Vの世界で理想の美少女やってたら、幼なじみに見られた……俺。

花月夜れん

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パジャマ姿を拝見させてもらう俺

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「こんばんわー」

 俺は父さんが仕事場でもらったという大量の土産菓子をマキちゃんの家に持っていく。
 本当はナミにお願いするつもりだったらしいが、何かで忙しいらしく俺にお鉢が回ってきた。

「あらあらあら、こんばんわ樹君。マキー! マキー!」

 え、なんでマキちゃんを呼ぶんですか!?

「何? お母さん……」

 マキちゃんは可愛いパジャマ姿だった。お風呂上がりなのか少し顔が赤い。

「……樹君」

 驚いたように手で口をおさえていた。

「あ、マキちゃんこんばんわ」
「お母さん、――」

 パジャマだったのが恥ずかしかったのだろうか、マキちゃんがすすすーっとドアの向こうに消えていく。
 あぁ、もうちょっと見ていたかった。ふわふわしてそうな生地のゆったりパジャマを着ているのに、女の子のラインはしっかりわかって、とても可愛かった。抱きつきたい。

「可愛いでしょ。私が買ってきたパジャマなのー。もし必要ならお揃いの男物もあったから、千夏ちゃんに教えておくわー」
「あ、あはは」

 川井と遠坂、母さん同士仲がいい。なので、いろいろと筒抜けになっていそうだ。

「え、イツキ君が来てるの?」

 嬉しそうな声が聞こえてきた。あれ、この声。

「イツキ君ー、マリヤにお土産はー?」

 銀色の髪の女の子がマキちゃんの消えたドアから顔を覗かせる。

「ごめん、これ父さんの会社のお土産だから、マリヤさんの分はないんだ」
「じゃあ皆で食べましょう。ほら、樹君もおいでなさいな。千夏ちゃんには連絡しとくから」
「あ、えっと、あのーーーーー、由香ゆかさんー?」

 マキちゃん母、由香さんとマリヤにぐいぐい押されて俺は家にあがってしまった。

「やぁ、こんばんは、樹君。久しぶりだね」
「あ、こんばんわ。けいさん。お久しぶりです」

 あまり顔を合わせないマキちゃん父、川井圭かわいけいがソファーに座って携帯ゲーム機のボタンを必死に連打していた。何かのゲーム中かな。テレビに映るゲームを見ようと視線を動かすと少し前にみたあの男がいた。

「あれ?」

 圭さんの横でぺこりと頭を下げたのはマサユキ。なんだ、マリヤと一緒に遊びにきてたのかな?
 マキちゃんはむーっとしながらクッションを抱えている。二人ともその手にゲーム機を持ちながら。

「パーティーゲームですか」
「そうそう。いまやってたんだよねー。皆ですごろく」

 ボタンを連打しながら圭さんがこちらを見てニコニコしている。それ、ボタン壊れませんか?
 それに、連打している意味ってあるんでしょうか? どう見ても今圭さんの番ではないよね?

「イツキ君もやろうよー」

 マリヤが俺にくっつくと、心なしか圭さんのボタン連打は落ち着いたが、今度はマキちゃんとマサユキが連打しだした。いまは圭さんの番だった。
 な、何が起こっているんだ……。俺にはまったくわからないっ。

「はーい、お茶よー」

 きれいにお皿に盛り付けられたお菓子と紅茶をテーブルに並べていく由香さんだけが通常運転であった。
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