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魔法の学園

見せて?

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 結論から言うと、私は魔法の「ま」も出来なかった。
 結愛の為に用意された授業。結愛の為のオンステージ。
 私はただそれをじっと眺めていた。

「はぁ、あんなことが出来るようになるのかな?」

 結愛は次々に魔法という現象を起こした。信じられないくらいに自然に魔法を使っていた。
 結愛が口ずさむ言葉を真似て、自分の手のひらをじっと見つめるが何も変わらない。
 やっぱり、私には何もないんだと自覚させられてしまう。

「まったく、露骨すぎて嫌になりますわね」
「え?」
「気がついているのでしょう? すずとあの方との扱いの差を――」
「……うん」

 私は正直にイソラに話す。

「私は、ゆあちゃんと違ってまだ魔法とか使えるかどうかがわかってないんだ。だから、やっぱり出来る事がわかってる人の方が優先されるよね」

 私が笑うと、イソラは不機嫌そうな表情を浮かべ、私の頬を引き伸ばした。

「あら、いがいと気持ちいい。では、なくてですね! 悔しくはありませんの?!」
「あひょ、ふぉういふぁふぇふぁしふぇふぉ(あの、そう言われましても)」

 すぐ離されたあと、今度は両肩を掴まれる。

「私が師匠になってあげます! 寮にいらっしゃい」
「え?」
「寮にいらっしゃいと言いました」
「えっと?」
「私の相部屋の相手が今ちょうどいませんの! 私が一室払っていますのでおきになさらず。弟子の面倒は師匠がみるものですよね」
「あの……」
「そうと決まれば早速、学園長に報告に行って手続きしませんと」
「あのぉ…………」

 私の意見がまるっと無視されながら、話がどんどんと進んでいって、引きずられるように学園長リーンの部屋に連れていかれ、流れるようにイソラはリーンに承認を取り付けて、流されるまま私はイソラの言う寮に連れて行かれた。

「イソラ、私、一応お部屋を借りているんだけど」
「大丈夫ですわ。メイドはこちらに来てもらえるようにしましたし、いつでもむこうに戻って大丈夫です! 二つ部屋があると思えば良いだけですよ」

 出会ったばかりの私にこんなに色々してくれて、イソラはいったい何を考えているんだろう。
 でも、学園長の部屋に直接入っていったし、もしかして、イソラはすごい人だったりするのかな……。聞いたら教えてくれるのかな。
 あ、でも待って。相部屋とか、色々駄目なんじゃないかな。
 下にいるヨウを抱えあげて、私は困り果てていた。

「ここが私達の部屋。あ、それと」

 キョロキョロしながら中に押し込められると、イソラは後ろ手でドアを閉める。
 その顔がとても笑っている。

「――クロツノ君のお部屋もあるから安心してね」
「え?!」

 ヨウはびっくりしたようで、目がまんまるになってる。私だって驚いてしまう。だって、魔人って嫌われているんだよね。

「ねぇ、魔法をといて見せて?」

 じぃっと腕の中にいるヨウを見るイソラの目は好奇心で光輝いていた。
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