桜の死神とシンデレラ

佐々倉 桜

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真夏の夜の出会い。

その 1

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「『神代桜華』これが今回の報酬だ。」

 36×28位で銀色のアタッシュケースが手渡される。当然中身は確認しない。商売柄、信頼が最も大事とされているから。中身は有るものと大前提で話は進む。

「確かに…。」

 右手にアタッシュケースを持ち振り向かないで歩いていく。
 報酬の受け取りは終わったからもう用はない。

 『報酬』
 労働や仕事に対する謝礼。

 俺の仕事は運び屋ってところかな…ただそのが特殊な為にかなりの報酬を得ることが出来る。

 今回の報酬は5千万。

 誤解しないでもらいたいが…決して薬物などではない…そこは安心してもらっていい。

『新鮮な生モノ』…と言っておこう。

 今の世の中と言わず…どの時代だろうが場所だろうが必要とされる…『モノ』。

 それを運ぶのが俺の仕事。

 さてさて、少し話しすぎたようだ。大金を持ち歩くのも精神上良くないし…最近が彷徨いているという話も聞く。さっさと帰ろう。

 自宅へと向かうなか突如として夜空に閃光が走る。そして数秒後に…ぱぁんと花が咲く。

 「花火?」

 そう言えば、今の季節は夏。

 この近くの製薬会社の納涼祭が行われるとかなんとか…大方〆の花火というやつだろう…。

 所詮は会社のイベントレベルの花火だ、後数発で終わるだろうが花火は花火。

 夏の熱気に酔わされたのか…ただの気紛れなのか…自宅へ向けていたはずの足を公園へと向けた。

 こんな夜遅くに…全身白スーツの男(俺)が1人公園に居るなんて…客観的に見て怪しいが…なぁに花火を少し見て帰るだけだ…。

 2.5号玉に4号玉が数発。

 小さいながらも見事な花じゃないか…。

 ブランコにでも座って少し眺めよう。
 幸いブランコには…というか公園には先客はいない…逆にこの時間は居ないだろう…なにせ夜だしな…。

 ふぅーー………と思っていたのだがな……。

 公園の真ん中辺りあるベンチ…誰か座ってる…この時間に1人で…なかなか据わっているじゃないか…。

 人が居るのならば用はない。1人で見たいのかもしれないし…俺も1人で見たかったし…。

 帰ろう。

 再び帰路へと足を向け直す。

「うぅ…ひっく……ひっく…。」 

 泣き声か…?軽く周りを見渡すが誰もいない…と言うことは…。

「あの人か…。」

 この場(公園)に居るのは俺とあの人…で自分は泣いていない。他に何か有るのなら別だが…。(幽霊的な。)

 俺には関係ないと無視をするのは簡単だ…ただ…なら…。

 ため息をつき俺は…その泣いている(だろう)人に歩いていく。

「どうした、大丈夫か?」

 自分的に優しさMAXで話しかけた………つもりだった。

「いやぁぁぁぁぁぁ!来ないで!やめてぇぇぇ!!」

「落ち着け!何もしない!」

「嫌ぁぁぁ!あっちいってぇぇぇ!酷いことしないでぇぇぇ!!」

「なにもしないって!」

「お母ぁさぁぁぁぁん!!」

 ……話が通じない……。
 ……めんどくさい……。

 俺は女の後ろへと回り延髄に手刀を叩き付ける。

「がはっ………。」

 彼女はドサッ倒れ意識は遠くへと行ったところで改めて状況を確認する。

「乱れた服装…怯えた精神…顔にアザ……レイプでもされたか…。」

「やめて」「来ないで」というワードがあった。

「追いかけられてる?」

 話に聞くか?

 まぁ兎に角…この状況を他人に見られたら更にややこしくなるな…。

 気を失っている彼女を担ぎ今度こそ帰路へと足を進める。
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