85 / 173
中編
やっと会えたと思ったら
しおりを挟む
『やぁやぁ!お前がアカツキアイハか!』
戦国原から連絡を受け愛羽たちはすぐに合流した。
『ん?あーあーおったおった。最後ちょろっと顔見たわ。なんや君がアカツキアイハやったんか、思てたんと違ったわ。あっはっは!』
眩は1人で喋り1人で笑っている。夏の時はあーやったこーやったと聞いてもないことを長々と一方的に話され、さすがの愛羽も少し困っている。
『あ、あの~…それで、あたしに用って…』
『用はまずこれや。この指輪、誰のか知っとるやろ?』
愛羽はその指輪を数秒見つめたが、その口からは持ち主の名は出てこなかった。
『え?これ?』
『あぁ、そうや。これや』
眩はニコニコしながら答えを待っている。
『…ん?…あぁ、これ…誰のだろ…あれ?…うーん…』
散々考え、もしくは考えたフリをして出た答えは
『…すいません…ちょっと分かりません…』
という笑顔だった。
眩は吹き出しながら倒れた。
『えぇ~!!嘘やろ!?嘘や!!』
すると横から麗桜が入っていった。
『あれ?これ、樹さんのじゃねぇかな?なんかちょっと見覚えあるような…』
途端に眩が笑顔を取り戻した。
『おぉ!そやろ!?そやねん!イツキっちゅー姉ちゃんかルハナっちゅー子のどっちかであるのは間違いないねん!』
『琉花ちゃんはこんなごっついのしないよ。もっと可愛いの着けてたよ』
蓮華はちゃんとそういう所を見ている。
『じゃあ樹さんので決まりだね。よかった~、あたしせっかく来てくれたのに全然見覚えないからどーしよーかと思っちゃった』
愛羽はまだ人の着けているアクセサリーなどに目がいかない。
眩はとりあえず持ち主が分かり、今回神奈川に来てやっと手応えをつかめたことに感動していた。
『ぃやったで煌!どうなることや思たけど、なんとかここまで来れたわ!』
『ちょっ…姉さん…』
喜びのあまり眩は抱きつき煌はまた顔を赤くしているが今回は照れているようだ。
『姉さん…それより、もう1つ話が』
姉に抱きつかれうっとりする妹に言われると眩は話を続けた。
『そや!ほんでな、実はあたしと煌ともう1人疎井冬が一緒に来たんやけど、学校の前におったら妙な外人女の集団に誘拐されてしもたんや』
その言葉を聞いて愛羽たちの時が止まり、何秒かすると理解して今度は一斉に全員で声をあげた。
『え"ぇ~~~!?』
その後しばらく沈黙が続いた。
『え?なんで?何が?どうして?』
『そんなんあたしが一番聞きたいわ。ほんでガキ共に土曜日川崎の246にあしゅら?と一緒に来いゆーとけ!やて。なぁ、今何がどーなってこないなっとんねん』
『それが、実は…』
愛羽たちは今の神奈川の状況を眩たちに説明した。
『ふふ、無様ね。人質取られていいように使われてるなんていい気味だわ』
煌は今瞬が捕らわれの身であることを聞くと嘲り微笑んだ。
『おい。そりゃ言いすぎだろ』
麗桜が反論して強い視線を向けたが煌は構わずに続けた。
『東京、という都市の暴走族をまとめあげた女だなんて言ってたのにガッカリ。それがなんてザマなのよ。私が何か間違ったこと言ってる?』
麗桜が立つよりも早く玲璃が煌の前に立った。
『てめぇ表出ろ』
玲璃は今にも殴りかからんといった勢いだが煌は澄ました顔で言った。
『誰にケンカ売ってるか、分かってるの?』
対する煌は上から見下して言う。
緊迫したその嫌な空気の中、次に声を出したのは蓮華だった。
『ねぇ…助ける気あんの?』
蓮華にしてはかなり不機嫌な顔だ。
