139 / 173
後編#2
洗熊
しおりを挟む
『なんかさぁ、久しぶりだね』
思わず口から出た言葉だったが、自分で言っておきながら不思議だった。
『え?そーお?ついこの間来たばっかじゃない?』
泪も首を傾げる。
『いや…そうじゃなくて。なんか、会うのが…』
『ははっ、何言ってんの?あたしたちほぼ毎日顔合わしてると思うんですけど』
泪は呆れて言うが、確かに言われてみればずーっと一緒だった気がする。
『そうだよね。なんでかな?あたし何言ってんだろ』
もうかれこれ小学校の頃からこの泪とはずーっと一緒にいる。昨日も、一昨年も一緒だった。そうだ、なんで自分はそんなことを…
高校に上がって走り屋のチーム焔狼を作って、自分と泪と琉花と千歌、これからもずっと一緒にって口ぐせのように言ってたのは自分じゃないか。
『ねぇねぇ聞いて!さっきさぁ、超可愛いのがいたの。あれなんだろ、アライグマ?』
『アライグマなんてこんなとこにいないと思うけど。タヌキじゃない?』
『えぇぇ!?タヌキってあんなに可愛いの!?なんかマンガとかで見るのと全然違くない!?あたしあの子飼いたいんですけど!』
『いや、結構狂暴だってなんかで見たよ?飼うのは無理じゃない?』
『だってあの子超~可愛いかったんだよ!?あっ!写真撮ればよかった!まだ近くにいないかな?瞬、ちょっと一緒に行こっ!』
『え?行こって?えっ?』
泪は瞬の手を引きグイグイ林の中を進んでいった。
『ねぇ泪、あんま行きすぎると戻れなくない?』
『へーきへーき。この人間磁石泪ちゃんに任せなさい。もうちょっと向こうなんだ』
そう言って泪はどんどん奥に入っていってしまう。ちゃんと帰れるだろうか。
いや…というより、何か忘れてるような…
思わず口から出た言葉だったが、自分で言っておきながら不思議だった。
『え?そーお?ついこの間来たばっかじゃない?』
泪も首を傾げる。
『いや…そうじゃなくて。なんか、会うのが…』
『ははっ、何言ってんの?あたしたちほぼ毎日顔合わしてると思うんですけど』
泪は呆れて言うが、確かに言われてみればずーっと一緒だった気がする。
『そうだよね。なんでかな?あたし何言ってんだろ』
もうかれこれ小学校の頃からこの泪とはずーっと一緒にいる。昨日も、一昨年も一緒だった。そうだ、なんで自分はそんなことを…
高校に上がって走り屋のチーム焔狼を作って、自分と泪と琉花と千歌、これからもずっと一緒にって口ぐせのように言ってたのは自分じゃないか。
『ねぇねぇ聞いて!さっきさぁ、超可愛いのがいたの。あれなんだろ、アライグマ?』
『アライグマなんてこんなとこにいないと思うけど。タヌキじゃない?』
『えぇぇ!?タヌキってあんなに可愛いの!?なんかマンガとかで見るのと全然違くない!?あたしあの子飼いたいんですけど!』
『いや、結構狂暴だってなんかで見たよ?飼うのは無理じゃない?』
『だってあの子超~可愛いかったんだよ!?あっ!写真撮ればよかった!まだ近くにいないかな?瞬、ちょっと一緒に行こっ!』
『え?行こって?えっ?』
泪は瞬の手を引きグイグイ林の中を進んでいった。
『ねぇ泪、あんま行きすぎると戻れなくない?』
『へーきへーき。この人間磁石泪ちゃんに任せなさい。もうちょっと向こうなんだ』
そう言って泪はどんどん奥に入っていってしまう。ちゃんと帰れるだろうか。
いや…というより、何か忘れてるような…
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
逢魔ヶ刻の迷い子3
naomikoryo
ホラー
——それは、閉ざされた異世界からのSOS。
夏休みのある夜、中学3年生になった陽介・隼人・大輝・美咲・紗奈・由香の6人は、受験勉強のために訪れた図書館で再び“恐怖”に巻き込まれる。
「図書館に大事な物を忘れたから取りに行ってくる。」
陽介の何気ないメッセージから始まった異変。
深夜の図書館に響く正体不明の足音、消えていくメッセージ、そして——
「ここから出られない」と助けを求める陽介の声。
彼は、次元の違う同じ場所にいる。
現実世界と並行して存在する“もう一つの図書館”。
六人は、陽介を救うためにその謎を解き明かしていくが、やがてこの場所が“異世界と繋がる境界”であることに気付く。
七不思議の夜を乗り越えた彼らが挑む、シリーズ第3作目。
恐怖と謎が交錯する、戦慄のホラー・ミステリー。
「境界が開かれた時、もう戻れない——。」
黄昏時の歌姫
凪司工房
青春
就職活動に失敗し、コンビニでアルバイトを続ける飯山大地の趣味はDTMだった。
着想のために見つけた廃墟となった教会で、彼はそこで黄昏時に歌いに来ている謎の女性を知る。
やがて彼女と話す機会が得られ、彼は彼女の為に曲を作ることになったが。
これは偶然の出会いから淡い思い出が生まれる静かな物語。黄昏時にどうぞ。
舞桜~龍華10代目総長~
織山青沙
恋愛
龍華、全国No.1の暴走族。
あることが原因で10代目総長が突然居なくなった。
それから半年後、元男子高校に一人の女子生徒が転校してきた。
彼女の名は西山葵。
ひょんな事から葵は全国No.2の暴走族、白狼に守られることに。
白狼には葵と同じく何かしらの闇があった。
ある日、龍華の仲間がずっと探し続けていた総長を見つけるも返ってきた言葉は「ごめん……戻らない。これ以上仲間を失いたくない……」だった。
総長が辞めた理由とは?
白狼、葵の闇とは──
これは葵とある男が出会い結婚するまでのお話。
※この作品に出てくる人名、団体名は全て架空のものでフィクションです。
※未成年(20歳未満)の喫煙、飲酒は法により禁止されています。
彼と彼女の365日
如月ゆう
青春
※諸事情により二月いっぱいまで不定期更新です。
幼馴染みの同級生二人は、今日も今日とて一緒に過ごします。
これはそんな彼らの一年をえがいた、365日――毎日続く物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
お嬢様と魔法少女と執事
星分芋
青春
魔法少女の嶺歌(れか)はある日をきっかけに不思議なお嬢様ーー形南(あれな)とその執事の兜悟朗(とうごろう)二人と関わりを持ち始める。
引き合わせ、友好関係の築きあげ、形南の隠された過去と様々な事態を経験していき少しずつ形南との友情が深まっていく中で嶺歌は次第に兜悟朗に惹かれていく。
年の離れた優秀な紳士、兜悟朗との恋は叶うのか。三人を中心に描いた青春ラブストーリー。
※他の複数サイトでも投稿しています。
※6月17日に表紙を変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる