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魔法の学園
再依頼
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結愛が出発した次の日は学園がお休みでイソラが依頼をするわよと持って帰っていた。学園の外の依頼だった。朝から用意を始める。なぜかイソラから髪型を変えるよう指示され、伊達眼鏡と化粧までされてしまった。
「すず、ボクはいつでもいけるからな」
着替えてドアの外のヨウを見た。学園の時と違う赤い髪のヨウだ。前の依頼の時からだけどヨウの角にはまる金輪の色が金色から銀色に変わった。テトが新しく付け替えたものだ。前回と違い、半分くらいに抑えられてはいるけれど、ある程度魔法が使えるようになった。「これですずが守れる」って喜んでた。
「ヨウ、……ツノ」
「あ、そうだった」
魔法で角を見えなくするとヨウは手を引っ張っていく。
「用意はいい? すず」
「うん」
三人で依頼のあった場所に向かった。ちょっと驚いたのはイソラがシロツノの方の姿だった。角は見えなかったけど。
「今日の依頼は少し危険かもしれないから」
イソラは銀の目をゆっくり瞬きさせてそう言った。
◇
「あれ? ここは」
前の依頼の時にきた場所だった。
「また同じ依頼がきたの。ただ今回はターゲットが違うと私は思っているの」
「え?」
依頼者に話を聞きに行くとイソラは一人、家に入っていった。前回と同じ家。
少しして、イソラが戻ってくる。
「はぁ、やっぱり少し怪しい」
「どうかしたの?」
「前回と同じ人を、と頼んだはずだと言って聞かないの」
「え? でも同じ――、ってイソラがその姿じゃ」
「そう。だけど、あれくらいの依頼なら他の人でも問題ないと思わない? まだあの依頼から日がたってないから怪我人だっていると思えないし」
「え、でももう増えてたとかは?」
「ないの。あの死体をね……調べたんだけど」
ヨウが小さく言葉を紡いだ。牢から出た時の魔法だ。
「すず、少し移動した方がいいかも」
「ヨウ?」
「そうね、一本向こうに出ましょう」
三人で移動し始めるとすぐ後ろでキョロキョロする人が見えた。
「ターゲットがすずの可能性がある」
「そういうこと」
「え? 私?」
ゆっくりと歩きながら私達はそこから距離をとった。
◆
速度上昇の魔法がかけられた馬が駆ける。今回は数人だけなので大きな馬車はない。
「ユア、大丈夫か?」
「大丈夫」
テトは自分の前に座る結愛を気遣いながらファイスヴェードに向かう。後ろにいる男の事を考えないようにしながら。
「これなら前よりはやくつきますね」
「あぁ、きつかったらいつでも言ってくれ。休憩する」
「――それよりも」
「ん?」
「いえ、大丈夫です」
結愛は後ろをちらちらと伺っていた。テトはそれを見ないようにしてまっすぐ前だけを向いた。
「すず、ボクはいつでもいけるからな」
着替えてドアの外のヨウを見た。学園の時と違う赤い髪のヨウだ。前の依頼の時からだけどヨウの角にはまる金輪の色が金色から銀色に変わった。テトが新しく付け替えたものだ。前回と違い、半分くらいに抑えられてはいるけれど、ある程度魔法が使えるようになった。「これですずが守れる」って喜んでた。
「ヨウ、……ツノ」
「あ、そうだった」
魔法で角を見えなくするとヨウは手を引っ張っていく。
「用意はいい? すず」
「うん」
三人で依頼のあった場所に向かった。ちょっと驚いたのはイソラがシロツノの方の姿だった。角は見えなかったけど。
「今日の依頼は少し危険かもしれないから」
イソラは銀の目をゆっくり瞬きさせてそう言った。
◇
「あれ? ここは」
前の依頼の時にきた場所だった。
「また同じ依頼がきたの。ただ今回はターゲットが違うと私は思っているの」
「え?」
依頼者に話を聞きに行くとイソラは一人、家に入っていった。前回と同じ家。
少しして、イソラが戻ってくる。
「はぁ、やっぱり少し怪しい」
「どうかしたの?」
「前回と同じ人を、と頼んだはずだと言って聞かないの」
「え? でも同じ――、ってイソラがその姿じゃ」
「そう。だけど、あれくらいの依頼なら他の人でも問題ないと思わない? まだあの依頼から日がたってないから怪我人だっていると思えないし」
「え、でももう増えてたとかは?」
「ないの。あの死体をね……調べたんだけど」
ヨウが小さく言葉を紡いだ。牢から出た時の魔法だ。
「すず、少し移動した方がいいかも」
「ヨウ?」
「そうね、一本向こうに出ましょう」
三人で移動し始めるとすぐ後ろでキョロキョロする人が見えた。
「ターゲットがすずの可能性がある」
「そういうこと」
「え? 私?」
ゆっくりと歩きながら私達はそこから距離をとった。
◆
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「ユア、大丈夫か?」
「大丈夫」
テトは自分の前に座る結愛を気遣いながらファイスヴェードに向かう。後ろにいる男の事を考えないようにしながら。
「これなら前よりはやくつきますね」
「あぁ、きつかったらいつでも言ってくれ。休憩する」
「――それよりも」
「ん?」
「いえ、大丈夫です」
結愛は後ろをちらちらと伺っていた。テトはそれを見ないようにしてまっすぐ前だけを向いた。
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