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後編

この道の先にあるもの

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 鏡叶泰の墓の前に誘木浬の姿があった。浬もまた書き込みを見たことによって決断を迫られていた。

『あたしはどうするべきや?咲薇が白狐でないと信じたい気持ちもなくはないよ。ただあぁして書いてあることを見てしまうと正直嘘とも思いきれん。あたしは陽炎朱雀の頭や。この件に私情は挟めん。どうしたらえぇ?』

 土曜日に向けてチームは士気を高めてしまっている。もはや咲薇と話したからといってどうにもならない。

 陽炎朱雀は暴走侍を全力で潰しにかかる。それは止めようがない。

『前みたいにアホみたく笑って教えてくれよ…』

 浬がしばらくそこに座りこんでいると足音が聞こえてきた。振り向くとそこには咲薇がいた。待ち合わせなどしていない。それぞれがなんとなく足を運んだ。

『咲薇…』

 まるで叶泰が引き合わせたかのような奇妙なタイミングに浬は言葉が出なかった。

『浬さん、あたし白狐なんかと違うんです。あの書き込みは全部誰かの仕組んだことなんです。お願いします、信じてください』

 頭を下げる咲薇を見て黙っていた。そのまま何も言わず立ち上がると歩きだし通りすぎていってしまった。

『浬さん!このままいったら影で操ってる奴らの思うつぼなんです!もっとケガ人が出ますよ!?』

 浬は立ち止まるも振り向こうとはしなかった。ただ自分も伝えることだけは伝えるべきと思った。

『咲薇。悪いけどあんたの言葉だけでは信じられんよ。あたしも陽炎朱雀というチームを背負う者として、はいそーですか、では済ませられへんねん。答えは暴走侍に聞く。あんたとの話はその後や』

『そんな…』

 咲薇は浬がきっと話を聞いてくれると思っていたらしく、さすがにショックは大きかった。

『お前がホンマに白狐であろうとなかろうと、あたしはこの道を行くことしかできんのよ。それに…この道を行けば叶泰が何故死んだのか、分かる気がしてんねん』

 浬はそれだけ言うと行ってしまった。

 咲薇は叶泰の墓の前でただ立ち尽くしていた。

『…もうホンマに止めることはできんの?叶泰…あたし、どうしたらえぇの?』
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