54 / 173
中編
退いて
しおりを挟む
風雅は神楽に電話しても全く出ないので自宅マンションを訪ねに来ていた。
しかしインターホンを鳴らしても一向に出てくる気配はなかった。
まだ寝ている?いや、それにしたってさっきからずっと連絡している。
もし仮に具合が悪かったんだとしたら申し訳ないが彼女なら連絡位返すだろう。
携帯を忘れて出かけてしまったのだろうか?
『…ってことは、もうお店なのかな?』
神楽は目を疑った。そこに立っていたのは瞬だったのだ。
『お前…何やってんだ?』
瞬は目を合わそうとはせず下を向いている。だいぶバツの悪そうな顔だ。
『…まさかとは思うけどさぁ、お前それ一体どーゆーことだい?』
神楽の声にも瞬は答えようとはせず、その代わりに鷹爪が喋り始めた。
『先生、お願いしましたよ。こいつに勝てるのは先生だけです』
鷹爪はふざけているような物の言い方だったが瞬は少しも笑わないどころか反応すらしなかった。
そのやり取りを見て神楽もその不自然さに気づいた。
『お前もバカだねぇ。こんなクサレヤクザに弱み握られちまったのかい?』
瞬は何も言わない。ただ悲しそうな苦しそうな表情が見て取れた。
『答えろよ!!』
神楽は声を荒げた。この汚いやり方にイラつきキレる寸前だ。
そこでようやく、瞬も重い感じで口を開いた。
『君とは戦いたくない。お願いだからどうかこの人たちの言うことを聞いてほしい』
『なんだって?』
それを聞いて鷹爪が拍手した。
『先生はとてもお優しいようだ。どうだ神楽。先生の言うとおりおとなしくあたしの言うことを聞いてみないか?なに、お前たちのバックには鷹爪組がいるってことになる。それだけのことだ。難しいことじゃないだろ?』
『ふざけるんじゃないよ。誰があんたみたいな三流チンピラバックに据えるもんかい。さっきから聞いてりゃ口ばっか動かしてんだけでなんもできねぇくせに、あたしとタイマンの1つでも張って勝ってから言ってくれるかい?ジョーダンじゃないんだよ!あんたらさぁ、何様のつもりか知らないけどね、舐めすぎだよ』
神楽は目を鋭く尖らせて言い放った。しかしその前には瞬が立ちはだかった。
『お願い…やるからには負けられないの。退いて…』
『そんなのこっちだって一緒なんだよ。待ってな。お前の後で全員叩きのめしてそこから引きずり出してやる』
神楽は瞬と向かい合い構えた。対する瞬も構えるしかなかった。
『都河泪さん、そして七条琉花さんと龍千歌さんはとある場所で監禁していますが場所を知っているのはごく一部の者だけです。変に嗅ぎ回ったり余計な詮索はしない方が3人の為とだけは言っておきます。それと、万が一にでも鷹爪さんの命令に背いたり危害を加えたりした場合は都河泪さんを突き落とせと言われています。何かあっても我々は事故で済ませられますが都河さんはどうでしょうね。近頃体の反応がよく見えるというのを聞いています。彼女がどうなるかはあなたにかかっていますので余計なことを口走らないように注意して下さい。あなたにはこれから我々と同行してもらいます』
しかしインターホンを鳴らしても一向に出てくる気配はなかった。
まだ寝ている?いや、それにしたってさっきからずっと連絡している。
もし仮に具合が悪かったんだとしたら申し訳ないが彼女なら連絡位返すだろう。
携帯を忘れて出かけてしまったのだろうか?
