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三つの国

三人の歌声

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「もっと色々教えてあげたいけど、ロウが危ない。だから、手伝ってあげるね」
「スズ?」
「今からもとの場所に戻る。すぐにその角を持って穴を開けて」
「どういうこと?」
「大丈夫、あなたはあなたよ」

 まぶしい光が手の中に集まる。

「私と代わってくれてありがとう。それと、ごめんね」

 スズの声が小さくなる。

「待って、まだ聞きたいことが……」

 ◇

「すずめ! すずめ!?」
「ヨウ!」

 声が出た。私は手のひらにのっている角をそっと撫でて、スズの言ったことを行った。

「開け、次元の扉。私は願う、かの地よりここに連れてこい」

 あ、待ってよ。それって大丈夫?
 もう魔法が発動しているのに、冷静に自分にツッコんでしまう。

「すず!」
「すずめ!」
「すずちゃん」

 イソラにリーン、結愛とクラン、それに麻美が私の前に立っていた。

「ちょっとこれどういうこと?」
「なんだかよくわかりませんがピンチみたいですわね!」
「すずちゃん、大丈夫?」

 パチンパチンとリーンが指を鳴らすと三人の角の姿が現れる。違う、五人……。

「イソラ君クラン君はヨウ君と守りを固めて、麻美君、結愛君は鈴芽君と」
「「はい!」」
「了解」
「おっけ」
  
 結愛と麻美が私の横に立つ。

「いくよ!」
「ゆあちゃん、あみちゃん、その角」
「詳しくはあとで」
「すずちゃん、一緒に歌おう」
「うん!」

 三人で手を繋いで私達は歌う。
 こんな状況だけど、三人で歌うのはすごく楽しい。
 少しすると、攻撃をしてきていた魔人達が手を止めて、膝をついていく。

「これは……」

 ズハリまでも膝をつき、頭を下げる。

女王クイーンの声だ……」
「え?」

 歌が終わると私達を攻撃してくる人達は誰もいなくなった。

「そうか、今回の女は恐怖を感じないわけだ。まさか、女王の声とは」
「父さん、この声やっぱり」
「あぁ、聴いてしまえば従うようになる。苦手どころではないな」
「あの……」

 女王クイーンってさっきスズに聞いた、魔王の角の虫。

「魔王の角を持つ者だけが発する事が出来る音。魔王が絶対である魔法だ。魔人はこの音を発する者を王と認め従う。神と名乗る者は、まさかこんな手に出るとは……」

 もしかして、私達がこの戦いを終わらせることが出来る? この歌で、仲直りを……。

「認めませんわ!!」

 フェレリーフが叫ぶ。

わたくしの主がその女なんて、絶対に認めません! だって、その女は」

 麻美を指差しながらフェレリーフは唇を噛みながら続ける。

「私の飼っていた角持ちなのだから! 私が主よ! そうよ、私が王になるんですから!」
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