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DAY 26.
ねちねちと言われること
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「大橋って料理できたんだ?」
青木がテーブルの上に並んだムサカを
見てにこにこしながら言う。
「いや、ミッションで料理実行すると、
アナウンスがレシピを読み上げるから・・」
・・怒ってる・・
ビクビクしている俺に
青木はあくまでも和やかに話を続ける。
「イイな。
料理指導してくれて、
経験値とポイントまで稼げるとか・・」
「・・・だよなー・・」
「田口も、お前が料理するんなら
助かってんじゃない?」
「・・・あ、うん。
喜んでくれてるけど・・・」
「・・・身体はさっぱり休まる暇、
なさそうだけど・・」
「・・・」
「田口って、
時間にきっちりした子なんだけどなぁ・・」
「・・・」
「客が来る日に約束の時間まで
用事を詰め込んで・・ってタイプの
いい加減な子じゃないし・・・」
・・・
(よりによってコーヒーとか・・・)
ネチネチと続く、笑顔の嫌味攻撃の中、
俺は、こっそりとうめいた。
こっちの世界だけの話かもしんないけど・・
コーヒーフィルターが売られてない。
いや、売られてるトコを見たことがない。
代わりにこの辺で
どんな風にコーヒーを飲むのか
教わったんだが・・
鍋で煮込んで冷ましてまた煮込む・・
ってな工程で作られるモノで、
やたら時間がかかる。
その工程を終えて、
あかりが戻ってくれるまで、
ニコニコ笑いながら怒っている
青木の相手を続けるのは、結構ツラい・・
青木は人をなぶる時に、
微笑みながら、わざと本題を外して、
雰囲気と遠回しな嫌味で攻めてくる。
意地悪女みたいなやり口だけど、
こんな露骨に嫌なやり口で攻撃してくる
意地悪女に会ったことがない。
・・・青木に怒られる度に、
嫌味って別に・・
女が専売特許持ってる訳じゃねーんだなぁ
・・と思う。
「ちゃんと、ナニするにも
許可とってるから・・俺・・」
モゴモゴと言い訳していたら、
粗暴な足音立てながら、
キッチンから戻ってきた和泉が、
ゴンッゴンッと音を立てて、
木製のマグカップを4つ、
テーブルに叩きつけるように置いた。
やばい、コッチも怒ってる。
既に青木に姑みたいにネチネチ絡まれて・・
いや、姑がいた事ないから、
聞いた話の姑イメージだけなんだけど・・
とにかくネチネチと絡まれて、
十分ダメージ受けてるトコに
真正面から怒ってる感じで、
和泉は俺の正面の席に男らしく、
どかっと座ると俺を睨んだ。
「・・・」
何も言わないでただただ、
怒ってるアピールだ。
「ちょ・・なんで睨むんだよ??」
「なんでもなーい・・」
ビビってる俺に和泉は
完全に怒ってる声で睨みながら言った。
「和泉、田口は?」
青木が、穏やかに聞くと、
和泉は青木の方を見るのに
俺から視線を外した。
「コーヒー・・
結構、時間かかるみたいだから、
私だけ先に戻ってきちゃった。」
青木はふーん・・と、頷いた後、
席を立った。
「じゃあ、俺が手伝うことないか、
聞いて・・」
「俺も・・・」
青木のネチネチとした攻撃はキツイけど、
ココで和泉に睨まれながら、
会話もなく2人で座っているのは耐え難い。
逃げるが勝ち・・そう思って、
俺も席を立とうとした時だった。
「あ・・あの、コーヒーお持ちしました。」
ポットに入ったコーヒーを
あかりが持ってリビングにやって来た。
「お待たせしてすみません。」
少し落ち着きを取り戻したらしい
あかりがそう言って、
和泉が持ってきたマグカップに
コーヒーを注いでいく。
「上澄みを飲んでください。
コーヒーの粉が沈んでいますので・・」
全員の前にマグカップを置いていく。
それからハチミツの焼き菓子を
俺の作ったムサカの隣に置いた。
「もし良かったら、
これも食べてくださいね。
甘いものを食べると、
気分、落ち着きます・・
私だけかも・・ですが・・・」
自信なさそうに言うあかりに、
青木は張り付いた穏やかな笑顔のまま
腰を下ろし、
和泉は小さくため息を吐いて、
俺を睨むのをやめて、
あかりが持ってきた焼き菓子を1つ摘んだ。
(助かった・・・)
