Vの世界で理想の美少女やってたら、幼なじみに見られた……俺。

花月夜れん

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今回の件は色々怖かった私(マキ視点)

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 もう、もう、もうーー!!
 今頃むこうでは樹君とマリヤが話しているかもしれない。話すだけじゃなくてくっついたり、まさか抱きついたり!?
 同じ学校ってだけで羨ましいのに、同じクラスなんて。
 従兄弟いとこがうちにやってきたのは複雑な事情があったからだって知ってる。うちは一人っ子だから部屋が余ってるし、何より――あれだから。だけどさ、樹君と一緒に学校で勉強できるなんて羨ましいよぉ!

「今頃、樹君何してるんだろう」

 私はナミにぼそりと問いかけた。
 教室の中はざわざわしてる。休憩時間中だから当たり前だけど。あちこちに目を走らせると寝てたり、おしゃべりしてたり、スマホをさわってたり、人それぞれだ。

「さー? お兄だから寝てるかダベってるくらいしかおもいつかないなー。あ、あとはゲーム攻略かな」
「うぅ、そこは私の事を考えてるんじゃない? って答えて欲しかったです」
「あっはっは、ないでしょー。お兄の頭の中マキほど好き好きが占めてないよ。たぶん」

 あははと笑いながらナミの兄、樹君の事をわかってると言わんばかりに彼女は言う。
 ほんと兄妹っていいなー。私も樹君の事もっと知りたいよ。
 樹君の頭の中も私くらい、いっぱいになって欲しいな。

「あ、でもそうだ。今日さ、お兄が」
「はい?」
「マキちゃんと二人で会いたいってぼやいてたよー」

 年上の樹君に釣り合うように、彼がいる時は取り乱さないよう冷静にしている私だけど――。

「……そうなの?」

 真っ赤になるのが自分でもわかるくらいに顔が熱かった。

「そろそろ連絡がくるんじゃない?」
「ふぇっ」

 ちょうどスマホが震えた。そして同時に授業のチャイムがなる。
 あぁぁぁぁぁぁ! 気になります。気になります!! なのに見られないなんて、いったいなんて送ってきてるんですかー!!

 ◇

 はぁ、まったく樹君今日も可愛かったー。
 たまにカッコよくなるけど圧倒的に可愛いが多い彼。でも私はそんな彼が好き。むしろ可愛いだけでもいいんですが……。
 それにしても、今回のは少し危機感を持って欲しいです。犯人は捕まったかもしれませんが、新しい敵を増やしてないか心配です。
 樹君、めちゃくちゃ可愛いんだから、男の子でもかまわないって人があらわれたらどうするんですか。
 樹君からもらった、猫ぬいぐるみ(めっちゃモン仕様)を抱きしめ私はぎゅっと心に決める。
 可愛い樹君は私が守ります!!
 そんな風に思っていた。

 彼が私の為にカッコよくなろうとしてくれているとは知らずに……。
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