『あんたたちのプライドとか意地とか、今そういうの必要ある?玲璃も麗桜も今ここでケンカしてどっちかが参るか気が済むかまでやってどーすんの?天王道さんたちもそう。人質取られた以上はあんたたちだって一緒でしょ?今に同じ目に合うよ。今こうしてる間にも琉花ちゃんも千歌さんも疎井さんもどんな目に合ってるか分かんない。都河泪ちゃんだって点滴とかちゃんとされてなかったら、すごい危険な状態にあるかもしれないんだよ?瞬さんが今どんな気持ちでいるか分からないの?1分1秒でも早く助けてあげなきゃいけないんだよ!でもどこで捕まってるかも分かんなくて、どうしようか話そうって時じゃん。なのにそんなくだらないことでみんなの気持ち挫くようなことするなら止めないから早く行けば?そんでもういいから帰って、邪魔だから。天王道さんも悪いけど分かってくれないなら手は借りれないし貸せないから』
勢いよく言いきると蓮華は席を立ってタバコを吸いに行ってしまった。
愛羽と蘭菜は玲璃と麗桜のことを目を細めて視線を送っている。
2人はバツが悪そうにそっぽを向いた。
『煌。どっちにするかは勝手や、好きにせぇ。けど、決めんのは今や』
姉に言われて煌も視線を下に落としてしまった。
場の空気は最悪になってしまったが本当は煌に悪意がないことを眩だけが分かっていた。
戦国原から連絡を受け愛羽たちはすぐに合流した。
『ん?あーあーおったおった。最後ちょろっと顔見たわ。なんや君がアカツキアイハやったんか、思てたんと違ったわ。あっはっは!』
眩は1人で喋り1人で笑っている。夏の時はあーやったこーやったと聞いてもないことを長々と一方的に話され、さすがの愛羽も少し困っている。
『あ、あの~…それで、あたしに用って…』
『用はまずこれや。この指輪、誰のか知っとるやろ?』
愛羽はその指輪を数秒見つめたが、その口からは持ち主の名は出てこなかった。
『え?これ?』
『あぁ、そうや。これや』
眩はニコニコしながら答えを待っている。
『…ん?…あぁ、これ…誰のだろ…あれ?…うーん…』
散々考え、もしくは考えたフリをして出た答えは
『…すいません…ちょっと分かりません…』
という笑顔だった。
眩は吹き出しながら倒れた。
『えぇ~!!嘘やろ!?嘘や!!』
すると横から麗桜が入っていった。
『あれ?これ、樹さんのじゃねぇかな?なんかちょっと見覚えあるような…』
途端に眩が笑顔を取り戻した。
『おぉ!そやろ!?そやねん!イツキっちゅー姉ちゃんかルハナっちゅー子のどっちかであるのは間違いないねん!』
『琉花ちゃんはこんなごっついのしないよ。もっと可愛いの着けてたよ』
蓮華はちゃんとそういう所を見ている。
『じゃあ樹さんので決まりだね。よかった~、あたしせっかく来てくれたのに全然見覚えないからどーしよーかと思っちゃった』
愛羽はまだ人の着けているアクセサリーなどに目がいかない。
眩はとりあえず持ち主が分かり、今回神奈川に来てやっと手応えをつかめたことに感動していた。
『ぃやったで煌!どうなることや思たけど、なんとかここまで来れたわ!』
『ちょっ…姉さん…』
喜びのあまり眩は抱きつき煌はまた顔を赤くしているが今回は照れているようだ。
『姉さん…それより、もう1つ話が』
姉に抱きつかれうっとりする妹に言われると眩は話を続けた。
『そや!ほんでな、実はあたしと煌ともう1人疎井冬が一緒に来たんやけど、学校の前におったら妙な外人女の集団に誘拐されてしもたんや』
その言葉を聞いて愛羽たちの時が止まり、何秒かすると理解して今度は一斉に全員で声をあげた。
『え"ぇ~~~!?』
その後しばらく沈黙が続いた。
『え?なんで?何が?どうして?』
『そんなんあたしが一番聞きたいわ。ほんでガキ共に土曜日川崎の246にあしゅら?と一緒に来いゆーとけ!やて。なぁ、今何がどーなってこないなっとんねん』
『それが、実は…』
愛羽たちは今の神奈川の状況を眩たちに説明した。
『ふふ、無様ね。人質取られていいように使われてるなんていい気味だわ』
煌は今瞬が捕らわれの身であることを聞くと嘲り微笑んだ。
『おい。そりゃ言いすぎだろ』
麗桜が反論して強い視線を向けたが煌は構わずに続けた。
