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中編
うさんくさい
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『このキノコうめぇな!』
『…玲璃。それはマツタケよ』
『うぇっ!なんだこの黒いの。プチプチしてしょっぺぇ!』
『キャビアよ。そんないっぺんに食べるからよ!』
『でぇっけぇエビ!こいつ本当にエビか!?もしかしてあれか?外国のザリガ…』
『それは伊勢海老よ!』
宴会が始まった暴走愛努流は、まず見たこともない料理や食材に大声をあげる玲璃がこの中で唯一上流階級のお嬢様蘭菜にその1つ1つを教わっていた。
『何このお酒。めっちゃおいしい!飲みやす!』
『牛肉って…口の中で溶けるんだ…』
『飲んだことないけどワインとか欲しくなっちゃうね』
『えっ?これが大トロでしょ?じゃあ…この、これは何トロなの?』
出てくる料理の予想以上のレベルに愛羽たちは度肝を抜かれたが、もうそれを通り越すとさっきまでの遠慮がまるで嘘のように皿が運ばれてくる度に騒いだ。
『おい蘭菜ぁ。この貝もなかなかうめーぞ。ちょっと硬ぇーけど』
『それはアワビよ!もう…』
『あー。もう自分が何食べてんのか分かんねーけど、とにかく旨いな』
出てくるのはどれも高級で一級品。愛羽たちは腹と舌を幸せで満たしシャンパンを何杯もおかわりし最高のひとときを過ごした。
『おい風呂行こーぜ!』
浴場は露天風呂もあれば窓からは絶景を見渡せるようにもなっていて何より広い。
『うわぁ~、すっごいね!超開放的。ねぇー!みんなあたしが背中流してあげるよ!』
いい感じに出来上がっている愛羽はみんなの裸を目の前にしてやたらと絡んでいく。
『うっひゃー。やっぱ蓮ちゃん大っきー!』
『さすがオッパイ隊長』
『ちょっと何よそれ!オッパイ隊ってどんなよ!』
みんながはしゃぐ中、景色を1人で眺めている蘭菜に風雅が声をかけた。
『どうかしたのかい?蘭菜』
『…あの女の人、何者なのかなと思って。どう考えてもここは超高級ホテルよ?こんな所に私たちみたいな学生を無料でもてなすなんてやっぱりおかしいわ』
『まぁ、言ってることは分かるけど、悪そうな人にも見えなかったけど』
『私もそれは分かってるんだけど。でもね、ちょっと引っかかるの。あの人の言葉遣い…』
『言葉、遣い?』
『あの人、片言を装ってはいるけどずいぶん日本語を知ってるようだったわ。それに、イントネーションとか発音も聞いててちょっとわざとらしいっていうか、なんかうさん臭くって』
『…本当は喋れる、とでも思うのかい?』
『さぁ…少し考えすぎかしらね』
そう言って蘭菜は笑っていたが、風雅もここへ来る途中で感じた殺気をどうしても気のせいと割りきれずにいた。
『…玲璃。それはマツタケよ』
『うぇっ!なんだこの黒いの。プチプチしてしょっぺぇ!』
『キャビアよ。そんないっぺんに食べるからよ!』
『でぇっけぇエビ!こいつ本当にエビか!?もしかしてあれか?外国のザリガ…』
『それは伊勢海老よ!』
宴会が始まった暴走愛努流は、まず見たこともない料理や食材に大声をあげる玲璃がこの中で唯一上流階級のお嬢様蘭菜にその1つ1つを教わっていた。
『何このお酒。めっちゃおいしい!飲みやす!』
『牛肉って…口の中で溶けるんだ…』
『飲んだことないけどワインとか欲しくなっちゃうね』
『えっ?これが大トロでしょ?じゃあ…この、これは何トロなの?』
出てくる料理の予想以上のレベルに愛羽たちは度肝を抜かれたが、もうそれを通り越すとさっきまでの遠慮がまるで嘘のように皿が運ばれてくる度に騒いだ。
『おい蘭菜ぁ。この貝もなかなかうめーぞ。ちょっと硬ぇーけど』
『それはアワビよ!もう…』
『あー。もう自分が何食べてんのか分かんねーけど、とにかく旨いな』
出てくるのはどれも高級で一級品。愛羽たちは腹と舌を幸せで満たしシャンパンを何杯もおかわりし最高のひとときを過ごした。
『おい風呂行こーぜ!』
浴場は露天風呂もあれば窓からは絶景を見渡せるようにもなっていて何より広い。
『うわぁ~、すっごいね!超開放的。ねぇー!みんなあたしが背中流してあげるよ!』
いい感じに出来上がっている愛羽はみんなの裸を目の前にしてやたらと絡んでいく。
『うっひゃー。やっぱ蓮ちゃん大っきー!』
『さすがオッパイ隊長』
『ちょっと何よそれ!オッパイ隊ってどんなよ!』
みんながはしゃぐ中、景色を1人で眺めている蘭菜に風雅が声をかけた。
『どうかしたのかい?蘭菜』
『…あの女の人、何者なのかなと思って。どう考えてもここは超高級ホテルよ?こんな所に私たちみたいな学生を無料でもてなすなんてやっぱりおかしいわ』
『まぁ、言ってることは分かるけど、悪そうな人にも見えなかったけど』
『私もそれは分かってるんだけど。でもね、ちょっと引っかかるの。あの人の言葉遣い…』
『言葉、遣い?』
『あの人、片言を装ってはいるけどずいぶん日本語を知ってるようだったわ。それに、イントネーションとか発音も聞いててちょっとわざとらしいっていうか、なんかうさん臭くって』
『…本当は喋れる、とでも思うのかい?』
『さぁ…少し考えすぎかしらね』
そう言って蘭菜は笑っていたが、風雅もここへ来る途中で感じた殺気をどうしても気のせいと割りきれずにいた。
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