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後編
悪役商会
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『見えた!いたぞ!CRSだ!』
先頭を走る玲璃が声をあげた。CRSの群れの手前で単車を停め、愛羽たちに悪修羅嬢、天王道姉妹はCRSの方へ歩きだしていった。
歩きながら豹那は愛羽たちに言った。
『いいね?お前たちは作戦通り動くんだ。戦線はあたしたちに任せてね』
続いて豹那は悪修羅嬢全軍に向き直った。
『いいかいお前ら!今日が決着つける日だ!夜叉猫も覇女もあのくそったれ共にやられた!』
伴がやられた後、夜叉猫は全軍で厚央に攻め込み厚央のSEXYMARIAたちとやり合った。
しかし総長を欠いた夜叉猫は返り討ちに合い、逆に相手を勢いづかせる結果となってしまっていた。
白桐優子が圧倒的に強く、とても夜叉猫側に敵う者などおらず、その傍らでもあのアジラナが猛威を振るった。
結局大和や川崎の応援なしで神奈川4大暴走族の一角を叩きのめしてしまったのだ。勢いづくのは目に見えていた。
そしてその後、四阿率いる川崎CRAZYVENUSと特別任務中で八代心愛と霞ヶ﨑燎が不在の大和REDQUEENが覇女の集会に乗りこみをかけた。
おおよそ数では互角だったがこちらも四阿に加えてレディが参戦し圧倒的敗北という形になっていた。
事実上神奈川4大暴走族は今潰されかけているということだ。
『言うなれば奴らは挑戦者ってとこさ。いいのかい?このままやられっぱなしで。あたしは御免だね!この戦いにあたしの暴走族人生を賭けてもいい!』
豹那には今日絶対に負けられない理由がある。
『見せてやろうじゃないか!神奈川の暴走族はあたしたちだってね!』
悪修羅嬢のメンバーたちが強い眼差しでうなずいて豹那は敵の方に振り返り歩きだした。
『CRSを倒す!!あたしに続け!!』
豹那を先頭に悪修羅嬢たちは一斉に走りだしかかっていった。
ついに決戦の火蓋が切って落とされた。
ー作戦はこうだー
『いいかい?その場は国道を埋め尽くして一時は敵味方の区別もつかなくなる程の混戦状態になるはずだ。人質の居場所となれば全員が知ってる訳でもないだろう。ほんの一握りのはずだ。こっちが探っていると知れたら場所を移されるかもしれない。そうなったら明日中に人質を助け出すのはもう無理さ。だからなるべく少人数で確実に動くんだ。まずは誰が知ってそうかをつきとめること。そしてそいつを混乱に乗じて影に連れてって一気にボコボコにして吐かせるんだ。吐くまで徹底的に、そしてその後それが知られないように確実にぶっ潰してやる必要がある。それができそうなのは…姉妹と玲璃、麗桜に蘭菜ってとこかな?』
『え!?豹那さん、あたしは!?』
愛羽はうんうんとうなずきながら結局自分の名前が呼ばれなかったことに落胆した。
『お前は甘っちょろいからダメだよ』
すると横から蓮華も入ってきた。
『豹那さん。あたしも人質助ける方に行きたい』
そう立候補する蓮華だったが豹那は首を縦には振らなかった。
『あのね、これはやりたいかやりたくないかじゃなくて、できる前提の話じゃなきゃいけないんだ。それに人質見張ってる奴だってザコのペーペーって訳じゃないはずさ。仮にも七条たちを見張んなきゃならないんだからね。あんたには荷が重い。そんであんたも拐われてごらん?そしたらもう打つ手はないんだよ』
『でも…』
蓮華は悔しそうな顔をして唇を噛んだ。
作戦通り天王道姉妹に玲璃、麗桜、蘭菜の5人は乱闘の1歩外から人質の居場所を知っていそうな人間を選定していた。
だがそうは言ってもそれは完全な勘でしかない。おそらく200人はいるであろう敵の中から誰を選ぶかは非常に難しい作業になる。
『ちっ、どいつだ?どいつなら知ってんだ?』
『やっぱ、片っ端からいくしかなさそうだな』
玲璃も麗桜も集中して目を凝らすが、人質の居場所を知っているかいないかなんて顔を見ただけで分かる訳もない。
『最悪そうなるやろな。ただそれやったら、あたしに名案があんで』
『名案?なんなの?姉さん』
眩はニヤリと笑って得意気に言った。
『あぁ…なるべく顔か態度のムカつく奴から引っぱり出していく』