『東京、という都市の暴走族をまとめあげた女だなんて言ってたのにガッカリ。それがなんてザマなのよ。私が何か間違ったこと言ってる?』
麗桜が立つよりも早く玲璃が煌の前に立った。
『てめぇ表出ろ』
玲璃は今にも殴りかからんといった勢いだが煌は澄ました顔で言った。
『誰にケンカ売ってるか、分かってるの?』
対する煌は上から見下して言う。
緊迫したその嫌な空気の中、次に声を出したのは蓮華だった。
『ねぇ…助ける気あんの?』
蓮華にしてはかなり不機嫌な顔だ。
『あんたたちのプライドとか意地とか、今そういうの必要ある?玲璃も麗桜も今ここでケンカしてどっちかが参るか気が済むかまでやってどーすんの?天王道さんたちもそう。人質取られた以上はあんたたちだって一緒でしょ?今に同じ目に合うよ。今こうしてる間にも琉花ちゃんも千歌さんも疎井さんもどんな目に合ってるか分かんない。都河泪ちゃんだって点滴とかちゃんとされてなかったら、すごい危険な状態にあるかもしれないんだよ?瞬さんが今どんな気持ちでいるか分からないの?1分1秒でも早く助けてあげなきゃいけないんだよ!でもどこで捕まってるかも分かんなくて、どうしようか話そうって時じゃん。なのにそんなくだらないことでみんなの気持ち挫くようなことするなら止めないから早く行けば?そんでもういいから帰って、邪魔だから。天王道さんも悪いけど分かってくれないなら手は借りれないし貸せないから』
勢いよく言いきると蓮華は席を立ってタバコを吸いに行ってしまった。
愛羽と蘭菜は玲璃と麗桜のことを目を細めて視線を送っている。
2人はバツが悪そうにそっぽを向いた。
『煌。どっちにするかは勝手や、好きにせぇ。けど、決めんのは今や』
姉に言われて煌も視線を下に落としてしまった。
場の空気は最悪になってしまったが本当は煌に悪意がないことを眩だけが分かっていた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
暴走♡アイドル ~ヨアケノテンシ~
雪ノ瀬瞬
青春
アイドルになりたい高校1年生。暁愛羽が地元神奈川の小田原で友達と暴走族を結成。
神奈川は横浜、相模原、湘南、小田原の4大暴走族が敵対し合い、そんな中たった数人でチームを旗揚げする。
しかし4大暴走族がにらみ合う中、関東最大の超大型チーム、東京連合の魔の手が神奈川に忍びより、愛羽たちは狩りのターゲットにされてしまう。
そして仲間は1人、また1人と潰されていく。
総員1000人の東京連合に対し愛羽たちはどう戦うのか。
どうすれば大切な仲間を守れるのか。
暴走族とは何か。大切なものは何か。
少女たちが悩み、葛藤した答えは何なのか。
それは読んだ人にしか分からない。
前髪パッツンのポニーテールのチビが強い!
そして飛ぶ、跳ぶ、翔ぶ!
暴走アイドルは出てくるキャラがみんなカッコいいので、きっとアイドルたちがあなたの背中も押してくれると思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
暴走♡アイドル2 ~ヨゾラノナミダ~
雪ノ瀬瞬
青春
夏だ!旅行だ!大阪だ!
暁愛羽は神奈川の暴走族「暴走愛努流」の総長。
関東最大級の東京連合と神奈川4大暴走族や仲間たちと激闘を繰り広げた。
夏休みにバイク屋の娘月下綺夜羅と東京連合の総長雪ノ瀬瞬と共に峠に走りに来ていた愛羽は、大阪から1人で関東へ走りに来ていた謎の少女、風矢咲薇と出会う。
愛羽と綺夜羅はそれぞれ仲間たちと大阪に旅行に行くと咲薇をめぐったトラブルに巻きこまれ、関西で連続暴走族襲撃事件を起こす犯人に綺夜羅が斬られてしまう。
その裏には1人の少女の壮絶な人生が関係していた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる