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中編
戦国原冥
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『えー、今日からこのクラスに来た新しい仲間を紹介する』
夏休みが終わり新学期直後、そんな時期にこの最底辺の不良名門校、夜明ヶ丘高校に転校生がやってきた。
夜明ヶ丘高校は毎年1年生が最初の1年で3分の1が辞めていってしまうので学校側としては来る者を拒む理由がない。
『よし、入ってくれー』
担任がそう言うとドアから1人の少女が入ってきた。
スポーツでもやりそうなショートカットの青い髪にいかにも勉強ができそうに見える丸眼鏡をかけ、見るからに真面目そうなその女の子は恥ずかしそうに周りの目を気にしながら教卓の前まできた。
『戦国原冥です。よろしくお願いします』
そう言ってペコリと頭を下げる少女を見て愛羽は電気が走った。
(あの子……可愛い)
『ということで、みんなよろしくな。じゃ~戦国原の席はどこにするか』
『はい!!はい!!先生!あたしの横!ここ!!ここ!!』
愛羽はそれはそれは大ゲサにアピールをした。
何をそんなに興奮しているのかと周りは不審そうな目を向けている。
『なんだ暁。お前の横で授業中の幽体離脱の仕方を伝染させられると困るんだが。戦国原、あそこで大丈夫か?』
『はい!是非あそこで』
戦国原が笑顔で答えると愛羽は立ち上がりガッツポーズをした。
戦国原が隣に座ると愛羽はまじまじと顔をガン見する。
(っ!!やっぱり、可愛い…)
『あたし暁愛羽。よろしくね』
『戦国原冥です。暁さんって呼ばせてもらってもいいですか?』
『暁さんなんて瞬ちゃんみたい。別に愛羽でいいよ、クラスメイトなんだし』
愛羽はそう言ってから手を差し伸べた。
『じゃあ、愛羽さんで』
戦国原は愛羽の手を取るとニコッとしてみせた。
『あ!』
『どうかしましたか?』
愛羽は握手をしながら胸の谷間や外観、その凹凸を目視で確認した。
(控えめに見えるけど…いや、そんなことない。この華奢な体にこれだけあれば83?84?まさか85?C?D?いやいやいや、意外とEなんてことも!?えぇ~!?もう見れば見る程いい体に見えてきちゃう。あぁ~もう!ダメ!自分を抑えられない…)
愛羽の頭の暴走が始まっている。彼女は完全にオッパイに取り憑かれている。
『…あの、愛羽さん?』
『あぁっ!ごめん!幽体離脱しかけてた!あっ、冥ちゃんでいい!?』
あなたのオッパイのことで頭がいっぱいだったことなど口が裂けてもこの場では言えないが、こうして愛羽たちは新しい友達として戦国原を迎え入れた。
『玲ちゃん!玲ちゃん!』
休み時間、愛羽は玲璃を揺さぶって必死に起こそうとした。
玲璃の場合は幽体離脱どころではなく、もうすでに死んでいる。
毎朝学校に着いてすぐに息絶えるので余計な問題を起こさなくて済んでいる。
朝は愛羽が起こし課題などは後で面倒見の良い蘭菜が手取り足取りやらせる。
主に2人のおかげで玲璃の高校生活は送れている。もしこの2人がいなかったら1ヶ月を待たずに辞めていただろう。
『なんらよぉあいふぁ~、もう昼かぁ~?』
生まれたての小鹿のような弱々しいしぐさで玲璃が起きた。
『聞いて玲ちゃん。今日転校生が来たんだよ!ほら見てこの子、冥ちゃんっていうの!』
『転校生~?』
玲璃は目をこすって戦国原を見た。
『戦国原冥です。よろしくお願いします』
ペコリと礼儀正しく頭を下げられ玲璃はやっと目を開けた。
『なんだぁ~?愛羽みてーな前髪パッツンだな。ははは!よしよし分かったぜ。じゃあとりあえず悪いけど肩マッサージしてくれる?』
『ちょっとあんたねぇ!何様よ!初対面の子にどんだけ態度でかいのよ!』
見ていた蓮華が怒りだした。
『うるっせぇなぁ。なんだよ蓮華、お前なんてでっかいのオッパイだけのくせしてよ』
『何よそれ。仮にそれがそうだったとして何が悪いのよ!』
『あ、丙さん。ボクやりますよ、マッサージ』
今日来たばかりの子に仲裁に入られてしまった。
『冥ちゃん別にいいんだよ?こんな人放っとけば。どーせ1日中寝てるんだから』
『あはは、まぁまぁ。ボク、マッサージは好きなんでいいんですよ』
特になんでもないことのように言うと机にアゴを着いてまた寝てしまいそうな玲璃にマッサージをし始めた。
すると玲璃がとても気持ちよさそうな顔をして身をよじりだした。
『あっ!はぅっ!あぁ~…はぁ~…うぅ~ん~…』
『ねぇ…あんた処女のくせに何いっちょまえに感じちゃってんの?キモいけど』
『だってぇ…気持ち…いぃ~んだもぉ~ん』
蓮華の言葉にいつもの調子で言い返せない程よかったらしく、おかげでバッチリ目を覚ましたようだ。
『うわぁ~!なんか体が軽い!爽快だ!すっげーなお前。サンキュー冥!また今度頼むぜ!』
