【R18】翼神のイタズラ PLAYER No.037 大橋道哉の場合

DAY 2.

第１回ミッション

「さて、ミッションの話をしよう。
　まず言っておくが、
　ミッションは計12回渡す。
　今回は第1回目だ。」

「大体１月に1度こちらに伺って、
　ミッションをくださいと
　お願いすれば良いんですか？」

　田口が確認する様に言う。

「いや、今日は初回だからここに呼び寄せたが、
　今後はお前達2人のレベルが10、20、30・・と
　10上がる毎にその通信の腕輪で
　ここに来なくても、
　新規ミッションを受け取る事ができる。」

「12回ミッションを受け取るなら
　レベル110は必要という事ですか？」

　田口の疑問にエロースは頷いて
　クリア条件について説明を始める。

「このゲームのクリア条件は2つだ。」

　1.  2人ともレベル110に到達する。
　2. 12回目の最終ミッションを成功させる。

　以上の条件を365日の期間内にみたせなければ、
　ゲームオーバー。

　レベルが上がりやすいゲームか
　どうかは分からないけど、
　レベル110はかなり遠い。

　レベル3の俺とレベル1の田口は
　顔を見合わせた。

「12回目に渡す最終ミッションは1つだけ。
　1回目から11回目までは
　レベルを上げる為のミッションを
　複数渡すから、
　できるものを選んでこなすといい。」

　ここまで理解できた俺が頷くと、
　エロースが、【ミッション一覧表示】を
　確認する様に促す。

　ミッション一覧表示してみると、
　5個の青塗りの枠と
　5個の黄色い枠が表示された。

「んー・・」

　隣を見ると田口の画面にも
　5個の青い枠と
　4個の黄色い枠が表示されている。

「各項目数字が書かれているのは
　何でしょうか？」

　各項目には数字が3つ書かれている。

　例えば・・
【ハグ（CNT:∞  TIM:3 REW:1 ）】
　・・といった感じだ。

「CNTは24時間内での、
　対象ミッションの繰り返し実行可能回数。
　TIMはミッション完了までに必要な目安時間。
　REWは成功報酬の
　基本経験値と基本ポイントの量だ。」

　ポイントというと・・
　神器やお金に交換できるとか
　トニが昨日言ってたような気がする。

「基本経験値と基本ポイントの
　『基本』ってどういう意味ですか？」

「ミッション成功時に
　最低限保証される報酬だ。
　ミッションによっては、
　成功度によって追加ボーナスが付く。」

「つまり、【ハグ】は24時間何度でも
　実行可能で、
　大体3分かかるミッション。
　成功すれば経験値とポイントが
　それぞれ1ずつは最低限貰える
　ということですか？」

