Vの世界で理想の美少女やってたら、幼なじみに見られた……俺。

花月夜れん

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思ってもみなかった俺

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 ぷるっと柔らかい感触が唇から離れていく。

「マサキですよ」

 離れたあと、にこりと笑う、彼女。

「マサキ……」
「はい」

 これは、俺がミツキとして、マキちゃんのアバター名で呼べって事か……?

「私は、マサキと一緒にいたいにゃ。まだ、好きかどうかわからないけど……わぷっ」

 ぎゅっと抱き締められる。画面上はイケメンマキちゃんに抱き締められる可愛い女の子の図。現実は、座ってた俺の顔に胸を当てて抱きしめてくる可愛い女の子マキちゃん

「好きにさせてみせるよ。ぜったい」

 俺は男の子に戻れないくらい、画面上イケメンな女の子からのめちゃくちゃカッコいい告白にくらりとしていたのだった。
 好きだって思ったら、男らしく俺から、告白するはずだったのに……。

 ◇

「さすがに一週間はきいた?」
「あれは、やはりお前の仕業しわざか、ナミ」
「いやぁ、お兄達、はやくくっつけたかったんだよね。それなら一回離れて焦らしぷれ……あっ……」

 いつものナミのミスにより、またよく見るローディング画面に飛ばされる。
 あれから、マキちゃんと付き合いだした俺はゲーム部配信の度に、完璧に女の子になっている。男らしさをみせようとするといつもマキちゃんに先手を打たれて阻止されてしまうのだ。

「可愛いお兄と、格好いいマキならベストカップルっしょ?」
「男の沽券こけんがだな……」
「そんなの樹君にもミツキちゃんにも必要ないよ。可愛いんだから」

 さらりとそんな事を言ってくる、俺の彼女。

「私が好きなのはありのままの樹君だからね」

 今日も、そう言ってにこりと笑う、とてもイケメンな可愛い格好いい、マキちゃん。
 俺が男を取り戻すことは――、もう少しだけかかりそうだ。

「それじゃあ、配信始めようか!」
「はーい」
「おっけ」

 ナミが配信スイッチに指を伸ばす。

 ぽちり

「「「チームけもラブのゲーム配信、はっじまるよー☆」」」

 理想の美少女やってたら、まさかこんなことになるなんて、思ってもみなかったな。
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