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中編

悪夢の再来

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(あの女は!!)

 槐は瞬の顔を見るなり急に顔を背けてしまった。

『おい銀髪。今日はこれで勘弁したるぞ。感謝せぇよ』

『ふざけるんじゃないよ。逃げるのか?』

『…あぁ。そういうことでえぇ。この場はな』

 槐は最後に意味深な笑いを浮かべると歩いていってしまい、他の4人も後を追って行ってしまった。

『くそガキが』

『とりあえずみんなが無事でよかったよ』

 豹那は機嫌が悪そうだが瞬は安心を口にした。






『槐、なんでやめてしまったんや。お前らしくないやないの』

『あの銀髪の女、あれは怪物や。あれとやり合うんやったらそれなりの覚悟せなあかん。だが何より最後に現れた女。あれは本物の化物やぞ』

『ホンマか?ただのお嬢ちゃんにしか見えへんかったけどな』

『アホ、あん中で1番強いんはあいつや』

『あれ誰なん?』

『あいつはゴッドや』

『…外人か?』

『アホ!リングネームや。前に話したやろ東京の地下格闘技。そこのチャンピオンや』

『あぁ!あの非公式の大会言うあれか!』

『そうや。まさか奴がおるとはな…』

『ほなどーすんねん。あいつらからは手ぇ引くんか?』

 藺檻槐は熱狂的な格闘技のファンで中でも地下格闘技にはかなりハマっていた。わざわざ大阪から足を運ぶ程で、当然そこの覇者だった雪ノ瀬瞬の存在は知っている。

『この前東京に行った時、おもろいこと聞いたんや。ゴッドはなんと暴走族の総長やった。東京全土を占める程のチームのな。たまたま試合見に来とったそこの人間がポロッと漏らした。「薬様々」やとな。うさん臭い話やったが聞けば聞くほど興味深い話やった。あの人は確かに強い。でもその大部分はドーピングによるものやから、その気になれば誰もがゴッドになれるかもしれんと、そう言うたんや。あたしの見たゴッドはホンマに化物やった。絶対にありえへんような力としか思えんかった。だがその話はどうやらホンマらしい。今まだ開発中の新型ステロイドと中国で作られた麻酔に似た鎮痛剤や。その2つを使って奴は最強の力を手に入れたということや。それやったら、あたしらも神になれるのとちゃうか?』

『槐、まさか…』

 槐は目を見開き狂気に満ちた顔で笑っていた。

『あぁ、そのまさかや。これも何かの縁やろな、今日その薬がやっと届く。楽しみや、ここらであたしらに勝てるもんは1人もおらんようになるで。奴らの始末はその時や…』

 般若娘という5人の妖怪が暴力の神となり、暴走愛努流たちの前に悪夢を甦らせ立ちはだかろうとしている。
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