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カッコよくなりたい俺と変化が怖い彼女
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知らないアドレスから高校生なんだねってきて、警戒しながら対応していた。
どんどんエスカレートしていき、高校の情報や家の情報、中身の事コメントに流そうか? と脅迫。
そして、リアルでの接触。俺が見たのは、コイツだったらしい。
真樹で情報を出した場所は一ヶ所だけだからすぐにそこにかけあっているところだと。
「父がすぐに対応してくれましたが、もう真樹で活動は出来ないかもしれません」
「どうして?」
「マリヤの二の舞になるからだと思います。それでも、私――――、わたし……やめてしまったら」
涙が溢れだしたのか、マキちゃんの話がとぎれる。
俺はマキちゃんの横に座って背中を撫でた。
「圭さんの言う通りにしよう」
「そんな!」
「お兄!」
「俺達はまだ子どもだ。だから、何かあれば親にまで責任がいく」
「「……」」
わかっているのだろう。二人とも黙った。
「俺さ、Vの世界やめようと思ってるんだ」
「え!?」
ナミがびっくりして目を丸くする。マキちゃんはゆっくりと俺と視線を合わせた。
「だから、マキちゃん。気にしないでいいんだよ」
「……」
「マキちゃんがVをしててもしてなくても一緒にいるからさ」
「樹君、知ってて」
なんとなく気がついていた。俺とマキちゃんはこれがきっかけで付き合い出した。だからか、彼女はこの世界に縛られているような。この世界から離れる時は、別れる時だと思い込んでるんじゃないかって。だから、彼女は俺にVの世界で理想の美少女を続けて欲しいんじゃないかなって。
「私、樹君が変わってしまったら、他の人にとられるんじゃないかって心配で……。私が、真樹でなくなったり、釣り合わないような弱い女の子になっちゃっても樹君が離れていくんじゃないかなって心配で……」
「マキちゃん、ごめん。不安にさせてごめん」
俺は謝った。あの日、もう一度告白してみせると言った。だけどまだ可愛いから卒業できていないから、実行していない。それが彼女の中で不安の種を成長させてしまったのだろう。
そっとナミが出ていく。気を利かせてだろう。
ありがとう、あとでなんか好きなもん買ってきてやるよ。
「私、こんな風になるなんて……思ってなくて」
ひっくひっくと泣きながらマキちゃんは続ける。
「どんどん樹君が格好よくなっていくのに、不安で仕方なくて」
マキちゃんの為に格好よくなろうとしていたのに、それが彼女を悩ませていた。
「……私、ごめんなさい。これじゃあ、樹君の彼女失格ですよね」
俺は全力で首を横にふった。
「俺は、どんなマキちゃんだって好きだ。格好よくて可愛い彼女! 最高じゃないかっ!」
「樹君。でも」
次を言わせないように俺はぎゅっとマキちゃんを抱き締めた。
「俺、マキちゃんを幸せにする。だから信じてよ。マキちゃんは俺の最高の彼女だから!」
どんどんエスカレートしていき、高校の情報や家の情報、中身の事コメントに流そうか? と脅迫。
そして、リアルでの接触。俺が見たのは、コイツだったらしい。
真樹で情報を出した場所は一ヶ所だけだからすぐにそこにかけあっているところだと。
「父がすぐに対応してくれましたが、もう真樹で活動は出来ないかもしれません」
「どうして?」
「マリヤの二の舞になるからだと思います。それでも、私――――、わたし……やめてしまったら」
涙が溢れだしたのか、マキちゃんの話がとぎれる。
俺はマキちゃんの横に座って背中を撫でた。
「圭さんの言う通りにしよう」
「そんな!」
「お兄!」
「俺達はまだ子どもだ。だから、何かあれば親にまで責任がいく」
「「……」」
わかっているのだろう。二人とも黙った。
「俺さ、Vの世界やめようと思ってるんだ」
「え!?」
ナミがびっくりして目を丸くする。マキちゃんはゆっくりと俺と視線を合わせた。
「だから、マキちゃん。気にしないでいいんだよ」
「……」
「マキちゃんがVをしててもしてなくても一緒にいるからさ」
「樹君、知ってて」
なんとなく気がついていた。俺とマキちゃんはこれがきっかけで付き合い出した。だからか、彼女はこの世界に縛られているような。この世界から離れる時は、別れる時だと思い込んでるんじゃないかって。だから、彼女は俺にVの世界で理想の美少女を続けて欲しいんじゃないかなって。
「私、樹君が変わってしまったら、他の人にとられるんじゃないかって心配で……。私が、真樹でなくなったり、釣り合わないような弱い女の子になっちゃっても樹君が離れていくんじゃないかなって心配で……」
「マキちゃん、ごめん。不安にさせてごめん」
俺は謝った。あの日、もう一度告白してみせると言った。だけどまだ可愛いから卒業できていないから、実行していない。それが彼女の中で不安の種を成長させてしまったのだろう。
そっとナミが出ていく。気を利かせてだろう。
ありがとう、あとでなんか好きなもん買ってきてやるよ。
「私、こんな風になるなんて……思ってなくて」
ひっくひっくと泣きながらマキちゃんは続ける。
「どんどん樹君が格好よくなっていくのに、不安で仕方なくて」
マキちゃんの為に格好よくなろうとしていたのに、それが彼女を悩ませていた。
「……私、ごめんなさい。これじゃあ、樹君の彼女失格ですよね」
俺は全力で首を横にふった。
「俺は、どんなマキちゃんだって好きだ。格好よくて可愛い彼女! 最高じゃないかっ!」
「樹君。でも」
次を言わせないように俺はぎゅっとマキちゃんを抱き締めた。
「俺、マキちゃんを幸せにする。だから信じてよ。マキちゃんは俺の最高の彼女だから!」
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