99 / 142
後編
この道の先にあるもの
しおりを挟む
鏡叶泰の墓の前に誘木浬の姿があった。浬もまた書き込みを見たことによって決断を迫られていた。
『あたしはどうするべきや?咲薇が白狐でないと信じたい気持ちもなくはないよ。ただあぁして書いてあることを見てしまうと正直嘘とも思いきれん。あたしは陽炎朱雀の頭や。この件に私情は挟めん。どうしたらえぇ?』
土曜日に向けてチームは士気を高めてしまっている。もはや咲薇と話したからといってどうにもならない。
陽炎朱雀は暴走侍を全力で潰しにかかる。それは止めようがない。
『前みたいにアホみたく笑って教えてくれよ…』
浬がしばらくそこに座りこんでいると足音が聞こえてきた。振り向くとそこには咲薇がいた。待ち合わせなどしていない。それぞれがなんとなく足を運んだ。
『咲薇…』
まるで叶泰が引き合わせたかのような奇妙なタイミングに浬は言葉が出なかった。
『浬さん、あたし白狐なんかと違うんです。あの書き込みは全部誰かの仕組んだことなんです。お願いします、信じてください』
頭を下げる咲薇を見て黙っていた。そのまま何も言わず立ち上がると歩きだし通りすぎていってしまった。
『浬さん!このままいったら影で操ってる奴らの思うつぼなんです!もっとケガ人が出ますよ!?』
浬は立ち止まるも振り向こうとはしなかった。ただ自分も伝えることだけは伝えるべきと思った。
『咲薇。悪いけどあんたの言葉だけでは信じられんよ。あたしも陽炎朱雀というチームを背負う者として、はいそーですか、では済ませられへんねん。答えは暴走侍に聞く。あんたとの話はその後や』
『そんな…』
咲薇は浬がきっと話を聞いてくれると思っていたらしく、さすがにショックは大きかった。
『お前がホンマに白狐であろうとなかろうと、あたしはこの道を行くことしかできんのよ。それに…この道を行けば叶泰が何故死んだのか、分かる気がしてんねん』
浬はそれだけ言うと行ってしまった。
咲薇は叶泰の墓の前でただ立ち尽くしていた。
『…もうホンマに止めることはできんの?叶泰…あたし、どうしたらえぇの?』
『あたしはどうするべきや?咲薇が白狐でないと信じたい気持ちもなくはないよ。ただあぁして書いてあることを見てしまうと正直嘘とも思いきれん。あたしは陽炎朱雀の頭や。この件に私情は挟めん。どうしたらえぇ?』
土曜日に向けてチームは士気を高めてしまっている。もはや咲薇と話したからといってどうにもならない。
陽炎朱雀は暴走侍を全力で潰しにかかる。それは止めようがない。
『前みたいにアホみたく笑って教えてくれよ…』
浬がしばらくそこに座りこんでいると足音が聞こえてきた。振り向くとそこには咲薇がいた。待ち合わせなどしていない。それぞれがなんとなく足を運んだ。
『咲薇…』
まるで叶泰が引き合わせたかのような奇妙なタイミングに浬は言葉が出なかった。
『浬さん、あたし白狐なんかと違うんです。あの書き込みは全部誰かの仕組んだことなんです。お願いします、信じてください』
頭を下げる咲薇を見て黙っていた。そのまま何も言わず立ち上がると歩きだし通りすぎていってしまった。
『浬さん!このままいったら影で操ってる奴らの思うつぼなんです!もっとケガ人が出ますよ!?』
浬は立ち止まるも振り向こうとはしなかった。ただ自分も伝えることだけは伝えるべきと思った。
『咲薇。悪いけどあんたの言葉だけでは信じられんよ。あたしも陽炎朱雀というチームを背負う者として、はいそーですか、では済ませられへんねん。答えは暴走侍に聞く。あんたとの話はその後や』
『そんな…』
咲薇は浬がきっと話を聞いてくれると思っていたらしく、さすがにショックは大きかった。
『お前がホンマに白狐であろうとなかろうと、あたしはこの道を行くことしかできんのよ。それに…この道を行けば叶泰が何故死んだのか、分かる気がしてんねん』
浬はそれだけ言うと行ってしまった。
咲薇は叶泰の墓の前でただ立ち尽くしていた。
『…もうホンマに止めることはできんの?叶泰…あたし、どうしたらえぇの?』
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
暴走♡アイドル3~オトヒメサマノユメ~
雪ノ瀬瞬
青春
今回のステージは神奈川です
鬼音姫の哉原樹
彼女がストーリーの主人公となり彼女の過去が明らかになります
親友の白桐優子
優子の謎の失踪から突然の再会
何故彼女は姿を消したのか
私の中学の頃の実話を元にしました
暴走♡アイドル ~ヨアケノテンシ~
雪ノ瀬瞬
青春
アイドルになりたい高校1年生。暁愛羽が地元神奈川の小田原で友達と暴走族を結成。
神奈川は横浜、相模原、湘南、小田原の4大暴走族が敵対し合い、そんな中たった数人でチームを旗揚げする。
しかし4大暴走族がにらみ合う中、関東最大の超大型チーム、東京連合の魔の手が神奈川に忍びより、愛羽たちは狩りのターゲットにされてしまう。
そして仲間は1人、また1人と潰されていく。
総員1000人の東京連合に対し愛羽たちはどう戦うのか。
どうすれば大切な仲間を守れるのか。
暴走族とは何か。大切なものは何か。
少女たちが悩み、葛藤した答えは何なのか。
それは読んだ人にしか分からない。
前髪パッツンのポニーテールのチビが強い!