『はい!』
戦国原は暴走愛努流とすぐに打ち解けていった。
夏休みが終わり新学期直後、そんな時期にこの最底辺の不良名門校、夜明ヶ丘高校に転校生がやってきた。
夜明ヶ丘高校は毎年1年生が最初の1年で3分の1が辞めていってしまうので学校側としては来る者を拒む理由がない。
『よし、入ってくれー』
担任がそう言うとドアから1人の少女が入ってきた。
スポーツでもやりそうなショートカットの青い髪にいかにも勉強ができそうに見える丸眼鏡をかけ、見るからに真面目そうなその女の子は恥ずかしそうに周りの目を気にしながら教卓の前まできた。
『戦国原冥です。よろしくお願いします』
そう言ってペコリと頭を下げる少女を見て愛羽は電気が走った。
(あの子……可愛い)
『ということで、みんなよろしくな。じゃ~戦国原の席はどこにするか』
『はい!!はい!!先生!あたしの横!ここ!!ここ!!』
愛羽はそれはそれは大ゲサにアピールをした。
何をそんなに興奮しているのかと周りは不審そうな目を向けている。
『なんだ暁。お前の横で授業中の幽体離脱の仕方を伝染させられると困るんだが。戦国原、あそこで大丈夫か?』
『はい!是非あそこで』
戦国原が笑顔で答えると愛羽は立ち上がりガッツポーズをした。
戦国原が隣に座ると愛羽はまじまじと顔をガン見する。
(っ!!やっぱり、可愛い…)
『あたし暁愛羽。よろしくね』
『戦国原冥です。暁さんって呼ばせてもらってもいいですか?』
『暁さんなんて瞬ちゃんみたい。別に愛羽でいいよ、クラスメイトなんだし』
愛羽はそう言ってから手を差し伸べた。
『じゃあ、愛羽さんで』
戦国原は愛羽の手を取るとニコッとしてみせた。
『あ!』
『どうかしましたか?』
愛羽は握手をしながら胸の谷間や外観、その凹凸を目視で確認した。
(控えめに見えるけど…いや、そんなことない。この華奢な体にこれだけあれば83?84?まさか85?C?D?いやいやいや、意外とEなんてことも!?えぇ~!?もう見れば見る程いい体に見えてきちゃう。あぁ~もう!ダメ!自分を抑えられない…)
愛羽の頭の暴走が始まっている。彼女は完全にオッパイに取り憑かれている。
『…あの、愛羽さん?』
『あぁっ!ごめん!幽体離脱しかけてた!あっ、冥ちゃんでいい!?』
あなたのオッパイのことで頭がいっぱいだったことなど口が裂けてもこの場では言えないが、こうして愛羽たちは新しい友達として戦国原を迎え入れた。
『玲ちゃん!玲ちゃん!』
休み時間、愛羽は玲璃を揺さぶって必死に起こそうとした。
玲璃の場合は幽体離脱どころではなく、もうすでに死んでいる。
毎朝学校に着いてすぐに息絶えるので余計な問題を起こさなくて済んでいる。
朝は愛羽が起こし課題などは後で面倒見の良い蘭菜が手取り足取りやらせる。
主に2人のおかげで玲璃の高校生活は送れている。もしこの2人がいなかったら1ヶ月を待たずに辞めていただろう。
『なんらよぉあいふぁ~、もう昼かぁ~?』
生まれたての小鹿のような弱々しいしぐさで玲璃が起きた。
『聞いて玲ちゃん。今日転校生が来たんだよ!ほら見てこの子、冥ちゃんっていうの!』
『転校生~?』
玲璃は目をこすって戦国原を見た。
『戦国原冥です。よろしくお願いします』
ペコリと礼儀正しく頭を下げられ玲璃はやっと目を開けた。
『なんだぁ~?愛羽みてーな前髪パッツンだな。ははは!よしよし分かったぜ。じゃあとりあえず悪いけど肩マッサージしてくれる?』
『ちょっとあんたねぇ!何様よ!初対面の子にどんだけ態度でかいのよ!』
見ていた蓮華が怒りだした。
『うるっせぇなぁ。なんだよ蓮華、お前なんてでっかいのオッパイだけのくせしてよ』
『何よそれ。仮にそれがそうだったとして何が悪いのよ!』
『あ、丙さん。ボクやりますよ、マッサージ』
今日来たばかりの子に仲裁に入られてしまった。
『冥ちゃん別にいいんだよ?こんな人放っとけば。どーせ1日中寝てるんだから』
『あはは、まぁまぁ。ボク、マッサージは好きなんでいいんですよ』
特になんでもないことのように言うと机にアゴを着いてまた寝てしまいそうな玲璃にマッサージをし始めた。
すると玲璃がとても気持ちよさそうな顔をして身をよじりだした。
『あっ!はぅっ!あぁ~…はぁ~…うぅ~ん~…』
『ねぇ…あんた処女のくせに何いっちょまえに感じちゃってんの?キモいけど』
『だってぇ…気持ち…いぃ~んだもぉ~ん』
蓮華の言葉にいつもの調子で言い返せない程よかったらしく、おかげでバッチリ目を覚ましたようだ。
『うわぁ~!なんか体が軽い!爽快だ!すっげーなお前。サンキュー冥!また今度頼むぜ!』
『はい!』
戦国原は暴走愛努流とすぐに打ち解けていった。
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