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ジョルジョカ編
愛してる!
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十一日目。
ジョルジョカが綺麗な貝殻をくれた。光に当てると虹色に光る。俺はそれを自分の寝床の枕元に飾った。
十二日目。
ジョルジョカが何かの生き物の牙をくれた。狩りで獲ってきたらしい。感心して俺が眺めているとなんだか得意気にして、牙を加工して首飾りにしてくれた。かっこいい。俺はそれも枕元に飾った。
十三日目。
ジョルジョカが花束をくれた。おそらく野草だが、綺麗な小さな花をたくさん咲かせていた。空いた容器に水を入れて飾った。なんかおかしいな、と俺は気づき始めた。
ジョルジョカは必ず、何か言葉を添えて渡してくる。それは寝る前にも言われる言葉だった。俺はまだ聞き取りが難しくて、その音がどういう文字なのかわからない。辞書を片手に聞き返しても、ジョルジョカは教えてくれなかった。
絶対に解明してやる、と俺は辞書をめくった。この辞書は、なぜか恋人同士の会話についての例文が多い。おそらく辞書を作った人がクァラリブスと恋人だったんだと思う。
好意を示す言葉だと思うんだよな。俺は辞書とにらめっこしながら、翻訳にlikeと書かれた単語を発音してみる。ちょっと違う気がする。発音から単語を逆引きするの難しすぎる。
夜になり、また抱かれて眠る時に、ジョルジョカが例の言葉を呟いた。俺は真似して発音してみる。ジョルジョカがハッとして俺を見た。いつもなら発音を繰り返してくれるのに、ジョルジョカは何も言わなかった。なんだよ、と俺は不貞腐れて目を閉じた。
十四日目。
ジョルジョカはまた贈り物をくれた。綺麗な石だった。黒くてつるつるだ。また、例の言葉を言われる。俺はまた、それを真似して発音した。ジョルジョカはなんともいえない、俺には感情のわからない表情をして、俺に背を向けた。
なんなんだよ、と俺は日本語で毒づく。最近のジョルジョカの行動はよくわからない。また辞書をめくる。発音がだんだんわかってきた気がする。辞書はほとんどさらったと思うけど、該当する言葉は見つからない。載っていないのかもしれない。そう思ってから、まだちゃんと読んでいない部分があることを思い出した。恋人同士のやりとりだ。
一縷の望みをかけてそこに目を通していき、俺はついに目当ての言葉を見つけた。ジョルジョカが言っていたのはこれだ。訳を見た俺は満更でもなくて、口元がゆるんだ。I love you、とあった。
原因が判明してからは、俺はなんともいい気分だった。自分の力で言葉を聞き取れた上に、イケメンの友人がせっせと贈り物をくれて、しかも彼は通じないだろうと思いながらこっそり俺に愛を囁いている。かわいいなと思った。
俺、触手生物が恋人になっても大丈夫かな?と考えながら、ジョルジョカが飯を準備している後ろ姿を眺める。ジョルジョカはセクシーだ。上半身はムキッとしているし、下半身はもうエロの化身みたいな姿だし……というのは冗談で、実際ジョルジョカの下半身はかっこいい。長くて太いタコ足が何本か身体を支えていて、その他の触手は空中でゆらゆら揺れている。移動する時もシュルシュルシュルッて滑る感じでかっこいい。
それはそれとして、ジョルジョカとキスしたりセックスしたりできるかな?と俺は考えを巡らせた。しばらくジョルジョカを眺めて、俺は結論を出した。うーん、大丈夫そう。ジョルジョカかわいいし。
夜になるとまた寝床に引きずり込まれる。というより、もう当然のように触手で抱っこされて連れていかれた。俺のこと大好きじゃん。
ハンモックに横になったジョルジョカの厚い胸板に肘をついて、俺はジョルジョカの顔を眺める。ジョルジョカは不思議そうな顔をして俺を見ていた。こいつ俺のこと好きなのか、かわいいな。
愛してる、と拙い言葉で伝えてみた。俺もだよ、大丈夫だよ、という気持ちを込めて。ジョルジョカは目を見開く。そんな顔初めて見た。ジョルジョカは視線をウロウロさせて、ほんとに?って顔をしてる。そりゃそうだ、俺が意味を間違ってる可能性だってある。でも俺は俺の耳と辞書を信じるぞ。あと、ジョルジョカの愛情を。
伝わるかな?と思いながらゆっくり顔を近づけると、ジョルジョカは慌てたようにキョロキョロした。こっちにキスの文化がなければ、俺はただの変な奴だけど。そっと唇でジョルジョカの口に触れた。あまり唇が目立たない口だなと思ってたけど、本当にほとんど唇がなかった。ジョルジョカの皮膚は見た目よりスベスベしている。触手だって常時ヌルヌルしてるわけじゃなくて、普段はちょっとしっとりしてるだけだ。そのしっとりした触手が、ベリッと俺を引き剥がした。
ジョルジョカは荒く息をしていた。脇腹のヒラヒラが大きく動いて、エラみたいなものが見えた。やっぱりそこで呼吸してたんだ。
ジョルジョカが何か言った。「もう一回言ってくれ」みたいなことだと思う。最近は俺の聞き取り能力も上がってきたな。俺はもう一度言ってあげた。愛してるって。
「コータ……!」
ジョルジョカは触手で俺をぐるぐる巻きにして、拙く何度もキスしてきた。口をぶつけてるだけだ。俺は笑って、落ち着けとぺちぺち頬を叩いた。正しいキスを教えてやろう。俺だって女の子と付き合ったことくらいあるんだぞ。
ちゅう、と口を吸ってやると、ジョルジョカは固まった。大丈夫かな、と心配しながら舌で舐める。固まったままのジョルジョカの口を舌でこじ開ける。というよりはジョルジョカが開けてくれた。鋭い牙が舌に触れる。噛まれたらやばいなーと思いながらキスを深くして、舌でジョルジョカの舌を探った。恥ずかしがって奥に引っ込んでしまうが、大きいので先端には触れた。ぺちゃぺちゃとジョルジョカの舌を舐める。ジョルジョカは低く唸った。
かと思うと、急に俺を引き剥がし、ハンモックから降りて俺の寝床に転がすと、咆哮しながら家から飛び出していった。
ええ……?と俺は思わず呟いた。
ジョルジョカが綺麗な貝殻をくれた。光に当てると虹色に光る。俺はそれを自分の寝床の枕元に飾った。
十二日目。
ジョルジョカが何かの生き物の牙をくれた。狩りで獲ってきたらしい。感心して俺が眺めているとなんだか得意気にして、牙を加工して首飾りにしてくれた。かっこいい。俺はそれも枕元に飾った。
十三日目。
ジョルジョカが花束をくれた。おそらく野草だが、綺麗な小さな花をたくさん咲かせていた。空いた容器に水を入れて飾った。なんかおかしいな、と俺は気づき始めた。
ジョルジョカは必ず、何か言葉を添えて渡してくる。それは寝る前にも言われる言葉だった。俺はまだ聞き取りが難しくて、その音がどういう文字なのかわからない。辞書を片手に聞き返しても、ジョルジョカは教えてくれなかった。
絶対に解明してやる、と俺は辞書をめくった。この辞書は、なぜか恋人同士の会話についての例文が多い。おそらく辞書を作った人がクァラリブスと恋人だったんだと思う。
好意を示す言葉だと思うんだよな。俺は辞書とにらめっこしながら、翻訳にlikeと書かれた単語を発音してみる。ちょっと違う気がする。発音から単語を逆引きするの難しすぎる。
夜になり、また抱かれて眠る時に、ジョルジョカが例の言葉を呟いた。俺は真似して発音してみる。ジョルジョカがハッとして俺を見た。いつもなら発音を繰り返してくれるのに、ジョルジョカは何も言わなかった。なんだよ、と俺は不貞腐れて目を閉じた。
十四日目。
ジョルジョカはまた贈り物をくれた。綺麗な石だった。黒くてつるつるだ。また、例の言葉を言われる。俺はまた、それを真似して発音した。ジョルジョカはなんともいえない、俺には感情のわからない表情をして、俺に背を向けた。
