Vの世界で理想の美少女やってたら、幼なじみに見られた……俺。

花月夜れん

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帰りついた俺

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「お疲れ様」
「バイバーイ」
「樹君、荷物ありがとう」

 さすがに両手に花はショッピングモール内で終わってしまった。だけど、マキちゃんと一日一緒にいられて、たくさんのおしゃれな服を見れて充実した日だった。圭さんがきてたらこうはならなかっただろう。ありがとう、由香さん。ありがとうマサユキ。
 途中なぜかマサユキと連絡先を交換させられたけど。

「おやすみ、それじゃあ」

 あれ? 今から圭さんに報告でもするのか?
 マリヤとマサユキもマキちゃんと一緒に家に入っていく。
 なら今日の夜はマキちゃんは、Vの世界にはこないのかな。
 二人きりで会いたかったなーと思いつつ、俺は自分の家に戻った。

「おかえり、お兄。ねね、今日どうだった? どうだった?」

 妹のナミがぐいぐいとくる。口にハンバーグのソースらしきものがついてるぞ。

「はい、これ。お土産。頼まれてたヤツと、マリヤさん、マサユキの二人からだとさ」
「わーーーー! ありがとー!」
「あ、今日は配信は」
「え、無理でしょ? 知ってるー。お兄は夜するの?」
「あ、やっぱりだよな」

 ナミがチームケモらぶの連絡窓口になってしまっている気がする。マキちゃんから直接聞いてもいいのになぁ。メッセージではだいたい俺からだ。もう少し、マキちゃんからも欲しいなと思う。うーん、欲張りになってしまったなぁ。

「夜は気が向けばだな」
「そっかぁ、じゃあまた明日以降だねー。連絡しとく」
「あ、あぁ」

 変な意地はらずに自分から連絡したほうがいいか? ナミにばかり頼ってるから、マキちゃんも――。
 よし!

「ごめん、ナミ。俺が連絡する」

 俺が言うとナミはにやりと笑った。

「いいけど、私にも教えてよね。あ、そうか」

 ナミは思い出したように手を叩いた。

「グループはマキに悪いからよんでなかったけど、今度確認しておっけーだったら招待するね」

 あ、そうか。連絡グループ、あるよな。全然その機能は使ったことないけど。って、まて! そのグループって。

「入ったら男一人とかじゃね?」
「そうだよー」
「いや、入らない方がよくないか?」
「まあまあ、なんだったら別グループ作ってもいいけど」
「それはそれで……」

 軽く笑いながら紙袋をがざがさとあさるナミ。そしてお目当てのものを見つけたのだろう。口と目が嬉しそうに弓なりに曲がった。

「それじゃあ、マキによろしく」
「あ、あぁ」

 袋を抱えてナミは引っ込み、入れ替わりで母、千夏が出てくる。

「おかえり、樹君。それで、少し聞きたいんだけど」
「何? 母さん」
「まあ、手を洗ってきなさい。お茶入れておくから」
「うん、わかった」

 俺はようやく靴を脱ぎ、家に上がった。
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