そして飛ぶ、跳ぶ、翔ぶ!
暴走アイドルは出てくるキャラがみんなカッコいいので、きっとアイドルたちがあなたの背中も押してくれると思います。
それでも俺はあなたが好きです
水ノ瀬 あおい
青春
幼なじみの力也(リキ)から頼み込まれて啓南男子バスケ部のマネージャーになった吉井流星(ヨッシー)。
目に入ったのは睨むようにコートを見つめる女バスのマネージャー。
その姿はどこか自分と似ていると思った。
気になって目で追う日々。
だけど、そのマネージャーは男バスキャプテンのセイに片想いをしていた。
意外と不器用なヨッシーのバスケと恋愛。
美少女にフラれたらなぜかダウジング伊達メガネ女子が彼女になりました!?〜冴えない俺と彼女と俺をフった美少女の謎の三角な関係〜
かねさわ巧
青春
まてまてまて! 身体が入れ替わっているってどういうことだよ!? 告白した美少女は俺の好きになった子じゃなかったってこと? それじゃあ俺の好きになった子ってどっち?? 謎のダウジングから始まった恋愛コメディ。
人生負け組のスローライフ
雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした!
俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!!
ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。
じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。
ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。
――――――――――――――――――――――
第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました!
皆様の応援ありがとうございます!
――――――――――――――――――――――
ここタマ! ~ここは府立珠河高等学校~
NKS
青春
府立珠河高等学校生物部の部員たちが巻き起こす学園コメディ。
進学したばかりの主人公の少年は校内で迷子に。そんな主人公を助けた人物は学校でも有名な名物人間だった。それが縁でその人物が部長を務めるクラブのお茶会に招待される事となる。
そのお茶会は怪しさ爆裂。癖の強い先輩たちの洗礼を受ける事となるが、少年はそれに染まる事なく無事に高校生活を送る事が出来るのか⁈
空に願うは窓際の姫君
DANDY
青春
幼い頃に両親を交通事故で失い、祖父母の住む空神町に引き取られて育った高校一年生の斎藤清歌には、中学生の頃からずっと憧れていた女性がいた。
彼女の名前は神道綾音。
絶世の美女であり、いつどんなときでも二階の窓から外の景色を眺めているだけのミステリアスな彼女に、斎藤清歌は恋をした。
そんな綾音を遠目から見守ることしかできなかった清歌だったが、ある日綾音から声をかけられた。
「私、ここから出られないの」
驚く清歌だったが、学校に遅れるので急ぎ足でその場をあとにする。
授業が終わったあと、いつもどおりに綾音の家の前を通ると、いつもは姿勢良く景色を見渡している綾音が苦しそうに窓枠にうずくまっていた。
失礼や非常識なのは承知の上で、なにかあってからでは遅いと彼女の家に乗り込んだ清歌が二階の部屋に向かう。
部屋の中では綾音が苦しそうに横たわっていて、彼女の足には天井から伸ばされた鎖がくくりつけられていた。
斎藤清歌と神道綾音。
これは二人のずっと言えなかった秘密を解き明かすひと夏のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる