121 / 173
後編
じゃかぁしい
しおりを挟む
『おい!槐!槐やんなぁ、お前…こんなとこで何してんねん!』
とても槐だと分かるような顔ではなかった。
顔は文字通りアンパンマンのようにもう全体が腫れ、目の上も腫れすぎてほぼ両方開いていない。
皮があちこちベロッとむけ、擦り傷が深すぎて骨が白くうっすらと見えてしまっている所もあり歯も何本か折られているようだ。
槐は見えていなかったが声で誰か分かった。
薬のおかげでまだ痛みはない。それでも気を失ってしまっていたのはもし薬が効いていなかったら実際受けているダメージが気絶する程のものであることを意味するのだろう。
薬が切れてしまった時のことを考えるのが憂鬱だった。
あれはもうこりごりだ。
『おい!槐ぅ!しっかりせぇ!すぐ病院連れてったるからな!』
違う。そうじゃないんだ。自分がしてほしいことはそんなことじゃない。
『ま…まば…ゆ…』
『おぉ!喋れるんか!?もう大丈夫やぞ!今あたしが連れてったるからな!』
そうじゃない。
自分がしてほしいことはそんなことじゃない。
槐は眩の手を弱々しい力でつかむと放さなかった。
『なんや槐!どないした!苦しいか!?』
違う。
槐は微かに首を振った。
槐はそのボコボコに腫れた顔の目の僅かな隙間から涙を流した。
そして、力の入らない手でピースを作って眩に見せた。
槐が泣いている。
この女がジョーダンでもピースなんてしないこと位眩は誰よりも知っていた。
『…はっ、なんや槐。よぉ分かったわ。悔しいんやな?めっちゃ頭にきとんのやな?そんであたしに倒せと言うとんのやろ?…お前はいっつもそうや。いっつも1人でどこそこにケンカしに行って結局あたしや煌が助けに行くねん。それが大阪喧嘩會の主な活動内容。そうやったな』
そしていつも眩はケンカに勝った後決まってピースした。子供のように無邪気な顔で。
『安心せぇ槐。いつも通りや。お前が負けた相手をあたしが倒す。大阪喧嘩會の名にかけてや』
眩は槐をそっと寝かすと立ち上がった。
アジラナはその様子を見てニンマリと笑っていた。
『kuッkuッku、huッhuッhuッhu。クチホドニモナイヤツダッタヨ。ゲヒンナカンサイベンノサル』
眩はカッと目を見開いて怒鳴り散らした。
『じゃかぁしぃわボケェ!!今すぐ○✕□✕○△□△…!!』
もはや何を言っているか分からなかったが、あまりの迫力に周りにいた人間が思わず離れた。
眩の迫力はもちろんすごいが、しかしアジラナはもうすでに人間ではないようだった。
とても槐だと分かるような顔ではなかった。
顔は文字通りアンパンマンのようにもう全体が腫れ、目の上も腫れすぎてほぼ両方開いていない。
皮があちこちベロッとむけ、擦り傷が深すぎて骨が白くうっすらと見えてしまっている所もあり歯も何本か折られているようだ。
槐は見えていなかったが声で誰か分かった。
薬のおかげでまだ痛みはない。それでも気を失ってしまっていたのはもし薬が効いていなかったら実際受けているダメージが気絶する程のものであることを意味するのだろう。
薬が切れてしまった時のことを考えるのが憂鬱だった。
あれはもうこりごりだ。
『おい!槐ぅ!しっかりせぇ!すぐ病院連れてったるからな!』
違う。そうじゃないんだ。自分がしてほしいことはそんなことじゃない。
『ま…まば…ゆ…』
『おぉ!喋れるんか!?もう大丈夫やぞ!今あたしが連れてったるからな!』
そうじゃない。
自分がしてほしいことはそんなことじゃない。
槐は眩の手を弱々しい力でつかむと放さなかった。
『なんや槐!どないした!苦しいか!?』
違う。
槐は微かに首を振った。
槐はそのボコボコに腫れた顔の目の僅かな隙間から涙を流した。
そして、力の入らない手でピースを作って眩に見せた。
槐が泣いている。
この女がジョーダンでもピースなんてしないこと位眩は誰よりも知っていた。
『…はっ、なんや槐。よぉ分かったわ。悔しいんやな?めっちゃ頭にきとんのやな?そんであたしに倒せと言うとんのやろ?…お前はいっつもそうや。いっつも1人でどこそこにケンカしに行って結局あたしや煌が助けに行くねん。それが大阪喧嘩會の主な活動内容。そうやったな』
そしていつも眩はケンカに勝った後決まってピースした。子供のように無邪気な顔で。
『安心せぇ槐。いつも通りや。お前が負けた相手をあたしが倒す。大阪喧嘩會の名にかけてや』
眩は槐をそっと寝かすと立ち上がった。
アジラナはその様子を見てニンマリと笑っていた。
『kuッkuッku、huッhuッhuッhu。クチホドニモナイヤツダッタヨ。ゲヒンナカンサイベンノサル』
眩はカッと目を見開いて怒鳴り散らした。
『じゃかぁしぃわボケェ!!今すぐ○✕□✕○△□△…!!』
もはや何を言っているか分からなかったが、あまりの迫力に周りにいた人間が思わず離れた。
眩の迫力はもちろんすごいが、しかしアジラナはもうすでに人間ではないようだった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
暴走♡アイドル ~ヨアケノテンシ~
雪ノ瀬瞬
青春
アイドルになりたい高校1年生。暁愛羽が地元神奈川の小田原で友達と暴走族を結成。
神奈川は横浜、相模原、湘南、小田原の4大暴走族が敵対し合い、そんな中たった数人でチームを旗揚げする。
しかし4大暴走族がにらみ合う中、関東最大の超大型チーム、東京連合の魔の手が神奈川に忍びより、愛羽たちは狩りのターゲットにされてしまう。
そして仲間は1人、また1人と潰されていく。
総員1000人の東京連合に対し愛羽たちはどう戦うのか。
どうすれば大切な仲間を守れるのか。
暴走族とは何か。大切なものは何か。
少女たちが悩み、葛藤した答えは何なのか。
それは読んだ人にしか分からない。
前髪パッツンのポニーテールのチビが強い!
そして飛ぶ、跳ぶ、翔ぶ!
暴走アイドルは出てくるキャラがみんなカッコいいので、きっとアイドルたちがあなたの背中も押してくれると思います。
暴走♡アイドル2 ~ヨゾラノナミダ~
雪ノ瀬瞬
青春
夏だ!旅行だ!大阪だ!
暁愛羽は神奈川の暴走族「暴走愛努流」の総長。
関東最大級の東京連合と神奈川4大暴走族や仲間たちと激闘を繰り広げた。
夏休みにバイク屋の娘月下綺夜羅と東京連合の総長雪ノ瀬瞬と共に峠に走りに来ていた愛羽は、大阪から1人で関東へ走りに来ていた謎の少女、風矢咲薇と出会う。
愛羽と綺夜羅はそれぞれ仲間たちと大阪に旅行に行くと咲薇をめぐったトラブルに巻きこまれ、関西で連続暴走族襲撃事件を起こす犯人に綺夜羅が斬られてしまう。
その裏には1人の少女の壮絶な人生が関係していた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる