Vの世界で理想の美少女やってたら、幼なじみに見られた……俺。

花月夜れん

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カウントダウンはVの世界です、俺

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「おぉっと、避けるにゃー」

 めっちゃモン年末オンライン限定のイベント。『除夜の鐘竜』に俺は挑んでいるところだ。
 叩く度に鐘の音が響く。

「これでひゃくはちぃぃぃ!!」

 ゴーン

「やったにゃぁぁぁ!」

「お疲れ様ー!」
「よいお年を!」
「ミツキちゃん、来年もよろしくねー!」

 よし、少し早いが鐘つき最後のゲーム配信を終えた。
 さすがにナミとマキちゃんは家族団欒だんらん中だ。
 俺は? 24時すぎたら挨拶にいけばいいだろ?
 配信画面で手をふる。マキちゃんが配信を見てるらしい。だけど、変に緊張したりかまったりしないよう視聴用の名前は教えてくれてない。
 どれだろう? 俺は視聴者の名前に目をやった。
 masaという名前があったけどそんな単純な事はしないだろうなぁ。

「それじゃあカウントダウン始めるよー」

 危ない危ない、もうカウントダウンの時間だった。

「5」

 今年は色々あったなぁ。

「4」

 マキちゃんに見られて、

「3」

 マキちゃんと付き合って、

「2」

 マキちゃんとデートして、

「1」

 マキちゃんばかりが俺の脳内で駆け回る。

「0、ハッピーニューイヤーにゃーん!! 今年もミツキの配信よろしくにゃぁぁぁぁ!!」

 ふ、今年もこれを続けるつもりか? 俺よ……。
 4月からは受験生だぜ? まあ、勉強はしっかりやってるつもりだが、大学受験かぁ。
 さすがにいったん休止しないと……だよなぁ。

「それじゃあ、お友達と初詣にいってくるにゃー」

 リア充の皮を被りながら俺はミツキの配信を終える。
 お友達と初詣はつもうで? そんなイベントリアルで起こるわけないだろう?
 父さん母さんナミがいるリビングに行く。

「明けましておめでとう」

 リビングがたこ焼きの香りだったのは気のせいではないだろう。

「「明けましておめでとう」」
「おめでとー」

 真ん中に居座る大量のお菓子を一つつまんで食べた。
 たこ焼きは、トラウマでそっとよけた。

「今年も年越しすぐは無理ねー」
「だねー」

 毎年恒例明けましておめでとうメールはなかなか繋がらないようだ。
 マキちゃんに送りたいが、もう少し時間がたってからになりそうだ。

「あ、そうだ。お兄」
「ん」
「朝8時に出るからね」
「え? 何の話だ」

 俺は今から眠くなるまでゲームをするつもりなんだが。

「マキと初詣。お兄もくるでしょ?」

 リア充イベントキター!!
 もちろん行かせていただきます。

「ナミちゃん、私達は?」

 母さん、歯に青のりついてるぜ……。

「今年は二人で初詣デートしてきなよ。私達は子どもだけでいってくるからさー」

 父さんが母さんのほっぺたについてる青のりをとっていた。歯の分はさすがにとれないよな。
 笑いあってるが父さんの歯にも青のりがついている。

「そうねー。二人でいこっか、繋君」

 昔から呼び方が変わらない二人。その姿に自分とマキちゃんを重ねて、ほわっとしていた。
 8時か、あと二時間位ならゲーム出きるかな。

「起きなかったらおいていくからねっ」

 はい、一時間にしておきます。
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