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無事か? 俺の理性ぃぃぃぃ
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「にゃぁぁぁぁぁぁ」
「ミツキちゃん!」
「なんだにゃ!!」
「体が曲がってるよ! コーナーの度に」
「面白すぎー」
今日は前半めっちゃモン、後半は毬カートだ。毬カートとは、毬の車輪で走りまわるカーレースゲームだ。他機種の時からやりこんでいる長寿ゲームだが飽きない面白さがある。配管工? 何のことだい?
「お兄、手加減なさすぎ」
配信が終わった後、ナミが転がっていた。腹を抱えて。
「笑いすぎて全然集中出来ないし! ずるいよー」
「ふ、俺はいつだって全力だ。これもまた戦略だ!」
嘘だ。体が動くなんて知らなかった。気をつけよう。ちなみにマキちゃんは、最下位ばかりだった。意外なことにこのゲームは初見だったらしくまったくといっていいほど出来なかった。道を外しまくり、時に逆走し、すべての罠にかかるパーフェクトぶり。
「私、もう少しだけさっきのゲームがしたいです」
マキちゃんがそう言うと、ナミがにやりとしたあとわざとらしいあくびをしだした。
「ふぁぁ、じゃあ私先に寝るね。おやすみ」
いや、まて。マキちゃんを置いていくつもりか?
ナミは容赦なく自室へと戻っていく。とたんに二人きりだ。
ドッドッドと早鐘のように心臓がなる。
パジャマなマキちゃんと二人きり。
「ん?」
スンスンと鼻を動かした。甘い花のような香りがしたからだ。
「マキちゃん、何かつけてる?」
いつものマキちゃんとは違う香りに俺はドキドキする。
するとマキちゃんがすっと髪をかけあげた。
「千夏さんから、プレゼントって」
髪をおろすとふわりとさっきより強く香りがこちらまできた。
「へー、香水?」
「うん、これなんだけど」
マキちゃんが持っている小瓶を見る。ピンク色の液体がちゃぷんと揺れる。そしておそらく、その小瓶が入っていたであろう箱もそっと出してきた。ラベルに何かすごい事がかいてないか?
「あ、あのーマキちゃん?」
「千夏さんが樹君へのプレゼントにってなぜか私に」
フェロモンバッチリ、男の子もイチコロ。
母さん? 母さんっ!?
父さんに続き母さんまでも押してくるなー!! 俺は、俺は!
「……樹君」
どうする? 父さんの部屋に今から行く? むりむり。
「私、変ですか?」
「……へ? 変?」
声が上擦る。
「女の子の方が期待するなんて……その……」
「うーわーわー」
俺の理性よ、持ってくれ。
すぐそこまで迫ってくるマキちゃん。だけど、だけど!
理性が崖の上に追いやられていく。飛び込むか? 下は真っ青な大海――。
ちゅっ
俺はマキちゃんの唇にキスをする。そのままぎゅっと抱きしめた。
「俺、その……もうちょっと男らしくなったらマキちゃんにもう一度告白するから、待っててよ」
「ぇ……」
「だって、なんだか、流れのまま付き合いだしただろ。俺、全然カッコよくなかったし、情けないんだ」
「あの…………、そうですか」
「だから、今はこれでがま……ん、んぅ」
俺は彼女に逆襲された。かなり勢いよく俺の唇は奪われる。
あぁぁぁ、俺の理性ーー!! 無事か! 大丈夫か! 生きろーーー。海が、目の前でよんでるぅぅ。
「これでガマンします」
俺が解放されたのは、理性ぎりぎり致命傷だった。
セーフ。セーフ?
「ミツキちゃん!」
「なんだにゃ!!」
「体が曲がってるよ! コーナーの度に」
「面白すぎー」
今日は前半めっちゃモン、後半は毬カートだ。毬カートとは、毬の車輪で走りまわるカーレースゲームだ。他機種の時からやりこんでいる長寿ゲームだが飽きない面白さがある。配管工? 何のことだい?
「お兄、手加減なさすぎ」
配信が終わった後、ナミが転がっていた。腹を抱えて。
「笑いすぎて全然集中出来ないし! ずるいよー」
「ふ、俺はいつだって全力だ。これもまた戦略だ!」
嘘だ。体が動くなんて知らなかった。気をつけよう。ちなみにマキちゃんは、最下位ばかりだった。意外なことにこのゲームは初見だったらしくまったくといっていいほど出来なかった。道を外しまくり、時に逆走し、すべての罠にかかるパーフェクトぶり。
「私、もう少しだけさっきのゲームがしたいです」
マキちゃんがそう言うと、ナミがにやりとしたあとわざとらしいあくびをしだした。
「ふぁぁ、じゃあ私先に寝るね。おやすみ」
いや、まて。マキちゃんを置いていくつもりか?
ナミは容赦なく自室へと戻っていく。とたんに二人きりだ。
ドッドッドと早鐘のように心臓がなる。
パジャマなマキちゃんと二人きり。
「ん?」
スンスンと鼻を動かした。甘い花のような香りがしたからだ。
「マキちゃん、何かつけてる?」
いつものマキちゃんとは違う香りに俺はドキドキする。
するとマキちゃんがすっと髪をかけあげた。
「千夏さんから、プレゼントって」
髪をおろすとふわりとさっきより強く香りがこちらまできた。
「へー、香水?」
「うん、これなんだけど」
マキちゃんが持っている小瓶を見る。ピンク色の液体がちゃぷんと揺れる。そしておそらく、その小瓶が入っていたであろう箱もそっと出してきた。ラベルに何かすごい事がかいてないか?
「あ、あのーマキちゃん?」
「千夏さんが樹君へのプレゼントにってなぜか私に」
フェロモンバッチリ、男の子もイチコロ。
母さん? 母さんっ!?
父さんに続き母さんまでも押してくるなー!! 俺は、俺は!
「……樹君」
どうする? 父さんの部屋に今から行く? むりむり。
「私、変ですか?」
「……へ? 変?」
声が上擦る。
「女の子の方が期待するなんて……その……」
「うーわーわー」
俺の理性よ、持ってくれ。
すぐそこまで迫ってくるマキちゃん。だけど、だけど!
理性が崖の上に追いやられていく。飛び込むか? 下は真っ青な大海――。
ちゅっ
俺はマキちゃんの唇にキスをする。そのままぎゅっと抱きしめた。
「俺、その……もうちょっと男らしくなったらマキちゃんにもう一度告白するから、待っててよ」
「ぇ……」
「だって、なんだか、流れのまま付き合いだしただろ。俺、全然カッコよくなかったし、情けないんだ」
「あの…………、そうですか」
「だから、今はこれでがま……ん、んぅ」
俺は彼女に逆襲された。かなり勢いよく俺の唇は奪われる。
あぁぁぁ、俺の理性ーー!! 無事か! 大丈夫か! 生きろーーー。海が、目の前でよんでるぅぅ。
「これでガマンします」
俺が解放されたのは、理性ぎりぎり致命傷だった。
セーフ。セーフ?
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