なんなんだよ、と俺は日本語で毒づく。最近のジョルジョカの行動はよくわからない。また辞書をめくる。発音がだんだんわかってきた気がする。辞書はほとんどさらったと思うけど、該当する言葉は見つからない。載っていないのかもしれない。そう思ってから、まだちゃんと読んでいない部分があることを思い出した。恋人同士のやりとりだ。
一縷の望みをかけてそこに目を通していき、俺はついに目当ての言葉を見つけた。ジョルジョカが言っていたのはこれだ。訳を見た俺は満更でもなくて、口元がゆるんだ。I love you、とあった。
原因が判明してからは、俺はなんともいい気分だった。自分の力で言葉を聞き取れた上に、イケメンの友人がせっせと贈り物をくれて、しかも彼は通じないだろうと思いながらこっそり俺に愛を囁いている。かわいいなと思った。
俺、触手生物が恋人になっても大丈夫かな?と考えながら、ジョルジョカが飯を準備している後ろ姿を眺める。ジョルジョカはセクシーだ。上半身はムキッとしているし、下半身はもうエロの化身みたいな姿だし……というのは冗談で、実際ジョルジョカの下半身はかっこいい。長くて太いタコ足が何本か身体を支えていて、その他の触手は空中でゆらゆら揺れている。移動する時もシュルシュルシュルッて滑る感じでかっこいい。
それはそれとして、ジョルジョカとキスしたりセックスしたりできるかな?と俺は考えを巡らせた。しばらくジョルジョカを眺めて、俺は結論を出した。うーん、大丈夫そう。ジョルジョカかわいいし。
夜になるとまた寝床に引きずり込まれる。というより、もう当然のように触手で抱っこされて連れていかれた。俺のこと大好きじゃん。
ハンモックに横になったジョルジョカの厚い胸板に肘をついて、俺はジョルジョカの顔を眺める。ジョルジョカは不思議そうな顔をして俺を見ていた。こいつ俺のこと好きなのか、かわいいな。
愛してる、と拙い言葉で伝えてみた。俺もだよ、大丈夫だよ、という気持ちを込めて。ジョルジョカは目を見開く。そんな顔初めて見た。ジョルジョカは視線をウロウロさせて、ほんとに?って顔をしてる。そりゃそうだ、俺が意味を間違ってる可能性だってある。でも俺は俺の耳と辞書を信じるぞ。あと、ジョルジョカの愛情を。
伝わるかな?と思いながらゆっくり顔を近づけると、ジョルジョカは慌てたようにキョロキョロした。こっちにキスの文化がなければ、俺はただの変な奴だけど。そっと唇でジョルジョカの口に触れた。あまり唇が目立たない口だなと思ってたけど、本当にほとんど唇がなかった。ジョルジョカの皮膚は見た目よりスベスベしている。触手だって常時ヌルヌルしてるわけじゃなくて、普段はちょっとしっとりしてるだけだ。そのしっとりした触手が、ベリッと俺を引き剥がした。
ジョルジョカは荒く息をしていた。脇腹のヒラヒラが大きく動いて、エラみたいなものが見えた。やっぱりそこで呼吸してたんだ。
ジョルジョカが何か言った。「もう一回言ってくれ」みたいなことだと思う。最近は俺の聞き取り能力も上がってきたな。俺はもう一度言ってあげた。愛してるって。
「コータ……!」
ジョルジョカは触手で俺をぐるぐる巻きにして、拙く何度もキスしてきた。口をぶつけてるだけだ。俺は笑って、落ち着けとぺちぺち頬を叩いた。正しいキスを教えてやろう。俺だって女の子と付き合ったことくらいあるんだぞ。
ちゅう、と口を吸ってやると、ジョルジョカは固まった。大丈夫かな、と心配しながら舌で舐める。固まったままのジョルジョカの口を舌でこじ開ける。というよりはジョルジョカが開けてくれた。鋭い牙が舌に触れる。噛まれたらやばいなーと思いながらキスを深くして、舌でジョルジョカの舌を探った。恥ずかしがって奥に引っ込んでしまうが、大きいので先端には触れた。ぺちゃぺちゃとジョルジョカの舌を舐める。ジョルジョカは低く唸った。
かと思うと、急に俺を引き剥がし、ハンモックから降りて俺の寝床に転がすと、咆哮しながら家から飛び出していった。
ええ……?と俺は思わず呟いた。
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