17 / 173
前編
厚木南
しおりを挟む
旋と珠凛は家が近く、この2人はいつも単車で2ケツして学校に来る。
だいたい旋が珠凛を迎えに行き、今朝もいつも通り旋のバブスリ(バブ3)で学校に向かっていた。
『なんかさぁ~…』
時速40キロを超えない位の風を切りながら後ろの珠凛に向かって何気なく喋りかけた。
『厚木、今荒れてるんだってね。ちょっと新聞載ってた』
この旋が知っている位のことなど珠凛はとっくに知っている。
ベテランのアナウンサーばりに細かくかつ分かりやすく説明することができるだろう。
そもそも厚木が荒れているのは今に始まったことではないのだ。
『そうね。最近4大暴走族の争いも収まって平和だから余計に目立つみたいね』
厚木を中心とした地区で何かと事件が起きているのだ。
教師への暴力事件や不良グループのリンチで重傷を負わされたという傷害事件があれば恐喝や強盗など、とにかく新聞では毎日何かしら事件が取り上げられていた。
そんな中、何よりも多いのが覚醒剤に関する事件だ。これは老若男女問わず流行しているようで特に10代の少年少女がかなりの確率で所持していることが問題になっていた。
『…あの人元気かなー』
『あの人って?』
『何さ、決まってんじゃん。あの人だよー』
旋は立ち話するオバサンのようなノリで後ろの珠凛の足をペチンと叩いた。
旋と珠凛は元々綺夜羅たちとは住んでいる地区が違い最初は別の中学だった。
厚木南中学。厚木では1番平塚よりだが平塚市ではなく、2人は最初その中学に通っていた。
厚木南中学は不良が多く見渡せば悪そうな連中しか目に入らなかったが、旋と珠凛はそんな周りも上級生も関係なく生きていた。
髪の毛を染めたりピアスをしたりスカートを少し短くしたりするのでさえ上級生の許可がいる。
2人共小学校の頃から一緒に空手をやっていて、そういう意味の分からない権力や上下関係に屈しないという意志があり、それだけの力があると思っていた。
だが、それだけでは到底どうにもならない程の大きな力と闇が厚木南に存在しているのをこの時2人はまだ知らなかった。
厚木南中学には1つの不良グループがあり、その組織がこの学校を支配していた。
少し目立ったり調子に乗っていると思われでもしたら問答無用でその組織から入れと声がかかる。
そしてほぼ強制的にその仲間に引きずり込まれる。
それは入学したばかりの新1年生ですら例外ではなく、旋と珠凛にもその手は及んでいた。
2人はよく上級生に呼び出された。
でもそんな時、いつも助けてくれた先輩がいた。
あの人というのは、その先輩のことだった。
だいたい旋が珠凛を迎えに行き、今朝もいつも通り旋のバブスリ(バブ3)で学校に向かっていた。
『なんかさぁ~…』
時速40キロを超えない位の風を切りながら後ろの珠凛に向かって何気なく喋りかけた。
『厚木、今荒れてるんだってね。ちょっと新聞載ってた』
この旋が知っている位のことなど珠凛はとっくに知っている。
ベテランのアナウンサーばりに細かくかつ分かりやすく説明することができるだろう。
そもそも厚木が荒れているのは今に始まったことではないのだ。
『そうね。最近4大暴走族の争いも収まって平和だから余計に目立つみたいね』
厚木を中心とした地区で何かと事件が起きているのだ。
教師への暴力事件や不良グループのリンチで重傷を負わされたという傷害事件があれば恐喝や強盗など、とにかく新聞では毎日何かしら事件が取り上げられていた。
そんな中、何よりも多いのが覚醒剤に関する事件だ。これは老若男女問わず流行しているようで特に10代の少年少女がかなりの確率で所持していることが問題になっていた。
『…あの人元気かなー』
『あの人って?』
『何さ、決まってんじゃん。あの人だよー』
旋は立ち話するオバサンのようなノリで後ろの珠凛の足をペチンと叩いた。
旋と珠凛は元々綺夜羅たちとは住んでいる地区が違い最初は別の中学だった。
厚木南中学。厚木では1番平塚よりだが平塚市ではなく、2人は最初その中学に通っていた。
厚木南中学は不良が多く見渡せば悪そうな連中しか目に入らなかったが、旋と珠凛はそんな周りも上級生も関係なく生きていた。
髪の毛を染めたりピアスをしたりスカートを少し短くしたりするのでさえ上級生の許可がいる。
2人共小学校の頃から一緒に空手をやっていて、そういう意味の分からない権力や上下関係に屈しないという意志があり、それだけの力があると思っていた。
だが、それだけでは到底どうにもならない程の大きな力と闇が厚木南に存在しているのをこの時2人はまだ知らなかった。
厚木南中学には1つの不良グループがあり、その組織がこの学校を支配していた。
少し目立ったり調子に乗っていると思われでもしたら問答無用でその組織から入れと声がかかる。
そしてほぼ強制的にその仲間に引きずり込まれる。
それは入学したばかりの新1年生ですら例外ではなく、旋と珠凛にもその手は及んでいた。
2人はよく上級生に呼び出された。
でもそんな時、いつも助けてくれた先輩がいた。
あの人というのは、その先輩のことだった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
3度目に、君を好きになったとき
夏伐 碧
青春
伯王高校に入学した理由は、中学のときから憧れている柏木蓮先輩がいるから。けれど入学後、先輩にはすでに彼女がいたらしく、傷ついた結衣は先輩への想いを消したいと願うようになる。
そんなとき「俺ならその記憶を消すことができる」と同級生の真鳥に話を持ちかけられ、先輩への恋心を消してもらうことに。
何も知らず再び先輩と関わっていくうちに、結衣は過去の記憶を少しずつ思い出してしまう。
実は真鳥が消した記憶は、ひとつだけではなく――。
彼ノ女人禁制地ニテ
フルーツパフェ
ホラー
古より日本に点在する女人禁制の地――
その理由は語られぬまま、時代は令和を迎える。
柏原鈴奈は本業のOLの片手間、動画配信者として活動していた。
今なお日本に根強く残る女性差別を忌み嫌う彼女は、動画配信の一環としてとある地方都市に存在する女人禁制地潜入の動画配信を企てる。
地元住民の監視を警告を無視し、勧誘した協力者達と共に神聖な土地で破廉恥な演出を続けた彼女達は視聴者たちから一定の反応を得た後、帰途に就こうとするが――
アンタッチャブル・ツインズ ~転生したら双子の妹に魔力もってかれた~
歩楽 (ホラ)
青春
とってもギャグな、お笑いな、青春学園物語、
料理があって、ちょびっとの恋愛と、ちょびっとのバトルで、ちょびっとのユリで、
エロ?もあったりで・・・とりあえず、合宿編23話まで読め!
