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後編
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もう21時になろうかという頃、病院では嬉しいことが起きていた。ずっと眠り続けていた綺夜羅がついに目を覚ましたのだ。
綺夜羅は部屋で窓を開け風を感じていた。
『あ…』
綺夜羅の様子を見に部屋を訪れた掠がしばらく何も言わないまま立ち尽くしていた。
『よぉ、掠。元気か?』
なんと言えばいいのか、どんなリアクションをしていいのか分からない。そんな掠を見て綺夜羅は笑った。
『なぁんだよ、元気か聞いてんじゃねぇかよ。具合わりーのか?』
掠は顔中を涙と鼻水でびしょびしょにして抱きついていった。
『きよらぁ~!!』
部屋の外にいたみんなもその声に気づき一斉に集まってきた。
『綺夜羅ちゃん!』
『綺夜羅!』
燃や旋も涙を浮かべ、珠凛も数も一先ず安心という顔をしている。
そんな中咲薇が綺夜羅の前まで行き申し訳なさそうな顔でひざを着いた。
『綺夜羅、すまん。あたしのせいで大変なケガを…多分、傷も残ってしまうやろ。ホンマにごめん…』
咲薇はそのまま頭を下げた。
『バカ、何言ってんだよ咲薇。お前を守れてよかったよ。この傷はあたしの宝物だ』
綺夜羅はそう言って咲薇の肩を叩いた。
『綺夜羅…』
2人がそんなやり取りをしている内に愛羽はすぐそこにいた旋をちょんちょんと引っぱり部屋の外に出た。
『あたしたちが行ってくるから、単車のことと今日のことは秘密にしておいて。大丈夫、単車は必ずあたしたちが取り返すから』
『え!?いや、あたしたちも』
『綺夜羅ちゃんまで一緒に行くってことになったら困るから、なんとかみんなで側にいてあげてほしいの』
確かに愛羽の言う通り、綺夜羅は全てを知って1人で寝てるなんて絶対にできないだろう。
『よかったね、みんな。あたしたちそろそろホテルに戻るね』
愛羽たちに樹と瞬たち、そして咲薇の10人は病院を出て暴走侍の集合場所に向かって出発した。
綺夜羅は部屋で窓を開け風を感じていた。
『あ…』
綺夜羅の様子を見に部屋を訪れた掠がしばらく何も言わないまま立ち尽くしていた。
『よぉ、掠。元気か?』
なんと言えばいいのか、どんなリアクションをしていいのか分からない。そんな掠を見て綺夜羅は笑った。
『なぁんだよ、元気か聞いてんじゃねぇかよ。具合わりーのか?』
掠は顔中を涙と鼻水でびしょびしょにして抱きついていった。
『きよらぁ~!!』
部屋の外にいたみんなもその声に気づき一斉に集まってきた。
『綺夜羅ちゃん!』
『綺夜羅!』
燃や旋も涙を浮かべ、珠凛も数も一先ず安心という顔をしている。
そんな中咲薇が綺夜羅の前まで行き申し訳なさそうな顔でひざを着いた。
『綺夜羅、すまん。あたしのせいで大変なケガを…多分、傷も残ってしまうやろ。ホンマにごめん…』
咲薇はそのまま頭を下げた。
『バカ、何言ってんだよ咲薇。お前を守れてよかったよ。この傷はあたしの宝物だ』
綺夜羅はそう言って咲薇の肩を叩いた。
『綺夜羅…』
2人がそんなやり取りをしている内に愛羽はすぐそこにいた旋をちょんちょんと引っぱり部屋の外に出た。
『あたしたちが行ってくるから、単車のことと今日のことは秘密にしておいて。大丈夫、単車は必ずあたしたちが取り返すから』
『え!?いや、あたしたちも』
『綺夜羅ちゃんまで一緒に行くってことになったら困るから、なんとかみんなで側にいてあげてほしいの』
確かに愛羽の言う通り、綺夜羅は全てを知って1人で寝てるなんて絶対にできないだろう。
『よかったね、みんな。あたしたちそろそろホテルに戻るね』
愛羽たちに樹と瞬たち、そして咲薇の10人は病院を出て暴走侍の集合場所に向かって出発した。
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