真面目なリーダーである俺が、
迷子の女の子を送ったあと、
寄り道をしながらここに戻ってきたのは、
予め打ち合わせた通りだ。
一般公開時間を過ぎた神殿にいる、
不審な一般人が近くにいるかを確認するため・・だ。
俺は青木同様こそこそと答えを返した。
(2人いた。
1人はカリダさんが外に出した。
もう1人はこの部屋のすぐそばで待機中。)
(・・性別は?)
(男・・結構若い。)
一般公開時間を過ぎた神殿にいる、
不審な一般人と警備員が出会ったら、
警備員は不審な一般人を追い出す必要がある。
俺が神殿を出る様に言うと、
その若い男は『分かったよ・・』と、
ぶつくさ言った後、
出入口方向に向かって歩き出した。
俺がこのご神体を安置する
小部屋に入る振りをして死角になる位置に
隠れていると、戻ってきて、
この部屋の出入口が見える場所に
こそこそと隠れていた。
・・俺ごときにこの一連の行動を
見られるようだから、
こいつもさっきの女と同様に、
特別な訓練を受けていないけど、
敵側で動いている一般人なんだろう。
(・・・じゃあ、計画通りにいきそうだな・・)
青木はブツブツと呟いて、"通信の腕輪"で
メッセージを打ち込んだ。
この神殿で最も価値のあるモノが置いてある
この部屋には警備員が配置されている。
それはいつもの事らしい。
そして、この警備員、通常2交代制だ。
・・というのも、
この世界のギリシャ人は肉体労働を
奴隷の仕事・・と考えているらしく、
奴隷でなければ肉体を使った労働を好んではやらない。
神殿が一般公開されている僅か8時間の間、
であれば、
警備員の仕事は、
奴隷がやればいいのでは?
・・と思わないこともないが、
多少寂れてても、ここは神殿。
奴隷の入ることができるエリアは
限られている。
因みに、ご神体を安置するこの部屋は
奴隷が入れる場所でない。
そんなわけで、
このクソ退屈な仕事は2交代制で、
自由市民という奴隷でない人間がする仕事だ。
話は変わって・・
この部屋が見張られる事は青木の想定内だった。
敵さんだって、
エロースの神殿に関係する
俺やあかりをとっ捕まえたい・・と
考えた場合、神殿の関係者は
監視しておけるなら監視するだろう。
敵さんは質はともかく、頭数が多いらしいし、
見張だけなら、訓練されていないヤツらでも、
対応可能だろう。
外部から、雇われる警備員は、
めちゃくちゃ怪しいし、
当然監視対象にするだろう。
青木の想定はドンピシャで・・
・・俺たちを見張るこの見張りこそが、
俺達が寒い演技をしながら、
巨大なイチモツの前で立って待っていたヤツだ。
こいつには、
『俺とあかりがエロースの神殿の地下に居て、
そのまま潜伏するつもりだ』・・と
報告を上げてもらう必要がある。
「・・・さて、そろそろ時間だ。
イチモツ様をケースインするぞ。」
俺が言うと、青木と和泉がのろのろと
俺に続く。
俺たちは、頑丈なケースをご神体に被せた。
万が一が、ないように、
ケースを施錠して、カバーを被せ、
専用の神輿(?)を持ち上げた。
片方は俺が持ち、
もう片側を青木と和泉が持った。
なるべくテキパキと、
慣れた仕草・・に見えるように・・。
俺達に向けられていた視線が不意に外れる。
カツッカツッ!!
早いペースの足音に、
俺達はこっそりと頷き合った。
あの足音は、ダマリさんのものだ。
・・・予定通りなら・・・
ダマリさんは、"俺やあかり"を、
護衛している・・
敵さんは何度も俺達と
一緒にいたダマリさんを目撃していたはずだ。
部屋の外に出て、
たった1人の見張が隠れていた場所を見ると、
あの若い男はどこにもいなかった。
見張はダマリさんを追いかける。
ダマリさんは、
わざと俺達のいた部屋近くを通って、
外からもよく見える出入り口から再度、
神殿地下に入る予定になっている。
あの、見張りはあくまでも
見張りだから、深追いはしないはずだ。
関係者以外お断りの神殿地下に、
あんな迂闊くんを入れるほど、
敵さんもバカでないはずだ。
・・そんな訳であの男が居ないって事は、
今、青木が立てた作戦通りだ。
俺達は頷きあって、軽口を叩きながら、
イチモツを運んだ。
「・・・マジでこんなんぶら下げて歩く
野郎がいたらおかしいだろ??」
俺がそう言った時、返事がなくて・・
振り返ると・・
和泉が凄まじい顔で俺を睨んでいた。
青木が半目で俺を見ている・・いや、
軽くて、口の悪いおっちゃんを演れって・・
お前が言ったんじゃ??
俺はちょっと青木を恨んだ。
のんびりと戻った俺に
和泉は不機嫌そうな顔を向けた。
普段なら文句の1つも言いそうなトコだけど、
不満そうな表情を浮かべるだけだ。
おっさんの姿をしている間は、
女の子の声を出すのを控えて欲しいと
青木から言われたせいだろう。
「おせぇよ・・」
青木の方は予め約束した通りの
台詞を口にした。
「そんな遅くもねぇだろ?」
俺は興味ない(演技をしながら)青木に言うと、
黒々としたご神体に視線を移しつつ、
青木と肩を組んだ。
(・・誰か居たか?)
肩を組んだことで近くなった俺の耳に
青木がこそこそと話しかけた。
・・不真面目なリーダーである俺が、
迷子の女の子を送ったあと、
寄り道をしながらここに戻ってきたのは、
予め打ち合わせた通りだ。
一般公開時間を過ぎた神殿にいる、
不審な一般人が近くにいるかを確認するため・・だ。
俺は青木同様こそこそと答えを返した。
(2人いた。
1人はカリダさんが外に出した。
もう1人はこの部屋のすぐそばで待機中。)
(・・性別は?)
(男・・結構若い。)
一般公開時間を過ぎた神殿にいる、
不審な一般人と警備員が出会ったら、
警備員は不審な一般人を追い出す必要がある。
俺が神殿を出る様に言うと、
その若い男は『分かったよ・・』と、
ぶつくさ言った後、
出入口方向に向かって歩き出した。
俺がこのご神体を安置する
小部屋に入る振りをして死角になる位置に
隠れていると、戻ってきて、
この部屋の出入口が見える場所に
こそこそと隠れていた。
・・俺ごときにこの一連の行動を
見られるようだから、
こいつもさっきの女と同様に、
特別な訓練を受けていないけど、
敵側で動いている一般人なんだろう。
(・・・じゃあ、計画通りにいきそうだな・・)
青木はブツブツと呟いて、"通信の腕輪"で
メッセージを打ち込んだ。
この神殿で最も価値のあるモノが置いてある
この部屋には警備員が配置されている。
それはいつもの事らしい。
そして、この警備員、通常2交代制だ。
・・というのも、
この世界のギリシャ人は肉体労働を
奴隷の仕事・・と考えているらしく、
奴隷でなければ肉体を使った労働を好んではやらない。
神殿が一般公開されている僅か8時間の間、
であれば、
警備員の仕事は、
奴隷がやればいいのでは?
・・と思わないこともないが、
多少寂れてても、ここは神殿。
奴隷の入ることができるエリアは
限られている。
因みに、ご神体を安置するこの部屋は
奴隷が入れる場所でない。
そんなわけで、
このクソ退屈な仕事は2交代制で、
自由市民という奴隷でない人間がする仕事だ。
話は変わって・・
この部屋が見張られる事は青木の想定内だった。
敵さんだって、
エロースの神殿に関係する
俺やあかりをとっ捕まえたい・・と
考えた場合、神殿の関係者は
監視しておけるなら監視するだろう。
敵さんは質はともかく、頭数が多いらしいし、
見張だけなら、訓練されていないヤツらでも、
対応可能だろう。
外部から、雇われる警備員は、
めちゃくちゃ怪しいし、
当然監視対象にするだろう。
青木の想定はドンピシャで・・
・・俺たちを見張るこの見張りこそが、
俺達が寒い演技をしながら、
巨大なイチモツの前で立って待っていたヤツだ。
こいつには、
『俺とあかりがエロースの神殿の地下に居て、
そのまま潜伏するつもりだ』・・と
報告を上げてもらう必要がある。
「・・・さて、そろそろ時間だ。
イチモツ様をケースインするぞ。」
俺が言うと、青木と和泉がのろのろと
俺に続く。
俺たちは、頑丈なケースをご神体に被せた。
万が一が、ないように、
ケースを施錠して、カバーを被せ、
専用の神輿(?)を持ち上げた。
片方は俺が持ち、
もう片側を青木と和泉が持った。
なるべくテキパキと、
慣れた仕草・・に見えるように・・。
俺達に向けられていた視線が不意に外れる。
カツッカツッ!!
早いペースの足音に、
俺達はこっそりと頷き合った。
あの足音は、ダマリさんのものだ。
・・・予定通りなら・・・
ダマリさんは、"俺やあかり"を、
護衛している・・
敵さんは何度も俺達と
一緒にいたダマリさんを目撃していたはずだ。
部屋の外に出て、
たった1人の見張が隠れていた場所を見ると、
あの若い男はどこにもいなかった。
見張はダマリさんを追いかける。
ダマリさんは、
わざと俺達のいた部屋近くを通って、
外からもよく見える出入り口から再度、
神殿地下に入る予定になっている。
あの、見張りはあくまでも
見張りだから、深追いはしないはずだ。
関係者以外お断りの神殿地下に、
あんな迂闊くんを入れるほど、
敵さんもバカでないはずだ。
・・そんな訳であの男が居ないって事は、
今、青木が立てた作戦通りだ。
俺達は頷きあって、軽口を叩きながら、
イチモツを運んだ。
「・・・マジでこんなんぶら下げて歩く
野郎がいたらおかしいだろ??」
俺がそう言った時、返事がなくて・・
振り返ると・・
和泉が凄まじい顔で俺を睨んでいた。
青木が半目で俺を見ている・・いや、
軽くて、口の悪いおっちゃんを演れって・・
お前が言ったんじゃ??
俺はちょっと青木を恨んだ。
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