57 / 93
DAY 20. 幕間
魚の物思い 5
しおりを挟む
トニ side.
「・・・~~♪」
鼻歌まじりに寝室から出てきた
道哉さんは、ご機嫌です。
『良かったですね。』
最近は道哉さんとあかりさん、
お2人はギクシャクされていたのですが、
今日は、道哉さんが一也さんと会えた件で、
仲良く話を弾ませておられました。
「まぁな♪」
嬉しそうに言って道哉さんは
お手洗いに歩いて行かれます。
私も静かな夜でのんびりと
水中に置かれた石の下に入りました。
今日、お仕事に行かれたあかりさんが
頂いたお給料で
水槽用の石を買ってきてくれたのです。
石の下にできる隙間の
居心地もなかなか良く・・
私も機嫌良く過ごしておりました。
・・・ブブブブブ!
通信が入りました。
発信者は沙羅さんのサポートに
付いている魚のデニスです。
のんびりとした静かな時間だったので
少々、煩わしく、
思いつつ受信しました。
『はい。こちらはトニでございます。』
『こんばんは・・デニスです。』
『どうかなさいましたか?デニス』
『いえ、大したことでないんですが・・
先日のお詫びを・・』
『何のことでしょう?』
・・といっても何のことかは
よく分かっております。
危うく、報告会でエロース様が
お聞きになっているところで
クリスタと喧嘩をしそうになったことでしょう。
報告会前日に私とクリスタとデニスで
先に話し合いをさせて、先に言いたいことを
全て言わせることに致しました。
デニスとクリスタ・・と私は、
前日深夜まで話し込んだ上で
最終的にエロース様には
冷静に報告できるところまでは一致できたのでした。
二匹の冷静な報告を聞いた
エロース様の解決策提示はさすがでした。
『トニさんがクリスタの肩ばかり
持っているように見えて・・カッカしてて』
『喜怒哀楽は別に悪くありませんよ。
でもエロース様に余計なご心労を
お掛けしてはいけません。』
『はい・・』
『沙羅さんも納得されていますか?』
私がお尋ねすると、
デニスはホッとしたように答えました。
『ご機嫌ですね。
何しろ、ゲームが始まってから、
一也の奴と会話らしい会話ができないことが
寂しくて仕方がないようでしたから・・』
『それは良かった』
一也さんは睡眠時間が確保できるようになって、
沙羅さんは毎晩一也さんと会話ができる。
お2人にとってウィンウィンです。
『・・それにしても、一也の奴は、
沙羅の何が不満なんでしょうね・・』
デニスはイライラした様に言いました。
『メスに言い寄られて、オスが逃げるなんて・・』
・・・私達は一夫多妻制です。
ですから、ハーレムに入ってくる
メスを拒絶するオスは通常おりません。
『私達の常識を人間に押しつけてはいけませんよ。
デニス』
『でもですよ・・!!!』
・・・今夜もにぎやかに更けていくようです。
後輩の熱い思いを聞くのも大事な業務なんでしょう・・。
エラから取り込んだ空気が薄い気がして、
私はエラをパタパタと動かしました。
『聞いてますか?トニさん』
『ええ・・聞いておりますよ・・』
今夜は満月でしたっけ・・
窓から僅かに見える町明かりを見ながら
ぼんやりとそんな事を考えておりました。
「・・・~~♪」
鼻歌まじりに寝室から出てきた
道哉さんは、ご機嫌です。
『良かったですね。』
最近は道哉さんとあかりさん、
お2人はギクシャクされていたのですが、
今日は、道哉さんが一也さんと会えた件で、
仲良く話を弾ませておられました。
「まぁな♪」
嬉しそうに言って道哉さんは
お手洗いに歩いて行かれます。
私も静かな夜でのんびりと
水中に置かれた石の下に入りました。
今日、お仕事に行かれたあかりさんが
頂いたお給料で
水槽用の石を買ってきてくれたのです。
石の下にできる隙間の
居心地もなかなか良く・・
私も機嫌良く過ごしておりました。
・・・ブブブブブ!
通信が入りました。
発信者は沙羅さんのサポートに
付いている魚のデニスです。
のんびりとした静かな時間だったので
少々、煩わしく、
思いつつ受信しました。
『はい。こちらはトニでございます。』
『こんばんは・・デニスです。』
『どうかなさいましたか?デニス』
『いえ、大したことでないんですが・・
先日のお詫びを・・』
『何のことでしょう?』
・・といっても何のことかは
よく分かっております。
危うく、報告会でエロース様が
お聞きになっているところで
クリスタと喧嘩をしそうになったことでしょう。
報告会前日に私とクリスタとデニスで
先に話し合いをさせて、先に言いたいことを
全て言わせることに致しました。
デニスとクリスタ・・と私は、
前日深夜まで話し込んだ上で
最終的にエロース様には
冷静に報告できるところまでは一致できたのでした。
二匹の冷静な報告を聞いた
エロース様の解決策提示はさすがでした。
『トニさんがクリスタの肩ばかり
持っているように見えて・・カッカしてて』
『喜怒哀楽は別に悪くありませんよ。
でもエロース様に余計なご心労を
お掛けしてはいけません。』
『はい・・』
『沙羅さんも納得されていますか?』
私がお尋ねすると、
デニスはホッとしたように答えました。
『ご機嫌ですね。
何しろ、ゲームが始まってから、
一也の奴と会話らしい会話ができないことが
寂しくて仕方がないようでしたから・・』
『それは良かった』
一也さんは睡眠時間が確保できるようになって、
沙羅さんは毎晩一也さんと会話ができる。
お2人にとってウィンウィンです。
『・・それにしても、一也の奴は、
沙羅の何が不満なんでしょうね・・』
デニスはイライラした様に言いました。
『メスに言い寄られて、オスが逃げるなんて・・』
・・・私達は一夫多妻制です。
ですから、ハーレムに入ってくる
メスを拒絶するオスは通常おりません。
『私達の常識を人間に押しつけてはいけませんよ。
デニス』
『でもですよ・・!!!』
・・・今夜もにぎやかに更けていくようです。
後輩の熱い思いを聞くのも大事な業務なんでしょう・・。
エラから取り込んだ空気が薄い気がして、
私はエラをパタパタと動かしました。
『聞いてますか?トニさん』
『ええ・・聞いておりますよ・・』
今夜は満月でしたっけ・・
窓から僅かに見える町明かりを見ながら
ぼんやりとそんな事を考えておりました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる