Vの世界で理想の美少女やってたら、幼なじみに見られた……俺。

花月夜れん

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クリスマス、五才のおれとわたし(12月特別SS)

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「おれ、クリスマスプレゼント狼がいい」
「えっと、樹君? 狼って、絵本に出てくるこわーいあの?」
「ママ何言ってるんだよ。狼めちゃくちゃカッコいいじゃないか! 父さんがパソコンで飼ってたんだ! なんか上に乗れるくらいでっかいんだぜ。あれ、おれも欲しい!」
「あーー……」

 ママは顔で笑いながらどうしようかなーと考えていた。おれは知ってる。おれが寝てる時に二人で並んでげぇむしているんだ。おれだってもう五才。げぇむくらい出来る。父さんの持ってる黒いがちゃがちゃなるやつでぐりぐりしてぼたんを押せばいいんだ。

「樹君がもう少し大きくなってからね。サンタさんきっともう樹君が好きな赤い電車用意してくれてるから遅いんじゃないかな。ほら、手紙書いてたでしょ?」
「あ、そうだった」

 おれ、そういえばもうサンタに手紙書いて渡して貰ったんだった。

「じゃあ、追加で!」

 ママが困ったように笑う。

「だめよー。樹君。サンタさんに二個も貰ったら他の誰かが貰えなくなっちゃう」
「!!」

 それはかわいそうだ。おれのせいで貰えない子が出来るなんて駄目だな。
 おれはこくりと顔を前にふる。

「わかった!!」

 でもいつかあのカッコいい狼と一緒に冒険の旅に出たいな!!

 ◇

「おにぃ、電車もらった。なみはこれ」

 お友達のなみちゃんが背中をむける。うさぎのりゅっくがこんにちわってしてた。

「かわいー。マキはね、パパと一緒にもらったの。お買い物したり出来るの」

 わたしだけのプレゼントじゃなくてサンタさんにちょっと怒った。だってパパばっかりもらったおもちゃで遊んでるんだもの。一緒にやろうって抱っこされるけどわたしにはむずかしすぎてわかんない。
 今度はなみちゃんみたいなどうぶつのぬいぐるみがいいなぁ。サンタさんにお手紙書かなくちゃ。でもお手紙ってむずかしい。わたしの描いた絵でサンタさんわかってくれるかなぁ。
 次のクリスマス、前の日にママから折り紙を貰う。サンタさんへのお手紙にと裏に絵を描く。クレヨンを持ちながらわたしは少し考えて真っ白な猫ちゃんを描いた。
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