Vの世界で理想の美少女やってたら、幼なじみに見られた……俺。

花月夜れん

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友にも見られてた俺

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「大丈夫だったのか?」
「あ、あぁ」
「アイツ、マリヤに言い寄ってたヤツだろ」
「あー、たぶん。もう大丈夫だろ」

 ミツキで釘付けにしとけば、俺はそう思った。

「樹、菊谷と知り合いだったのか?」

 ユウキに聞かれる。そういや、菊谷とのやりとりはユウキは見てなかったからな。

「この前、キーホルダー拾ってもらったんだよ」
「へぇ、それってあのゲームのキーホルダーか?」

 え? お前まで知ってるのかよ。俺の鞄の中透明じゃねーぞ。
 ユウキは自分でやりこむ派だから攻略や配信なんて見てない。だから、俺が配信してるキャラクターと同じだとは気がつかないだろうけど。

「そう、ゲームのやつ」
「あれって、けっこう面倒なイベントだったろ。よくやったな」
「あー」

 欲しかったんだよ。限定だし、ゲーム内のアイテムも貰えたし。

「良かったな、なくさなくて」

 ユウキに言われ、俺ははたと気がついた。
 そうだった。一応、菊谷は恩人だった。
 俺はあとで送ってやるのを一段階パワーアップしといてやろうかなと考える。

「なぁ、なんでついてくるんだ?」

 マサユキがユウキに聞く。そういえばさっきからユウキはずっとついてきた。

「や、デートと間違われたらお前らがかわいそうだなと思って」

 ぐはっ。またかよ。とてもありがたいけど、ダメージくうぞ。それ。

「あのな、ユウ――」
「そういうの冗談でもやめておいた方がいいぞ。友達なら。樹は女の子扱いが嫌いだから」

 マサユキに言われ、ユウキが謝ってきた。

「あ、そうなのか。ごめんな。樹」

 俺は言おうとした言葉を飲み込み、次の言葉を出した。

「まー、次から気をつけてくれ」

 なんで、マサユキが知ってるんだ? コイツが知ってる俺は恐らく嬉々として女の子を演じるミツキな俺。
 女の子扱いが嫌いなんて思うか?

「マサユキ、ありがとな」

 とりあえず、俺の気持ちを代わりにはっきり言ってくれたので礼を言っておこう。

「なあ、昔俺と遊んでたことあったりするのか?」

 昔の方が女の子によく間違われててその度に怒ってたから、なんとなくそう思ったんだが。

「思い出すのもあれだろ」
「へ?」
「なんでもない」

 俺が忘れてる? うーん。マリヤの事もだが、何かを俺は忘れたのかな。

「ついたぞ」
「あ、わりぃ」

 案内役いらないだろってくらい、正確に店まで行ける。なら、マサユキ一人で良かったんじゃね?

「由香さんと千夏さんの言うとおりだな」
「え?」
「ぼけーっとしてるから、しっかり引っ張ってあげてねって」

 俺が案内される方かよ!! 子どもじゃないっての!
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