暴走♡アイドル2 ~ヨゾラノナミダ~

雪ノ瀬瞬

文字の大きさ
113 / 142
後編

作戦失敗

しおりを挟む
 綺夜羅はもうすっかり元気になったようで仲間たちと笑いながら話していた。

『いやー、それにしても助かったなー。色んな人に血ぃ分けてもらってたなんてよ。感謝しなきゃだな』

『そ、そうだね。今日はゆっくり休んで明日にでもちゃんとお礼言おう』

 旋はさりげなく綺夜羅を寝かせようとした。

『なんだよ、もう平気だよ。寝すぎてもう寝れねーよ。あれ?そーいや今日何日だ?』

『今日は27日だよ』

 燃が日にちを教えると綺夜羅は大きな声を出して驚いた。

『うぇっ!?27日!?もう土曜日かよ!あたし丸3日も寝てたのか!?あ!やっべ、CBRのエンジンかけねーと』

『ちょちょちょ、今日1日位平気だって!あんたまだ寝てなよ!』

 急に起き上がろうとする綺夜羅を掠は慌てて止めた。

『ん…』

 何が気になったのか綺夜羅は少し黙ってから掠たちを見て言った。

『なんか今日お前ら変じゃねーか?あたしになんか隠してるだろ』

 さすがに鋭く、みんな言葉に詰まりかけた。この流れはいつものバレるパターンだ。

『何言ってるのよ。あなた刀で斬られたのよ?心配しない方がおかしいじゃない』

『…そっか、まぁそうだよな』

 すかさず珠凛がなんとかフォローした。珠凛の言うことは綺夜羅もすんなり聞いてしまう。

(ナイス珠凛!)(さすが、頼りになる~)

 旋と掠が胸を撫で下ろすとまた別の問題が浮上した。

『あれ?なんだ数、お前ケガしてんじゃねーか。どうしたんだ?』

 数だけは槐に相当やられたので、まだ傷や腫れが残ってしまっていて綺夜羅がそれに早速気づいてしまった。

 他のメンバーは凍りついた。数と言えばバカが付くほど正直で、めんどくさい嘘などつけない女だからだ。だからいつも嘘や隠し事はだいたい数でバレる。

『…あ、あぁ。ちょっと階段で転んじまってよ』

 数は実に苦し紛れの嘘をついた。

(終わった…嘘下手すぎかよ)

『あっはっは!お前は本当にドジだなぁ。人間だけじゃ飽き足らず階段とケンカかよ!尊敬するぜ!』

 数以外の4人は完全に終了を思ったが、この時綺夜羅はそれを真に受け笑っていた。ドジと言われて言い返してしまいそうなのを数もなんとか抑え、一先ずみんなが息をついた時だった。

「バンッ!!」

 突然ドアが勢いよく開いて緋薙豹那がやってきた。

『おい!あいつらどこ行った!』

 掠たちは頭が真っ白になり石になった。

『おいガキ共!聞いてるんだよ!あいつらはどこだ!』

『あれ?ちょっと前に帰りましたよ?』

 何も知らない綺夜羅が見たままを答えた。

『何が帰っただ…あいつらこのあたしをのけ者にしやがったな!!』

 豹那は丁度寝てしまっていて愛羽たちがいなくなったことに気づけなかった。やっと今目を覚まし誰もいないことに気づいたのだ。

「バンッ!!」

 また勢いよく出ていき、そして豹那の走る足音が響いていった。

『どーゆー…ことだ?』

『え?あ、どうしたんだろうね!寝ちゃってて置いてかれちゃったのかな?』

 綺夜羅に燃がまたごまかそうとしたが今度はもうダメだった。

『そうじゃねぇよ…今の嬢王豹那だったよな?あの人、なんであんな傷だらけなんだ?あんな体でどこ行くつもりなんだよ…』

 5人は黙ってしまった。

『なぁ、お前らやっぱりあたしになんか隠してねーか?今一体何がどうなってんだ?あいつら、どこ行ったんだよ』

 5人はもう仕方なく綺夜羅に全てのことを話すしかなかった。





『バカやろう!!なんでそんなとこに咲薇を行かせたんだ!あいつが白狐だって思われてんなら、みんなして咲薇を狙うに決まってんじゃねぇか!!』

 言うなり綺夜羅は服を着替え始めた。

『ちょっと綺夜羅、あんたどうするつもりなのよ!』

『行くに決まってんだろうが!このまま朝まで何もしないで待ってる位なら死んだ方がマシだ!おいめぐ、単車貸せ!』

『…あーあ。作戦失敗』

 旋は自分のバブの鍵を差し出した。

『もはやこれまでだね』

 燃は頭が痛そうだ。

『あたしは最初っからそう思ってたけどな』

『へぇ、珍しく数が正解だったのね』

『おいコラ』

 数と珠凛がやり取りをする後ろで掠が心配そうな顔をしていた。

『綺夜羅…』

『そんな顔すんなよ。行こうぜ、掠』

『…うん。行く!』
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」 かつて、私は信じていた。 優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な── そんな普通のお兄ちゃんを。 でも── 中学卒業の春、 帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、 私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった! 家では「戦利品だー!」と絶叫し、 年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、 さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!? ……ちがう。 こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない! たとえ、世界中がオタクを称えたって、 私は、絶対に── お兄ちゃんを“元に戻して”みせる! これは、 ブラコン妹と 中二病オタク姫が、 一人の「兄」をめぐって 全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──! そしていつしか、 誰も予想できなかった 本当の「大好き」のカタチを探す、 壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...