こんな不倫夫くれてやりますわよ、ざまぁwww

あさみ

文字の大きさ
1 / 3

第1話

しおりを挟む

「キミは強い女性だから一人でも大丈夫だけど、彼女には僕がいないとダメなんだ!」
「ベン様・・・!」

は?

私とうちの両親と義両親、全員に集合かけておいて言うことがそれかい。

しかも不倫相手まで連れてくるとかお前正気か!?


不倫で脳みそお花畑のバカ夫は正論を宣言できたと思っているようで、誇らしげな顔で不倫相手を見つめている。
不倫相手もいかにもか弱い女ですと言わんばかりのたれ眉、上目遣いでバカ旦那を見つめ返す。


なんだこれ。




あ、申し遅れました。私ジェシカ・ブラウンと申します。
ただいまバカ夫に離縁を迫られているところでございますの。


ちなみにバカ夫とは結婚1年未満、子無しですわ。

馴れ初めは私が別の方との婚約を破棄されて落ち込んでいるときに励ましてくれたのがきっかけでしたの。

当時の私にはそれはとても救いになりました。
彼の「辛いなら僕に頼って、何もしなくていいんだよ。」というセリフには勇気を貰ったものでした。


ところがどうでしょう。
たった今分かりましたわ。


バカ夫は自分の事を「悲劇のヒロインを助ける王子様」だと思っていることを。

きっと私が落ち込んでいたときも、私というよりも悲劇のヒロインを助ける俺かっけぇぇ!と思っていたに違いありませんわ。

それも腹立たしいですが、なによりこの私が一番嫌いなタイプの女、そう、今目の前にいる不倫相手のような、男に上目遣いで弱々しい私アピールしているような女と同じように見られていたことが一番カンに障りますの。


一気に冷めましたわ。


おうおう、離婚でもなんでもしてやろうじゃありませんの。

ちらりと周りを見回すと、うちの両親は怒りで顔が引きつり、義両親はお二人そろって顔面蒼白。

義両親のお二人はとても良くしてくださいましたので、心中をお察ししますととても心が痛みますわ。


そこで閃きましたの。
バカ旦那にももう興味も未練もございませんが、このまま何もなく別れてやるのは癪ですわ。

なので一芝居打つことにしましたの。
両手で顔を覆い、さも悲しんでいるかのように肩を震わせ、

「うぅ、お二人の絆を拝見しましたら、もう私の入りこむ隙間などないのですね。ここは大人しく身を引きますわ。」
「ジェシカっ!流石我が妻、何という出来た女なのだ!」

バカ夫は喜色満面。お花畑の頭では都合のよすぎる展開に少しの疑問も持たないよう。

「ただ、これから女一人で生きていくのは大変でございます。ですのでこの哀れな女にせめて財産を残していただけはしませんでしょうか?」
「うむ、そうだな!領地の半分はお前に残そう」

チョロい。
私の見立て通り、バカ夫は悲劇のヒロインに良い恰好をしたいだけなのだ。

一瞬不倫相手の目が鋭くなりましたが、そんなこと知ったことではありませんわ。

「ありがとうございます。あ、そうそう。こちらの絵は結婚式の様子を描かせたものですの。ダイヤモンドを散りばめたティアラとドレスのセットはとても評判でしたのよ。ご招待のお客様も500名以上お呼びしましたわ。お料理もご好評いただいて本当に良いお式でしたわ。」

とても柔らかに、不倫相手に微笑みかける。

「ベン、2度目の結婚式なのですから1度目よりも素晴らしいものにしてくださいね。お相手のお嬢さんに恥をかかせてはいけませんよ。私陰ながら応援しておりますわ。」

不倫相手は対抗心むき出しの鋭い目をしておりましたが、私の狙い通り。

幸せな結婚生活送れるとよろしいですわね。

それでは私はもう関係のない人間ですのでこの辺で失礼しますわ。ごきげんよう。



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

真実の愛の祝福

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
皇太子フェルナンドは自らの恋人を苛める婚約者ティアラリーゼに辟易していた。 だが彼と彼女は、女神より『真実の愛の祝福』を賜っていた。 それでも強硬に婚約解消を願った彼は……。 カクヨム、小説家になろうにも掲載。 筆者は体調不良なことも多く、コメントなどを受け取らない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

【完】お望み通り婚約解消してあげたわ

さち姫
恋愛
婚約者から婚約解消を求められた。 愛する女性と出会ったから、だと言う。 そう、それなら喜んで婚約解消してあげるわ。 ゆるゆる設定です。3話完結で書き終わっています。

悪役令嬢は手加減無しに復讐する

田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。 理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。 婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。

婚約破棄、別れた二人の結末

四季
恋愛
学園一優秀と言われていたエレナ・アイベルン。 その婚約者であったアソンダソン。 婚約していた二人だが、正式に結ばれることはなく、まったく別の道を歩むこととなる……。

処理中です...