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第2話
しおりを挟む本日実家にて、各国諸侯の結婚適齢期の殿方に手紙を書いたり、お返事を出したり大変忙しく婚活しておりましたの。
そこに先日婚約を破棄されたヘンリー様の噂が。
どうにも、農地の治水事業を怠り今期の農作物が絶望的だとか、商会丸ごと他の諸侯に引き抜かれたりと散々なんだとか。
その所為で新婚だった妻にも実家に帰られてしまったそう。
「ヘンリー様、大変ですわね」
「全くだ、なんだかんだ向こうから婚約を破棄してくれて結果、感謝してもいいくらいだ」
感謝してもいいくらい、ですか・・・。
そういえば私、過去にもこういった危機回避が何回か・・・、いや結構な回数ございましたのよ。
サイドビジネスで宝石商をされている裕福な貴族の方に婚約破棄された後、王室に宝石と間違えてガラス玉を売りつけてしまい処罰されたり、作物が豊かな土地の領主の方に婚約破棄された後は、その地域だけイナゴが発生したり、武勇に優れたお家柄の方に婚約破棄されたときはご本人が寝たきりのご病気になられたりとか、他にもいろいろ・・・。。
どなたも婚約まではスムーズに事が運びますのに、いざ婚約した後には私の事が気に入らないと婚約を破棄されるのです。そしてその後、ご不幸にあわれる方が多くいらっしゃるようなのです。
そのような方と婚約してしまう私の運がないのか、それとも婚約破棄をされても結果難を逃れる私の運が良いのか・・・。
「ローラ!パーティーのお知らせがあってよ!」
手紙を整理していたお母さまが嬉しそうに声を上げる。
「主催は公爵家のエリオット・パスコー様よ!きっとエリオット様もお年頃だから真剣にお相手を探されているはずだわ!是非行ってらっしゃいな!」
「分かりましたわ、お母様」
参加させていただく旨を手紙に綴りながら、これだけ婚約破棄をされていると、今度こそは上手くいくのかしらと一抹の不安がございましたの。
パーティー当日。会場でお見掛けしましたエリオット様は筋骨隆々としてらして、ライオンのように逆巻く髪の毛を後ろで一つに束ね、言葉の端々に思慮深さも垣間見れ、笑顔はとてもチャーミングで・・・。
私、一目で今までの婚活で感じたことのないときめきを覚えましたの!
そしてそれはエリオット様も同じ気持ちだったようで、一目会ったその時からパーティーが終わるまでずっと二人で過ごすほどでした!
パーティーが終わった後も手紙のやり取りや、エリオット様のわざわざのご訪問など、順調に交際を重ねてまいりました。
そしていざ婚約となった時、私は怖くなってしまったのです。
今までは偶然と思ってやり過ごしてきた、婚約者達の態度の急変、婚約破棄、そして婚約破棄後のお相手の凋落ぶり・・・。
エリオット様にだけは婚約破棄をされたくない。いいえ、それ以上にエリオット様にご迷惑をおかけしたくない!
私は気にし過ぎだと馬鹿にされるかしらとも思いましたが、すべてをエリオット様に打ち明けました。
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