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中編

捕らわれた東京連合

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『焔狼の雪ノ瀬瞬さんは生かしておいてこちらの手ごまになってもらいます。大丈夫。彼女には命よりも大切な親友がいます。他の2人と一緒に人質にすれば従わない訳にはいかないでしょう…』




『…都河泪さんは預かっています』

 突然聞き覚えのない声が喋りだした。

『…はい?あなた誰?どーゆーこと?』

『まぁまぁ、落ち着いて聞いて下さい』

 とにかく女だ。若そうな声である。

『都河泪さんは安全な場所で大切に預からせてもらってます。なのでまずパニックにならないで下さい。あなたがこちらの言うことを聞いてくれれば泪さんの安全は保証します。間違っても警察なんかに言わないで下さいね。どうなっても知りませんよ』

 瞬はこの嘘のような現実をどう受け止めればいいのか分からなかった。

『ふざけないで!今すぐ泪を返して。どこにいるの?会って話をしようよ』

『ダメです。あなたに決定権はありません。いいんですか?泪さん、階段から事故で落ちちゃっても。別にあなたがいいならこちらはそれで構わないですよ?』

 それが嘘や脅しではないことを前提として考えざるを得なかった。
 相手のことや泪の安否、居場所が分からないままでは何もできない。

『ねぇ、ちょっと待って。この電話琉花のだよね?琉花はどうしたの?』

『七条琉花さん、龍千歌さん。この2人の身柄もこちらで拘束しています。今はまだ2人とも寝ていますよ』

 瞬は背筋が凍りついた。昨日のジョーダンのサプライズが現実になってしまった。

(…まさか…何がどうなってるの?)

 心臓がバクバクと激しく動く。腰から力が抜けそうだ。

『2人に…何かしたの?』

『それはご想像にお任せします』

 間違いなく2人はやられた。おそらく昨日あの後、複数の人数に囲まれて袋にされたのち連れ去られた、というのが自然と頭にまず浮かんだ。

『もう1つ言っておきます。このことは他の東京連合の人間、もしくは神奈川4大暴走族の人間、そして暴走愛努流や月下綺夜羅たちにも絶対に言わないこと』

『!?』

 意外な言葉が出てきた。神奈川4大チームどころか愛羽たちのことまで…

『何がしたいの?あたしに一体どうしろと言うの?』

『大丈夫、全部終わったらちゃんとみんな返しますから。あなたがこちらの言うことに従うのなら、これからこのままあなたを迎えに行きます。どうしますか?』

 一体これから何が起こるというのか。

 瞬は極めて嫌な予感しかしなかったが泪や琉花と千歌を捕らえられている以上、とりあえず相手の言う通りにするしかなかった。

『分かった…迎えに来て』

『了解です。ではこのまま電話は切らないで下さい。すぐ着きますので、その時お話をしましょう』
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