『…ってことは、もうお店なのかな?』
神楽は目を疑った。そこに立っていたのは瞬だったのだ。
『お前…何やってんだ?』
瞬は目を合わそうとはせず下を向いている。だいぶバツの悪そうな顔だ。
『…まさかとは思うけどさぁ、お前それ一体どーゆーことだい?』
神楽の声にも瞬は答えようとはせず、その代わりに鷹爪が喋り始めた。
『先生、お願いしましたよ。こいつに勝てるのは先生だけです』
鷹爪はふざけているような物の言い方だったが瞬は少しも笑わないどころか反応すらしなかった。
そのやり取りを見て神楽もその不自然さに気づいた。
『お前もバカだねぇ。こんなクサレヤクザに弱み握られちまったのかい?』
瞬は何も言わない。ただ悲しそうな苦しそうな表情が見て取れた。
『答えろよ!!』
神楽は声を荒げた。この汚いやり方にイラつきキレる寸前だ。
そこでようやく、瞬も重い感じで口を開いた。
『君とは戦いたくない。お願いだからどうかこの人たちの言うことを聞いてほしい』
『なんだって?』
それを聞いて鷹爪が拍手した。
『先生はとてもお優しいようだ。どうだ神楽。先生の言うとおりおとなしくあたしの言うことを聞いてみないか?なに、お前たちのバックには鷹爪組がいるってことになる。それだけのことだ。難しいことじゃないだろ?』
『ふざけるんじゃないよ。誰があんたみたいな三流チンピラバックに据えるもんかい。さっきから聞いてりゃ口ばっか動かしてんだけでなんもできねぇくせに、あたしとタイマンの1つでも張って勝ってから言ってくれるかい?ジョーダンじゃないんだよ!あんたらさぁ、何様のつもりか知らないけどね、舐めすぎだよ』
神楽は目を鋭く尖らせて言い放った。しかしその前には瞬が立ちはだかった。
『お願い…やるからには負けられないの。退いて…』
『そんなのこっちだって一緒なんだよ。待ってな。お前の後で全員叩きのめしてそこから引きずり出してやる』
神楽は瞬と向かい合い構えた。対する瞬も構えるしかなかった。
『都河泪さん、そして七条琉花さんと龍千歌さんはとある場所で監禁していますが場所を知っているのはごく一部の者だけです。変に嗅ぎ回ったり余計な詮索はしない方が3人の為とだけは言っておきます。それと、万が一にでも鷹爪さんの命令に背いたり危害を加えたりした場合は都河泪さんを突き落とせと言われています。何かあっても我々は事故で済ませられますが都河さんはどうでしょうね。近頃体の反応がよく見えるというのを聞いています。彼女がどうなるかはあなたにかかっていますので余計なことを口走らないように注意して下さい。あなたにはこれから我々と同行してもらいます』
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
幼馴染をわからせたい ~実は両想いだと気が付かない二人は、今日も相手を告らせるために勝負(誘惑)して空回る~
下城米雪
青春
「よわよわ」「泣いちゃう?」「情けない」「ざーこ」と幼馴染に言われ続けた尾崎太一は、いつか彼女を泣かすという一心で己を鍛えていた。しかし中学生になった日、可愛くなった彼女を見て気持ちが変化する。その後の彼は、自分を認めさせて告白するために勝負を続けるのだった。
一方、彼の幼馴染である穂村芽依は、三歳の時に交わした結婚の約束が生きていると思っていた。しかし友人から「尾崎くんに対して酷過ぎない?」と言われ太一に恨まれていると錯覚する。だが勝負に勝ち続ける限りは彼と一緒に遊べることに気が付いた。そして思った。いつか負けてしまう前に、彼をメロメロにして告らせれば良いのだ。
かくして、実は両想いだと気が付かない二人は、互いの魅力をわからせるための勝負を続けているのだった。
芽衣は少しだけ他人よりも性欲が強いせいで空回りをして、太一は「愛してるゲーム」「脱衣チェス」「乳首当てゲーム」などの意味不明な勝負に惨敗して自信を喪失してしまう。
乳首当てゲームの後、泣きながら廊下を歩いていた太一は、アニメが大好きな先輩、白柳楓と出会った。彼女は太一の話を聞いて「両想い」に気が付き、アドバイスをする。また二人は会話の波長が合うことから、気が付けば毎日会話するようになっていた。
その関係を芽依が知った時、幼馴染の関係が大きく変わり始めるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる