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魔法の学園
イソラ
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教室に入り、紹介されて、椅子に座らせられる。結愛とは少し離れた場所。くるりと教室を眺める。まるで、普通の学校だ。
最初の授業は、この国の歴史の話みたいで、よく分からない単語がポロポロと耳を通りすぎていった。
しょうがないよね、この世界の住人じゃないし。そう思っていたのに、結愛は熱心にノートみたいなものを空中に呼び出して書き写していた。
他の生徒達もやっていたけれど、どうすればいいのか分からなくて、私はおろおろするだけだった。
「分からないの?」
隣に座る女の子が、こっそり聞いてくれる。
私はこくこくと頷くと、その子がとんとんと机を指でつついた。
「ここに刻印があるでしょう?」
見ると、私の席にも小さく文字が刻まれている。
「ここに指を当てて、ヒッキって唱えればいいのよ」
「ひっき?」
やってみるとふわりと皆と同じ物が出てくる。
「ありがとう」
私が感謝を伝えると、その子はどういたしましてと緑色の瞳でじっとこちらを見ながら笑った。金色の髪がとても大人びて見えた。
「同じ日に来たのに、あなたは説明がされていないようですね。失礼ですわ」
少し怒りながら、結愛に視線を向けていた。
あっちは、本物の聖女だし、頑張ってもらわないといけないから、本当に聖女になるかわからない私にかまってなんていられないよね。
そう思いながら、怒ってくれた彼女にあとで名前を聞こうと心の中で決めた。
◇
「あの、お名前をうかがってもいいですか?」
「はい?」
驚く彼女にもう一度伝える。
「名前を聞きたいです。私と友達になってもらえませんか?」
「あ、えっと、私はイソラ。イソラ・ホト・ナヴィージです。あなたは?」
「すずってよく言われます。空野鈴芽。スズメが名前」
「変わった名前ですね。あぁ、昨日噂が広がっていた、異世界の――」
私がこくこくと頷くと、イソラはまた結愛に視線を向ける。結愛のまわりにはたくさんの人が集まっていた。
「テト様のお気に入りはあちらですか」
ぽそりと彼女の言った言葉が、ずきりと胸に刺さる。イソラはゆっくりと髪をかきあげると、鼻を鳴らしながら私に向かう。
「すずでよろしくて? 私のこともイソラと呼んでもらって構わないわ」
彼女の発した言葉はとても力強く感じた。
「うん、よろしくイソラ。わからないことがあったら教えてもらっていいかな?」
「もちろん構いませんわ。私、教えるの大好きですから任せて下さいな」
初日から、とてもいい人に出会えて良かった。結愛は、囲んでいた人達が次々と入れ替わり立ち替わりしながら、次の教室へと連れていかれたようだった。
「すず、魔法の授業も初めてですか?」
「はい」
「なら、色々教えてあげますわね」
イソラは指を刻印に当てながら、シュウと唱えていたので私も真似をして唱えると、出ていたノートが消えた。
「素質は大丈夫そうですわね」
「え?」
「この装置を起動させるのも魔法の力が必要ですから」
「そうなんだ」
「居眠りするとバレバレなんですよ。魔力供給が断たれるので消えてしまいますから」
「え? 眠ると駄目なの?」
「そうですね、一瞬なら問題ないでしょうけれど、完全に意識がなくなったらとか……」
つまり、今朝の事件は、私が寝たから起きたということなのかな。仕組みが同じものだったなら、きっとそうだ。
つまり、寝ると魔法がとける。相部屋を選択した計画の破綻……。でも、結愛の部屋じゃなくて良かった。よく知らない男の子と同じベッドなんて、駄目だよね。
もしかして、これがわかってたからクナは慌ててたのかもしれないな。教えて欲しかった……。
「すず、行きましょう。もう皆移動しましたよ」
「あ、ごめんなさい」
イソラの後を追いかけながら、今日の夜からはどうしようと考えていた。
最初の授業は、この国の歴史の話みたいで、よく分からない単語がポロポロと耳を通りすぎていった。
しょうがないよね、この世界の住人じゃないし。そう思っていたのに、結愛は熱心にノートみたいなものを空中に呼び出して書き写していた。
他の生徒達もやっていたけれど、どうすればいいのか分からなくて、私はおろおろするだけだった。
「分からないの?」
隣に座る女の子が、こっそり聞いてくれる。
私はこくこくと頷くと、その子がとんとんと机を指でつついた。
「ここに刻印があるでしょう?」
見ると、私の席にも小さく文字が刻まれている。
「ここに指を当てて、ヒッキって唱えればいいのよ」
「ひっき?」
やってみるとふわりと皆と同じ物が出てくる。
「ありがとう」
私が感謝を伝えると、その子はどういたしましてと緑色の瞳でじっとこちらを見ながら笑った。金色の髪がとても大人びて見えた。
「同じ日に来たのに、あなたは説明がされていないようですね。失礼ですわ」
少し怒りながら、結愛に視線を向けていた。
あっちは、本物の聖女だし、頑張ってもらわないといけないから、本当に聖女になるかわからない私にかまってなんていられないよね。
そう思いながら、怒ってくれた彼女にあとで名前を聞こうと心の中で決めた。
◇
「あの、お名前をうかがってもいいですか?」
「はい?」
驚く彼女にもう一度伝える。
「名前を聞きたいです。私と友達になってもらえませんか?」
「あ、えっと、私はイソラ。イソラ・ホト・ナヴィージです。あなたは?」
「すずってよく言われます。空野鈴芽。スズメが名前」
「変わった名前ですね。あぁ、昨日噂が広がっていた、異世界の――」
私がこくこくと頷くと、イソラはまた結愛に視線を向ける。結愛のまわりにはたくさんの人が集まっていた。
「テト様のお気に入りはあちらですか」
ぽそりと彼女の言った言葉が、ずきりと胸に刺さる。イソラはゆっくりと髪をかきあげると、鼻を鳴らしながら私に向かう。
「すずでよろしくて? 私のこともイソラと呼んでもらって構わないわ」
彼女の発した言葉はとても力強く感じた。
「うん、よろしくイソラ。わからないことがあったら教えてもらっていいかな?」
「もちろん構いませんわ。私、教えるの大好きですから任せて下さいな」
初日から、とてもいい人に出会えて良かった。結愛は、囲んでいた人達が次々と入れ替わり立ち替わりしながら、次の教室へと連れていかれたようだった。
「すず、魔法の授業も初めてですか?」
「はい」
「なら、色々教えてあげますわね」
イソラは指を刻印に当てながら、シュウと唱えていたので私も真似をして唱えると、出ていたノートが消えた。
「素質は大丈夫そうですわね」
「え?」
「この装置を起動させるのも魔法の力が必要ですから」
「そうなんだ」
「居眠りするとバレバレなんですよ。魔力供給が断たれるので消えてしまいますから」
「え? 眠ると駄目なの?」
「そうですね、一瞬なら問題ないでしょうけれど、完全に意識がなくなったらとか……」
つまり、今朝の事件は、私が寝たから起きたということなのかな。仕組みが同じものだったなら、きっとそうだ。
つまり、寝ると魔法がとける。相部屋を選択した計画の破綻……。でも、結愛の部屋じゃなくて良かった。よく知らない男の子と同じベッドなんて、駄目だよね。
もしかして、これがわかってたからクナは慌ててたのかもしれないな。教えて欲しかった……。
「すず、行きましょう。もう皆移動しましたよ」
「あ、ごめんなさい」
イソラの後を追いかけながら、今日の夜からはどうしようと考えていた。
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