暴走♡アイドル3~オトヒメサマノユメ~

雪ノ瀬瞬

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後編

もう1つの悪夢

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 SEXYMARIAの負けはほぼ確定的であるのにアジラナは奇妙な笑みを浮かべていた。

『オイこら、殴られすぎて頭おかしなったんか?何笑てんねん』

『フッフッフ。クックックック。サスガレディダトオモッタノサ。ケッキョクアイツノユウトオリニナッチマッタンダカラナ』

『なんやと?こうなることが分かってたとでもゆーんか。アホくさ。負け惜しみか』

『マケ?ナニヲイッテイル。レディハワタシタチノカンゼンショウリヲシッテイタ』

『知ってたやと?何を言うてんねん。この状況見てみぃや』

『…ミルノハオマエラノホウダ』

 アジラナはポケットから注射器を2セット取り出した。

『なんやと?それは…』

 そして両手に2本ずつ持つとそれを4本同時に自分の首に打ち込んだ。

『し、しまったぁ!!』

『アッハッハッハ!オマエラノヨウナコムスメ、ユキノセシュンノヨウナヤツガサイキョウヲホコレタンダ。ワタシガツカエバドウナルカハワカルダロウ。シカモ、ニホンドウジニダ』

 アジラナの目は血走り、瞳孔が開き興奮状態もあるのかその様子は見るからに普通ではなかった。

『サァ、クスリガキイテキタゾ。サイコウナキブンダ。オイ、サル。ジュウジヲキッテツミヲコクハクシロ』

 筋肉が不自然な程盛り上がっているのが分かる。血管が浮き出て破裂しそうな位張っている。
 体がついさっきより一回りも大きく見える。

 いや、確実にでかくなっている。顔つきもさっきとは別人だ。

『…ふざけんなや。こっちは15年逃げきる腹決めとんねん』

 アジラナは構うことなく1発目、速いパンチを打ってきた。

『うっ!』

 当たったのはあばらだ。そして今、下の方の骨が1本折れたらしい。

 槐も鎮痛剤のおかげで痛みを感じていないがそれでも骨を伝わってピリッとした痛みのようなものが分かる。今はなんともないことだったが薬が切れた時のことを思うと溜め息が出た。

 槐は痛みこそないがこの目の前の外人に明らかな恐怖心があった。

(こいつは、危険や…車ででもひき殺して五体不満足にしておかんと何をしてくるか分からん。あたしの中の何かがそう言っとる…)

 アジラナに比べたらまだ槐の方がまともということなのか、槐は未だかつて感じたことのない危機を感じた。

 だがアジラナは考える時間すら与えなかった。

『Hey!ドンドンイキマッセ!!』

 右から左から上から下から、アジラナはもう痛みを感じない分、防御もさっきまでのような技術も使わずただ猛威を振るった。

 槐はただ打ち合いに徹するしかなく、だが2人には絶対的な力の差が見れた。
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