そして【お気に入り】登録を、【感想】をお願いします!
してくれたら、作者のモチベーションがあがります
おねがいします~~~~~~~~~
___
科学魔法と呼ばれる魔法が存在する【現代世界】
異世界から転生してきた【双子の兄】と、
兄の魔力を奪い取って生まれた【双子の妹】が、
国立関東天童魔法学園の中等部に通う、
ほのぼの青春学園物語です。
___
【時系列】__
覚醒編(10才誕生日)→入学編(12歳中学入学)→合宿編(中等部2年、5月)→異世界編→きぐるい幼女編
___
タイトル正式名・
【アンタッチャブル・ツインズ(その双子、危険につき、触れるな関わるな!)】
元名(なろう投稿時)・
【転生したら双子の妹に魔力もってかれた】
永遠のファーストブルー
河野美姫
青春
それは、ちっぽけな恋をした僕の、
永遠のファーストブルー。
わけあってクラスの日陰者に徹している日暮優は、ある日の放課後、クラスでひときわ目立つ少女――空野未来の後を尾けてしまう。
そこで、数日後に入院すると言う未来から『相棒』に任命されて――?
事なかれ主義でいようと決めたはずの優は、その日から自由奔放で身勝手、そして真っ直ぐな未来に振り回されていく。
*アルファポリス*
2023/4/30~2023/5/18
こちらの作品は、他サイトでも公開しています。
若返りの日々
内藤 晃一
青春
脳細胞を最高の状態に保つ食品を、開発した。世界中の金を、集めるぞ。
頭脳明晰、精神の安定、平常心、疲労回復、熟睡、安眠、健脚、ビンビン、屹立、勃起、巨根、幸福と愛と健康の為の、心のこもったセックス。
百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常
坂餅
青春
毎日更新
一話一話が短いのでサクッと読める作品です。
水原涼香(みずはらりょうか)
黒髪ロングに左目尻ほくろのスレンダーなクールビューティー。下級生を中心に、クールで美人な先輩という認識を持たれている。同級生達からは問題児扱い。涼音の可愛さは全人類が知るべきことだと思っている。
檜山涼音(ひやますずね)
茶色に染められた長い髪をおさげにしており、クリっとした目はとても可愛らしい。その愛らしい見た目は、この学校で可愛い子は? と言えばすぐ名前が上がる程の可愛さ。涼香がいればそれでいいと思っている節がある。
柏木菜々美(かしわぎななみ)
肩口まで伸びてた赤毛の少し釣り目な女子生徒。ここねが世界で一可愛い。
自分がここねといちゃついているのに、他の人がいちゃついているのを見ると顔を真っ赤にして照れたり逃げ出したり爆発する。
基本的にいちゃついているところを見られても真っ赤になったり爆発したりする。
残念美人。
芹澤ここね(せりざわここね)
黒のサイドテールの小柄な体躯に真面目な生徒。目が大きく、小動物のような思わず守ってあげたくなる雰囲気がある。可愛い。ここねの頭を撫でるために今日も争いが繰り広げられているとかいないとか。菜々美が大好き。人前でもいちゃつける人。
綾瀬彩(あやせあや)
ウェーブがかったベージュの髪。セミロング。
成績優秀。可愛い顔をしているのだが、常に機嫌が悪そうな顔をしている、決して菜々美と涼香のせいで機嫌が悪い顔をしているわけではない。決して涼香のせいではない。なぜかフルネームで呼ばれる。夏美とよく一緒にいる。
伊藤夏美(いとうなつみ)
彩の真似をして髪の毛をベージュに染めている。髪型まで同じにしたら彩が怒るからボブヘアーにパーマをあててウェーブさせている
彩と同じ中学出身。彩を追ってこの高校に入学した。
元々は引っ込み思案な性格だったが、堂々としている彩に憧れて、彩の隣に立てるようにと頑張っている。
綺麗な顔立ちの子。
春田若菜(はるたわかな)
黒髪ショートカットのバスケ部。涼香と三年間同じクラスの猛者。
なんとなくの雰囲気でそれっぽいことを言える。涼香と三年間同じクラスで過ごしただけのことはある。
涼香が躓いて放った宙を舞う割れ物は若菜がキャッチする。
チャリ通。
【完結】君が消えた仮想世界と僕が願った並行世界
ユキノ
青春
ローファンタジーアニメの設計図。30分尺のシナリオが1クール分。
理系アニメオタクがろくに読んだこともないのに小説を書いたらこうなった。
◆魂の入れ替わり
◆心の声を聞く力
◆予知能力!?
◆記憶の干渉における時間の非連続性
◆タイムリープ
◆過去改変の観測
◆異能力バトらない!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる