鈍感勇者は気にしない。 ~ 最強パーティを追放されたので不当解雇かと思ったら理由が正当だった。でも正直どうでもいい。 ~

ジョーカー

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プロローグ そもそも追放の理由がごもっとも。

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「お前はもうクビだ。 このパーティから出ていってくれ」

 俺はボッチ。
 ボッチ・トワニ・ヒトリミーノ。
 この冒険者パーティ、 『漆黒の混沌』のリーダーだ。
 仲間たち四人に話があると言われ拠点の大広間に来てみれば......いきなりこの解雇宣告。
 このパーティのリーダーは俺なのにだ。

 初めはあまりの事に思考が追いつかず頭の中が真っ白だった。
 しかし蔑むような仲間たちの言葉が俺の脳みそをクリアにしていく。

「正直お前は役に立たないんだよ。 今や最強パーティと呼ばれてる俺たちのつら汚しだ」

 最年少で切り込み隊長の「アツイ」。
 パーティ組み立ての頃は俺を尊敬し背中を追いかけ回していたのに......酷い言いようだ。

「木偶の坊は必要ないの。 お願いだから私たちの前から消えて」

 幼馴染で恋人の「クシィ」。
 お前は止めてくれると思っていたのに......アツイに乗り換えたという噂は本当だったんだな。 このショタコンビッチが。

「なぁんかボッチさんがいるとパーティが重苦しくなるんスよねぇ! アンタのいない所じゃ会話が盛り上がるのに! 」

 一番小柄な女ファイターの「ルイ」。
 いつも軽く楽観的に考えてるお前よりはマシだ。 俺は思慮深く寡黙に仕事をこなしてるだけなんだよ。

「ボッチ。 ヤクタタズ。 クッテモ。 マズソウ」

 魔物に育てられた筋肉モリモリマッチョマンの変態、 「ガタイ」。
 魔物のして討伐されそうな所を救ってやったのに......コイツをパーティに入れた事自体間違いだったか。

 まぁなんにせよ薄情者のコイツらの言葉を真に受ける必要はない。
 何故なら。

「これは不当解雇だ。 俺は受け入れない」

 俺はハッキリと言ってやる。
 最近パーティ内の有能な人物を、 気に入らないないからとか使い勝手が悪いからとかで不当解雇する輩が増えている。
 コイツらもそれに影響されたんだろう。

「......そうだな。 いきなりやめろだなんて言われても納得出来ないよな。 
 それなら皆の意見を聞いてから不当かどうか決めてくれ」

 アツイは熱血漢で頭に血が登りやすいが話は分かる奴だ。

「まずは俺からな? 」

 きちんと話し合えばこの話し合いが無意味だと......。

「まずはお前。 リーダーなのに何としてなくない?
 基本作戦は『みんながんばれ』だし、 そもそも普段全く喋らないじゃん。 それじゃ何考えてるか分からないんだけど。
 というか今久しぶりにボッチの声を聞いてちょっと驚いてるんだけど」

「あ、 はい」

 どうしよう。 至極真っ当な意見だった。
 俺すらも自分の声を久しぶりに聞いて驚いてる。 こんな声だったっけ。
 というか皆俺の意図を汲んで動いてくれてると思ってたんだけど......そうじゃなかったのね。 ごめんね。
 こんなのリーダー失格だよね?
 急激に恥ずかしくなってきたし、 もうこの場にいたくない。

「今までお世話になりました。 さようなら」

 だから俺は、 そのまま拠点から去ろうとした。

「おい待て! 」

 でもそれをアツイに止められる。
 ああ、 こんな俺に同情してくれるのか?

「そういうとこだぞ! 話は最後まで聞けって!
 皆お前に不満が溜まってるんだ! 最後ぐらい言わせてもらうからな! 」

「あ、 はい」

 違った。
 この世には神も仏もいないらしい。

 その後も、 仲間たちの言い分は続いた。

「そもそも気持ち悪いのよ。 喋らないから。
 その癖いつもいやらしい目で見つめてきて、 喋らない癖に夜だけは求めてきて......心が病みかけたわ。
 その分アツイがいつもフォローして話聞いてくれてたけど......幼馴染だって喋らなきゃ何考えてるか分からないよ」

 クシィ。 俺をそんな風に......考えもしなかった。 めちゃくちゃエッチが好きなビッチだと思ってた。
 しかも精神的に追い込んでたのね......ごめん。

「リーダーが喋らないからパーティの空気最悪なんスよ。 その分、 ボクやアツイが頑張ってるの気づかなかったんスか? というか戦闘中突っ立ってるだけだし」

 いやアレは堂々とした司令塔の雰囲気をだな......いやごめん。 本当にごめん。
 女の子を戦わせてそれを見てただけの俺は最低です。

「ソモソモ。 存在価値ガナイ。 ガタイたち四人で全然回ってるでヤンス。
 というかなんでいつも見てるだけなの? 喋らないの? 感想とかアドバイスとかないの? 話聞いて頷いてるだけで実は何も考えてないんじゃないの? てか金銭感覚おかしいよね? パーティの金どれだけ無駄なアイテムに注ぎ込んだ? 装備も何もしないのになんで一番いいやつ使ってるの? なんでその分ガタイたちが貧乏クジ引かなきゃいけないの? そして何もしてないのになんで我が物顔でギルドに報告出来るの? 罪悪感とかないの? それに......」

 おいおいコイツが一番エグいな。 そしてどれも本当の事だから何も言い返せないな。 けど口調やキャラは統一した方がいいぞ、 うん。

「まぁここまでで十分理解してもらえたよな? 」

 全員の話を聞いて凹んでる俺にアツイが声をかけてくる。

「でも今のはあくまで俺たちの主観での話だ。 これだけじゃ解雇の理由にはならないよな? 」

 やっぱりコイツは話が分かる。
 ここからは大人らしい交渉を......。

「だから次は外部からの苦情を伝えていくな? 」

 やめてくれ。 これ以上俺の精神のライフを削らないでくれ。

「まず『自分たちは転生者だ』と妄言を言ってきてウザい。 こんな時ばっかり饒舌。 これな。
 まずさ、 誰も信じてくれないから転生者だっていうのは隠してるよな? これでお前だけが頭おかしいって思われるならいいけど、 俺たちパーティにまで迷惑かかるんだけど。
 それから他に、 『イヤラシイ目で見てくる』『変なアイテムを売り付けてくる』『喋らないで一人で酒場でずっと一杯の酒を飲んでる』とか苦情が沢山きてるんだ。
 こんなパーティの評判下げる奴を置いておける訳ないだろ? 」

 至極真っ当だ。 真っ当な俺に対する苦情だ。
 俺は気づかないうちにこんなに周りに迷惑をかけていたのか。
 恥ずかしい。 穴があったら入りたい。 この世から消えてしまいたい。
 というかアツイよ、 お前もキャラが変わってるぞ。
 いつもの熱い感じはどうした。

「でもこんなは些細な話だ。 周りの奴らがなんて言おうと、 それだけで仲間を見限る様な真似を俺たちはしない」

 そうそうそれだ。
 それでこそ仲間に慕われる切り込み隊長だ。
 そうまで言ってくれるなら、 俺にもまだ希望が......。

「だから、 お前に出て行って貰いたい最大の理由を今から話すからな? 」

 酷いよアツイ。
 もうお前、 ツメタイに改名した方がいいよ。

「お前、 職業なんだっけ? 」

 俺は、 その質問に視線を逸らし口籠ってしまう。

「ボッチリーダー? お前の職業、 なんだっけ? 」

 でもその威圧的な態度に思わず口を開いてしまった。

「......『足の小指を角にぶつける師』です」

「声が小さくて聞こえないよ! もっと大きな声で!! 」

「小指角師《しょうしかくし》です!! 」

「なんかかっこいい風に略すな!! 」

 聞こえてるじゃん!!
 そしてどう略したって俺の勝手だろ!!
 それにこれは俺が自ら望んだんじゃなくて! 転生時にランダムに与えられたんだもの! 文句言うなら神に言って!!

「いやね、 お前の気持ちも分かるよ?
 勝手にこの世界に転生させられて同じ転生者探して魔王を倒せだなんてイカれた使命だよな? 理不尽だよな?!
 その上役に立たない職業割り当てられて不憫なのも分かるよ? 悔しいよな?! 」

 おお。 これぞアツイの真骨頂。
 友情に熱く、 同情して共感してくれてる。
 これなら俺の事も見捨てずに......。

「でも『足の小指を角にぶつける師』って!!
 いやね! 分かるよ? 五人も転生者がいれば一人ぐらい使いづらい職業がいるのも分かるよ? 使い所難しいのとかあっても仕方ないよね?!
 でも『足の小指を角にぶつける師』って! これだけはない!
 そもそもそれは前衛なの? 後衛なの? 戦闘職なの? 補助職なの? 職人系なの?! それすら分からん!! そんな奴を仲間としてリーダーとしてフォローするこっちの身にもなれ! もう限界なんだよ! 普通に他の職業の奴仲間にした方がいいだろ?! 」

「ご、 ごめんなさい......」

 その勢いに思わず謝ってしまった。
 相当ストレスが溜まってたんだろう。
 これに関しては俺は悪くない。
 けどアツイも皆も悪くない。
 どうしようもないじゃんコレ。

「と、 とにかくだ! 役に立たない上に評判も悪いお前をクビにして、 まともな職業の仲間を探す! これは俺たち四人で話し合った事だ! 従ってもらうぞ!! 」

 ああもうダメだな。
 熱くなり過ぎて俺の話を聞く余裕もなさそうだ。
 話が唯一通じそうだったアツイがこれだ。 他の俺を軽蔑してる三人にはもっと期待出来ない。
 これは覚悟をしなきゃいけなさそうだな。

 ......て言うか、 もうどうでもいいや。
 そもそも人付き合いとか集団行動とか苦手だし、 これでよかったのかもしれないな。
 俺なりに頑張ったつもりだが、 それが皆にとってマイナスだったんなら仕方ない。
 気持ちを切り替えて出ていくとするか。

「分かったらさっさと出て行......」

「了解。 さよなら。 お世話になりました」

 俺はアツイが言い切る前にそう告げると、 拠点である建物を出て行こうとした。
 すると。

「......ちょっと待て!! 」

 何故か追い出そうと話を進めていたアツイ本人に止められた。
 何? 引き止めてくれるの?
 いや気持ちは嬉しいんだけど、 もう出ていくつもりだったから引き止めとかいなら......。

「なんで悔しがらないの?! 」

「はい? 」

「普通ほら! もっと渋ったり! 悔しがったり! 俺たちを恨んだりするでしょ?! 
 なんで平気そうなの?! そう言うところだぞ!! なんかこう! 感度変だぞお前!
 他人への気持ちに鈍感なの? そもそも興味ないの? 最強パーティ抜けるのに未練ないの?!
 もっとこう! 不幸そうな顔で出てけよぉ!! 」

 知らんがな。
 だって解雇の理由が正当過ぎて反論も出来ないんだもの。
 それを示してのはお前だろ?
 俺は素直に反省してるんだ。

「ほらまた何も言わないし! 無表情だし! なんで納得しちゃってんだよ!
 俺たちを苦しめたんだからお前も苦し......むぐっ?! 」

 アツイがそこまで言った時点で仲間たちが止めに入る。

「落ち着いてアツイ! ね? あんな奴に熱くなったって無駄よ? 苦しくなるだけだからやめておきましょ? ね? 」
「もう! ボッチのせいでアツイの頭がおかしくなっちゃったんスからね! 可哀想ッス! 」
「これは困りましたねぇ。 火に油を注いでしまったと言うところでしょうか? わたくしどもとしましてもボッチの苦痛に歪んだ顔を見たかったところではございますが、 これ以上の継続は不可能とこのガタイは思いましてですね......」

「お世話になりました。 バイバイ。 さよなら。 頑張って。 いい仲間が見つかるといいね」

 アツイを必死に押さえながら仲間たちが何か言ってる。
 だから俺は、 これ以上ここにいたら迷惑だとその場を去った。
 後悔はない。 全て俺のせいだからな。
 一つ心残りなのは、 ガタイのキャラが崩壊して定まらなくなってる事だ。
 いつかトラブルに発展しないといいが.......。

あ、でも最後に一つだけ。

「俺が出て行って、 もしその事で後悔して呼び戻そうとかしても、 数年後とかじゃもう遅いからな? 戻すなら早めにしろよ? 」

「っ!? な、 なんだよ! 今更負け惜しみか!? 」

最後の俺の言葉にアツイは仲間の制しを振り切って反応する。
その表情は実に嬉しそうだった。

「へへへっ! そうだ後悔しろ! そうやって苦しむ姿が俺の......」

「いや俺も今年で30歳になるからさ。 数年経ったら年齢的に魔王討伐はキツいと思うし......」

何かを早とちりしてるアツイの言葉を遮って訂正してやる。
俺がちゃんと喋らなかったから現状のような状態になった。
最後ぐらいは自分の気持ちをキチンと伝えないと。

「......で! 出て行けぇええええ!! 」

でも何故かめちゃくちゃ怒られた。

 こうして。
 俺は自分で作り上げたパーティを去った。
 多くのギルドの依頼をこなした功績として、 家代わりになっていた拠点を追い出された。
 寂しくない、 心残りがないと言えば嘘になる。
 でも後悔はない。
 きっとアイツらなら、 新しい仲間とも上手くやっていけるだろう。
 ......こういう上から目線も反感を買っていたのかもな。

 拠点を出てしばらくはそんな事を考えていたが。
 数分数十分一時間と時が過ぎる頃には。
 もうどうでもよくなっていた。

 仲間との決別も。
 ここまで積み上げてきた功績も。
 過ぎてしまった事は気にしない。
 明日から前を向いて生きるぞ。
 そう決意した。

 しかし。
 俺は財布や荷物を拠点に置いてきた事を思い出し。
 皆が寝静まった夜中にこっそり自分の部屋に侵入すると。
 何事もなかったかの様に自分のベッドで寝た。
 そして何事もなかったかの様に朝皆に挨拶すると。

「「「「そう言うところだぞ!! 」」」」

 と本気で怒られたのだった。

 こうして今度こそ。
 俺はパーティも拠点も追い出されましたとさ。
 ちゃんちゃん。



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