桜の死神とシンデレラ

佐々倉 桜

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愉快な仲間。

その 3

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 キングが去ったあと夜と2人になる。

「さっきのみどりさんの顔見た?」

「それよりもあのダガーナイフは何処にしまっていたのかが気になる。」

「怒らせないように気を付けないとね。」

 ハハハ…と残りのコーヒーを口に運ぶ。

 ふっと窓から入る太陽の光を遮る影…反射的に目を向けると。
 窓にぐにぃっと押し付けている顔。

 ぶっ!?

 口から入ったコーヒーが違う所へ…。

「ごほっ!ごほ!ごほ!」

「桜華汚い!!服にシミがついたらどうするの!!高いのよ!!」

「すまん…でもコイツが外で…。」

 は既に姿を消していた。

「あれ?」

 目をパチパチさせていたら店のドアが開く。

「みどりすぁ~ん!おはようございます!」

 テンションMAXで入ってきたのは身長180センチ爽やか系のイケメン。
 さりげなく見えるシルバーネックレスのトップが光る。(いびつなハート形)

 不吹 冬馬ふぶき とうま

 狙った女は例え敵国の姫でも口説き落とす!と豪語する肉食系男子。別名『疫病神』

 テーブルに置いてあるおしぼりでこぼしてしまったコーヒーを拭いていると冬馬が俺の隣に座ってくる。

「よう!桜華ちゃん!夜も元気してるか!?」

「朝から元気だな冬馬…」

「元気が無いと女を悦ばすこともできないぜ?」

「ほーんと、頭の中は年中発情期ね冬馬は…。」

「誉め言葉として受け取っておくよ。」

 カカカと笑う冬馬にため息をつく夜。

「冬馬お前だけか?水夏のヤツはどうした?」

 チーム『四人神』の1人。

 九頭竜 水夏くずりゅう  すいか別名『破壊神』

 一言でいうと『天才プログラマー』の請け負いを管理して連絡をしてくる。
 依頼の連絡を逐一俺に送ってくるが…どの仕事を受けるのかは俺が決める事になっている。
 
「いや、アイツは昨日からパソコン画面と向き合って返事もしないからそのままにしてきた。」

 冬馬は水夏と同じマンションに住んでいる。

 常にパソコン相手ににらめっこしてる水夏は生活力が極めて低い。
 逆に冬馬はと炊事洗濯掃除となんでも器用にこなす。

「オムライス作ってきたから腹へったら食ってるだろカッカッカ!」

「水夏が1人でオムライスなんて想像するとなんか可愛いわね…萌える。」

「だろ?だから敢えてオムライスにしてみた!」

 夜は親指を立てグッチョブ。

「ところで、桜華ちゃん。」

「なんだ?」

「昨日部屋に担ぎ込んだ女はなんだ?誘拐でもしたか?」

「っ!?」

「えっ?なになにその話し?」

「いやー昨日の夜にコンビニに行った帰りなんだけどよ。桜華ちゃんのマンション前で見たんだよ。」

「見てたのか…。」

「面白そうだったからな。」

「ちょっと詳しく教えなさいよ。」

「俺も詳しく聞きたいな桜華ちゃん。」

 2人の視線が此方に向けられる。

「そんなに面白いことはないぞ?」

「あっ桜華ちゃんその前に1つ確認。」

「なんだよ?」

「あの女は人の女、又は人妻か?」

「指輪とかもしてなかったし違うと思うが…。」

「ふぅん…なら大丈夫かな?」

「何が?」

「何がって?もし人妻とかに手を出したらが容赦ないぜ?」

「なにかあったのか?」

「これは俺の知り合いから聞いた話しなんだけどなーーー……。」

 あの人が高校2年の時なんだけどな、当時付き合っていた女が居たんだ。
 確か…後輩で女の癖にめちゃくちゃ喧嘩が強くて噂ではレディースのボスなんじゃないか?という話しもあった奴らしい。
 あの人も喧嘩と言ったらあの人ってくらい名前が広まっていたからな入学当初から目をつけていたらしい。
 仲間の男を5人ほど引き連れて襲ったそうだが…結果は解るだろ?
 仲間の男は入学早々に全員病院送りで全治3ヶ月。
 剣道やの柔道の推薦入学枠の奴も居たが…どんなに頭が良くても成績残しても素行が悪い奴はどこまで行っても駄目なんだな。
 女の方は人差し指の一撃で脳震盪起こしてそうそうリタイアしたそうだ。
 井の中の蛙って奴だな。
 あの人には勝てないと解っていても毎日の様に挑戦していっては負けるというのを繰り返していったら…いつの間にか2人は付き合うことになったそうだ。
 当人同士の問題だから深くは解らんけどよ…。
 …で、問題はここから。
 …その女、3年の先輩に身体で落とされたそうなんだわ…。
 顔立ちは整っていたし喧嘩吹っ掛けてくるくらいだからスタイルも良かったらしいぞ。
 先輩と女は手を組み仲間を10人集めてあの人に不意打ち咬まして縛ったあと目の前であの人を罵りながらヤッたんだと。
 もう、あの人は怒り心頭ですわ。
 仲間の10人を瞬殺して先輩もフルボッコ。
 女も容赦なく殴られて股間にその場に転がっていたチェーンソー突き付けられて失禁しながら失神したそうだ。
 ただそれだけで終わらないのがあの人で…その先輩の親が病院の院長なんだけどな、院長の不正、賄賂、不倫、セクハラを次々に調べあげて院長のバックに居たヤバイ奴等も潰したみたいで、親子ともども俺に逆らうなと念書を書かされたそうだ。
 それ以来、あの人は不倫、浮気、寝盗られを一切許さないー………って話しだそうだ。
 何処までが本当かは解らないんだけどなー…。
 

「そんな話は聞いたことが無かったな…。」
 
「あの人なら本当にやりかねないから笑えないわね…。」

「だろ?だから桜華ちゃん不倫とか寝盗りとかはやめとけ!親友から愛を込めての忠告だ。」

「だから違うと…ってお前の知り合いって誰だよ?」

「ふふふ、実はその先輩の妹と仲良しなんだよね~俺!」

 はははと笑う冬馬。
 
 ぴーん          『神代』
 ちゃりーん  『夜』
 ※※※               『冬馬』

 3人同時にスマホが鳴る。

「冬馬、いいかげん普通の着信音に変えたらどうだ?」

「なんで?」

「卑猥…。」

 夜が本気でドン引きしている。

 スマホを見ると水夏からのLINEだ。

『『依頼人』

 旅の商人

『依頼内容』

 旅の途中だが息子が倒れてしまった。熱が下がらず昏睡状態が続いてる。
 そんな息子に新鮮な苺を食べさせてやりたいのだが俺は息子の側を離れる訳にはいかない。
 2ヶ月後には移動しなければならないのだが…。頼む!誰か息子に苺を!!                                 』
 

「何このメッセージは?」

 首を傾げる夜。

「水夏のヤツ最近モン◯ンにハマってるからな。」

か…。」

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