『…なるほど』
その時、蘭菜以外の4人の顔があの有名な悪役商会に就職した。
先頭を走る玲璃が声をあげた。CRSの群れの手前で単車を停め、愛羽たちに悪修羅嬢、天王道姉妹はCRSの方へ歩きだしていった。
歩きながら豹那は愛羽たちに言った。
『いいね?お前たちは作戦通り動くんだ。戦線はあたしたちに任せてね』
続いて豹那は悪修羅嬢全軍に向き直った。
『いいかいお前ら!今日が決着つける日だ!夜叉猫も覇女もあのくそったれ共にやられた!』
伴がやられた後、夜叉猫は全軍で厚央に攻め込み厚央のSEXYMARIAたちとやり合った。
しかし総長を欠いた夜叉猫は返り討ちに合い、逆に相手を勢いづかせる結果となってしまっていた。
白桐優子が圧倒的に強く、とても夜叉猫側に敵う者などおらず、その傍らでもあのアジラナが猛威を振るった。
結局大和や川崎の応援なしで神奈川4大暴走族の一角を叩きのめしてしまったのだ。勢いづくのは目に見えていた。
そしてその後、四阿率いる川崎CRAZYVENUSと特別任務中で八代心愛と霞ヶ﨑燎が不在の大和REDQUEENが覇女の集会に乗りこみをかけた。
おおよそ数では互角だったがこちらも四阿に加えてレディが参戦し圧倒的敗北という形になっていた。
事実上神奈川4大暴走族は今潰されかけているということだ。
『言うなれば奴らは挑戦者ってとこさ。いいのかい?このままやられっぱなしで。あたしは御免だね!この戦いにあたしの暴走族人生を賭けてもいい!』
豹那には今日絶対に負けられない理由がある。
『見せてやろうじゃないか!神奈川の暴走族はあたしたちだってね!』
悪修羅嬢のメンバーたちが強い眼差しでうなずいて豹那は敵の方に振り返り歩きだした。
『CRSを倒す!!あたしに続け!!』
豹那を先頭に悪修羅嬢たちは一斉に走りだしかかっていった。
ついに決戦の火蓋が切って落とされた。
ー作戦はこうだー
『いいかい?その場は国道を埋め尽くして一時は敵味方の区別もつかなくなる程の混戦状態になるはずだ。人質の居場所となれば全員が知ってる訳でもないだろう。ほんの一握りのはずだ。こっちが探っていると知れたら場所を移されるかもしれない。そうなったら明日中に人質を助け出すのはもう無理さ。だからなるべく少人数で確実に動くんだ。まずは誰が知ってそうかをつきとめること。そしてそいつを混乱に乗じて影に連れてって一気にボコボコにして吐かせるんだ。吐くまで徹底的に、そしてその後それが知られないように確実にぶっ潰してやる必要がある。それができそうなのは…姉妹と玲璃、麗桜に蘭菜ってとこかな?』
『え!?豹那さん、あたしは!?』
愛羽はうんうんとうなずきながら結局自分の名前が呼ばれなかったことに落胆した。
『お前は甘っちょろいからダメだよ』
すると横から蓮華も入ってきた。
『豹那さん。あたしも人質助ける方に行きたい』
そう立候補する蓮華だったが豹那は首を縦には振らなかった。
『あのね、これはやりたいかやりたくないかじゃなくて、できる前提の話じゃなきゃいけないんだ。それに人質見張ってる奴だってザコのペーペーって訳じゃないはずさ。仮にも七条たちを見張んなきゃならないんだからね。あんたには荷が重い。そんであんたも拐われてごらん?そしたらもう打つ手はないんだよ』
『でも…』
蓮華は悔しそうな顔をして唇を噛んだ。
作戦通り天王道姉妹に玲璃、麗桜、蘭菜の5人は乱闘の1歩外から人質の居場所を知っていそうな人間を選定していた。
だがそうは言ってもそれは完全な勘でしかない。おそらく200人はいるであろう敵の中から誰を選ぶかは非常に難しい作業になる。
『ちっ、どいつだ?どいつなら知ってんだ?』
『やっぱ、片っ端からいくしかなさそうだな』
玲璃も麗桜も集中して目を凝らすが、人質の居場所を知っているかいないかなんて顔を見ただけで分かる訳もない。
『最悪そうなるやろな。ただそれやったら、あたしに名案があんで』
『名案?なんなの?姉さん』
眩はニヤリと笑って得意気に言った。
『あぁ…なるべく顔か態度のムカつく奴から引っぱり出していく』
『…なるほど』
その時、蘭菜以外の4人の顔があの有名な悪役商会に就職した。
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