「合っているぞ。試しにやってみるといい。
　青のメニューを選択するのは
　メインプレイヤーの道哉だ。」

「いい？田口・・」
「大丈夫です。」

「【ハグ】」

　俺が言うのと同時にアナウンスが流れ始める。

『ミッションについてご説明致します。
　説明を飛ばす場合には【スキップ】、
　途中終了の場合は【キャンセル】
　と発話してください。』

「はい。」

　田口はマジメに頷くけど、
　人が喋ってる訳じゃない。

『成功条件は・・
　1.服を着た状態で3分間ハグすること
　2.【安心】のパラメータが各自6を
　　超えること

　以上です。』

「分かりました。」

　・・うん。
　アナウンスにいちいち返事をするのイイ。

『現在のパラメータを表示します。』

　視界の左右に俺と田口の
　【安心】パラメータとバーが
　それぞれ表示された。

【大橋道哉　レベル3】
【安心                     3/10】

【田口あかり　レベル1】
【安心                     2/10】

　15秒程それが表示された後、
　パラメータとバーの表示が消える。

『開始してください。』
　アナウンスがそこまで喋ったところで
　黙って見ていたエロースから
　声がかかった。

「ここで【パラメータ表示】する事はできるが、
　今回はこのまま、開始してみよ。」

（なんというかムードとかココから
　作るのムリじゃね？）

　俺の心配をよそに田口は俺に向かって両手を広げた。

「大橋君、開始だそうです。」

　・・うん。可愛い・・可愛いが、
　大勢が見守る中の【ハグ】ミッションは
　ちょっと滑稽だ。

「んーー・・」

　・・まぁイイかぁーと
　俺が田口を抱き寄せると
　田口は俺の胸に額を擦り付けた。

　・・・・

『3分経過しました。ミッション終了です。』

　アナウンスが入る。

　パラパラッパパー♪

『【ハグ】成功しました。
　また、必要パラメータを超えましたので
　追加報酬が入ります。
　3の経験値及びポイントを取得しました。』

「うーん・・・なんというか・・・
　ムード、もうちょっと
　どうにかなりませんかね？」

　今後もっと濃い・・なんかエロい事ができる
　ミッションの余韻に浸ってる時に
　ウキウキのファンファーレとか
　アナウンスとか
　流れたら結構最悪なんだが・・

　俺が微妙な顔をしてエロースを見ると、
　エロースも『ナイ』と思ったらしい。

「対応しよう。
　とにかく経験値は、それぞれに入り、
　ポイントは2人分がまとめて入る。」

『経験値は、
　パラメータ画面の
　【次のレベルまでの必要EXP】で確認できます。
　ポイントについてはメニューから
　【ポイント変換】で確認できます。』

　トニの補足説明に
　俺たちは経験値とポイントを確認する。

　必要EXPはそれぞれに
　3ずつ減って、
　ポイント変換画面には
　6ポイントと表示されている。

　ポイントは
　1000ポイントから交換できるらしい。
　まだ6ポイントだし・・
　しばらくこのメニューに用はなさそうだ。

『どうでしょう？
　道哉さん、あかりさん、
　ゲームの流れは掴めましたか？』

「はい！」
　田口は元気を取り戻したらしい。

「一応レベルが上がるにつれて
　必要な経験値が増えていくから
　序盤であまり時間を潰さず
　急いで進めていくようにな？」
　エロースが釘を刺した。

　因みに青のメニューは・・
【ハグ】
【キス】
【デート】
【食事】
【会話】
　・・なんとも期待はずれな内容だ。

「ところで、青い枠の項目は
　私と大橋君と同じで
　黄色い枠は違う様な気がするんですが・・」

　田口が不思議そうに言うので、
　黄色い枠を見比べる。

　因みに俺のは、こんな感じ
【筋トレ】
【ランニング】
【料理】
【ビボベラレッスン】
【スタフレッスン】

　対して田口のは・・
【筋トレ】
【ランニング】
【ハーラーレッスン】
【胸オナニー】

「田口、コレやる時、声かけて欲しい。」

　俺が割とマジな声で言う。

「・・・そうじゃないです。
　分からない項目もありますし、
　私と大橋君ので違うのが気になって・・」

　田口はそう言うと、俯いた。

「黄色は道哉とあかり、
　それぞれ1人でこなすミッションだ。
　青のミッションと違って
　2人で時間を合わせてする必要がないが、
　経験値が2人に入る事は無いし、
　ポイントも2人分入ることはない。」

「あの、【ビボベラ】【スタフ】【ハーラー】っていうのは・・？」

　田口の質問に初めて、
　プシュケーさんが口を開いた。

「あなた方の世界にはないと思いますが、
　【ビボベラ】は球技の１つ、
　【スタフ】は剣技の１つ、
　【ハーラー】は踊りの１つです。」

　俺達は顔を見合わせる。

「なんか、
　やたらトレーニング要素多くないですか？」

　ちょっとした期待を裏切られた俺に
　プシュケーさんがにっこり笑った。

「道哉さんは、
　身体を動かして
　気持ちを切り替える時間を取った方が
　お悩みの解決に繋がるかと・・

　ご期待の項目は2回目以降のミッションに
　持ち越しました。」

　プシュケーさんが気を遣ってくれているようで
　直接的な表現は避けてくれたが
　何ともいたたまれない。

「うむ。
　お前の早漏は、妄想のし過ぎだ。
　発散して仕切り直せ。」

（コイツは！！）
　
　・・らしいといえば、らしい・・

「いけません。
　エロース様・・女性もいる席で
　その様な事・・」

　プシュケーさんがやんわりと諌める。

「身体は動かした方が良いですよ。
　素晴らしい伽の為にも！」

　ヘードネーさんは楽しそうに笑う。

「あの・・でも、どうして私だけ
　その・・オナニーとか・・」

「・・・あかりさんに関しては、
　自分の身体について研究する時間を
　少しづつ
　期間を長めに取った方が良いと
　お父様が判断したからです。」

　ヘードネーさんの言葉にエロースが頷く。

「誰かに見せる必要はない。
　これもトレーニングと思えば良い。
　それに、どうしても嫌なら選ばなくとも良い」

　エロースは暫く考えて付け足した。

「ただ、あかりには、
　少しずつでも快楽を追う背徳的な
　時間を勧める。」

「？」

　田口が不思議そうにエロースを見上げると、
　エロースはニヨニヨ笑った。

「マジメな神はいくらでも知っているし、
　勝手にすれば良いと思うが
　人間の生はマジメに生きて
　時間を潰すのが惜しいほど短い。

　味わう事の可能な快楽を
　素直に味わう方が賢いと思うがなぁ・・」

「・・・考えます。」

　マジメな田口はマジメな顔をして頷いたが、
　隣で聞いてると無茶苦茶セクハラ臭かった。