「・・・とりあえず、
食べながら話そう?」
俺は、ほっとして青木と和泉に向き直った。
青木がテーブルの上に並んだムサカを
見てにこにこしながら言う。
「いや、ミッションで料理実行すると、
アナウンスがレシピを読み上げるから・・」
・・怒ってる・・
ビクビクしている俺に
青木はあくまでも和やかに話を続ける。
「イイな。
料理指導してくれて、
経験値とポイントまで稼げるとか・・」
「・・・だよなー・・」
「田口も、お前が料理するんなら
助かってんじゃない?」
「・・・あ、うん。
喜んでくれてるけど・・・」
「・・・身体はさっぱり休まる暇、
なさそうだけど・・」
「・・・」
「田口って、
時間にきっちりした子なんだけどなぁ・・」
「・・・」
「客が来る日に約束の時間まで
用事を詰め込んで・・ってタイプの
いい加減な子じゃないし・・・」
・・・
(よりによってコーヒーとか・・・)
ネチネチと続く、笑顔の嫌味攻撃の中、
俺は、こっそりとうめいた。
こっちの世界だけの話かもしんないけど・・
コーヒーフィルターが売られてない。
いや、売られてるトコを見たことがない。
代わりにこの辺で
どんな風にコーヒーを飲むのか
教わったんだが・・
鍋で煮込んで冷ましてまた煮込む・・
ってな工程で作られるモノで、
やたら時間がかかる。
その工程を終えて、
あかりが戻ってくれるまで、
ニコニコ笑いながら怒っている
青木の相手を続けるのは、結構ツラい・・
青木は人をなぶる時に、
微笑みながら、わざと本題を外して、
雰囲気と遠回しな嫌味で攻めてくる。
意地悪女みたいなやり口だけど、
こんな露骨に嫌なやり口で攻撃してくる
意地悪女に会ったことがない。
・・・青木に怒られる度に、
嫌味って別に・・
女が専売特許持ってる訳じゃねーんだなぁ
・・と思う。
「ちゃんと、ナニするにも
許可とってるから・・俺・・」
モゴモゴと言い訳していたら、
粗暴な足音立てながら、
キッチンから戻ってきた和泉が、
ゴンッゴンッと音を立てて、
木製のマグカップを4つ、
テーブルに叩きつけるように置いた。
やばい、コッチも怒ってる。
既に青木に姑みたいにネチネチ絡まれて・・
いや、姑がいた事ないから、
聞いた話の姑イメージだけなんだけど・・
とにかくネチネチと絡まれて、
十分ダメージ受けてるトコに
真正面から怒ってる感じで、
和泉は俺の正面の席に男らしく、
どかっと座ると俺を睨んだ。
「・・・」
何も言わないでただただ、
怒ってるアピールだ。
「ちょ・・なんで睨むんだよ??」
「なんでもなーい・・」
ビビってる俺に和泉は
完全に怒ってる声で睨みながら言った。
「和泉、田口は?」
青木が、穏やかに聞くと、
和泉は青木の方を見るのに
俺から視線を外した。
「コーヒー・・
結構、時間かかるみたいだから、
私だけ先に戻ってきちゃった。」
青木はふーん・・と、頷いた後、
席を立った。
「じゃあ、俺が手伝うことないか、
聞いて・・」
「俺も・・・」
青木のネチネチとした攻撃はキツイけど、
ココで和泉に睨まれながら、
会話もなく2人で座っているのは耐え難い。
逃げるが勝ち・・そう思って、
俺も席を立とうとした時だった。
「あ・・あの、コーヒーお持ちしました。」
ポットに入ったコーヒーを
あかりが持ってリビングにやって来た。
「お待たせしてすみません。」
少し落ち着きを取り戻したらしい
あかりがそう言って、
和泉が持ってきたマグカップに
コーヒーを注いでいく。
「上澄みを飲んでください。
コーヒーの粉が沈んでいますので・・」
全員の前にマグカップを置いていく。
それからハチミツの焼き菓子を
俺の作ったムサカの隣に置いた。
「もし良かったら、
これも食べてくださいね。
甘いものを食べると、
気分、落ち着きます・・
私だけかも・・ですが・・・」
自信なさそうに言うあかりに、
青木は張り付いた穏やかな笑顔のまま
腰を下ろし、
和泉は小さくため息を吐いて、
俺を睨むのをやめて、
あかりが持ってきた焼き菓子を1つ摘んだ。
(助かった・・・)
「・・・とりあえず、
食べながら話そう?」
俺は、ほっとして青木と和泉に向き直った。
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