168 / 173
後編#4
未来
しおりを挟む
『ねぇ優子見てよ。あたし腹筋割れてんべ』
『何言ってんの?あたしはもう先週には割れてたよー』
女のくせしてそんなことで張り合う中学生、あたしたちだけだったよな…
『やっぱスカジャンっつったら青でしょ。サテンのさ』
『赤だよ、赤!あたしは絶対赤!』
2人で初めてスカジャンを横須賀に買いに行った日、それを着て記念にプリクラを撮った。
あたしは青。あんたは赤。2人してばっちりキマッてたよね。
あれはあたしの1番のお気に入り。今でも本当はちゃんと持ってる…
樹。中学の卒業式はどんな格好で出たの?
派手好きで本当は目立ちたがりやのあんたはきっとあたしの想像もつかないような晴れ姿で門出を飾ったんだろうな…
DREAM。1回だけ見に行ったことがあるんだ。遠目からだけど。
いい店だな。にぎやかで笑いが絶えなくて雰囲気がいい。
静火と唯も一緒なんだろ?それ見てなんか安心したんだ。
でも樹。客より誰よりあんたの声が1番響いてて、あれじゃ多分近所迷惑だよ。
ズバリ当てようか?
あんたたち、彼氏いないだろ。
あんたと初めて喋ったのは小学校5年の時。同じクラスになってからだった。
あんたは絵が上手くて、いつも休み時間周りの子があんたの描いた絵を見に集まってて、みんな樹にお願いして自分のノートに描いてほしい絵を描いてもらってた。
あんたは授業中もそういう子たちのノートに一生懸命絵を描き込んでて、あたしはよくそれを横目で見てた。
『優子もなんか描いてあげる。何がいい?』
あたしのノートを1日わざわざ家に持って帰ってあんたが描いてきてくれたのは、となりのトトロに出てくるネコバスにメイとお姉ちゃんが乗ってる所だった。
すごく上手であたしは感激した。
真似してあたしも何回か描こうと思ったけど、あたしには無理だった。
でも樹。あたし、今は絵も描けるんだよ?
あたし、あんたと一緒に何か描きたかったんだ。
あんたと一緒に未來を描けたら、どんなに素敵だろう。
あんたとあたしの…未来…
廊下を駆けていく音が遠くなっていく。
鷹爪は走り出すと恐怖に顔をひきつらせたまま見向きもせず逃げていった。
引き金を引いた瞬間に分かった。撃ってはダメだと。
でも気付いた時には全て遅く、あたしの目の前で胸のど真ん中を撃ち抜かれた樹が倒れていた。
あたしが撃った…この手で…あたしが…
『何言ってんの?あたしはもう先週には割れてたよー』
女のくせしてそんなことで張り合う中学生、あたしたちだけだったよな…
『やっぱスカジャンっつったら青でしょ。サテンのさ』
『赤だよ、赤!あたしは絶対赤!』
2人で初めてスカジャンを横須賀に買いに行った日、それを着て記念にプリクラを撮った。
あたしは青。あんたは赤。2人してばっちりキマッてたよね。
あれはあたしの1番のお気に入り。今でも本当はちゃんと持ってる…
樹。中学の卒業式はどんな格好で出たの?
派手好きで本当は目立ちたがりやのあんたはきっとあたしの想像もつかないような晴れ姿で門出を飾ったんだろうな…
DREAM。1回だけ見に行ったことがあるんだ。遠目からだけど。
いい店だな。にぎやかで笑いが絶えなくて雰囲気がいい。
静火と唯も一緒なんだろ?それ見てなんか安心したんだ。
でも樹。客より誰よりあんたの声が1番響いてて、あれじゃ多分近所迷惑だよ。
ズバリ当てようか?
あんたたち、彼氏いないだろ。
あんたと初めて喋ったのは小学校5年の時。同じクラスになってからだった。
あんたは絵が上手くて、いつも休み時間周りの子があんたの描いた絵を見に集まってて、みんな樹にお願いして自分のノートに描いてほしい絵を描いてもらってた。
あんたは授業中もそういう子たちのノートに一生懸命絵を描き込んでて、あたしはよくそれを横目で見てた。
『優子もなんか描いてあげる。何がいい?』
あたしのノートを1日わざわざ家に持って帰ってあんたが描いてきてくれたのは、となりのトトロに出てくるネコバスにメイとお姉ちゃんが乗ってる所だった。
すごく上手であたしは感激した。
真似してあたしも何回か描こうと思ったけど、あたしには無理だった。
でも樹。あたし、今は絵も描けるんだよ?
あたし、あんたと一緒に何か描きたかったんだ。
あんたと一緒に未來を描けたら、どんなに素敵だろう。
あんたとあたしの…未来…
廊下を駆けていく音が遠くなっていく。
鷹爪は走り出すと恐怖に顔をひきつらせたまま見向きもせず逃げていった。
引き金を引いた瞬間に分かった。撃ってはダメだと。
でも気付いた時には全て遅く、あたしの目の前で胸のど真ん中を撃ち抜かれた樹が倒れていた。
あたしが撃った…この手で…あたしが…
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
イケメン御曹司とは席替えで隣になっても、これ以上何も起こらないはずだった。
たかなしポン太
青春
【第7回カクヨムコンテスト中間選考通過作品】
本編完結しました!
「どうして連絡をよこさなかった?」
「……いろいろあったのよ」
「いろいろ?」
「そう。いろいろ……」
「……そうか」
◆◆◆
俺様でイメケンボッチの社長御曹司、宝生秀一。
家が貧しいけれど頭脳明晰で心優しいヒロイン、月島華恋。
同じ高校のクラスメートであるにもかかわらず、話したことすらなかった二人。
ところが……図書館での偶然の出会いから、二人の運命の歯車が回り始める。
ボッチだった秀一は華恋と時間を過ごしながら、少しずつ自分の世界が広がっていく。
そして華恋も秀一の意外な一面に心を許しながら、少しずつ彼に惹かれていった。
しかし……二人の先には、思いがけない大きな障壁が待ち受けていた。
キャラメルから始まる、素直になれない二人の身分差ラブコメディーです!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
不動の焔
桜坂詠恋
ホラー
山中で発見された、内臓を食い破られた三体の遺体。 それが全ての始まりだった。
「警視庁刑事局捜査課特殊事件対策室」主任、高瀬が捜査に乗り出す中、東京の街にも伝説の鬼が現れ、その爪が、高瀬を執拗に追っていた女新聞記者・水野遠子へも向けられる。
しかし、それらは世界の破滅への序章に過ぎなかった。
今ある世界を打ち壊し、正義の名の下、新世界を作り上げようとする謎の男。
過去に過ちを犯し、死をもってそれを償う事も叶わず、赦しを請いながら生き続ける、闇の魂を持つ刑事・高瀬。
高瀬に命を救われ、彼を救いたいと願う光の魂を持つ高校生、大神千里。
千里は、男の企みを阻止する事が出来るのか。高瀬を、現世を救うことが出来るのか。
本当の敵は誰の心にもあり、そして、誰にも見えない
──手を伸ばせ。今度はオレが、その手を掴むから。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

中二病でも、恥ずかしい “ 創作言葉 ” 集!
越知鷹 けい
青春
俺の4文字漢字は、ひとあじ違うぜッ‼
ファンタジーを考えていたら思いつく“ 創作言葉 ” を綴ってみました
恥ずかしくても、ほっこりする内容にしています!
※版権がないと思うので、ご自由にお使いください(*'▽')

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる