花月夜れん

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ゆめ ― 1

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 オニちゃんがいなくなって何度目の食べ物だろう。

 べちょり

 今日の食べ物は焦げていた。
 何度も何度も食べ物を食べていると、ゆめは成長していくみたい。身体が大きくなってる気がする。
 色々な事を聞いたり見たり嗅いだりして、知識も増えていく。そして、だんだんわかってきた。
 この食べ物がどう思っていたかとか、どうしてここにきてしまったのか。いっぱい考えると、一人でも寂しくなくなってきた。ゆめの中にたくさんのお友だちがいるから。

「あ、また落ちてる。めっだよ! かなママはここ」

 かなちゃんと何度も呼びながらここにきた食べ物の白い残った部分。積み方がよくなかったのか、下によく転がる。

「なおパパは……あれ、こっちだっけ」

 なおパパは、パパじゃないのにパパって呼ばれてた食べ物。パパって言ってるのは大人のお姉さん達。

「オニちゃん」

 もう見えないオニちゃんの白いのはお山の真ん中。
 だいぶお山が高くなってきた。
 もうすぐ会えるのかな?

 ◇

「熱い! 熱い! 助けてくれ!」

 男が足と手を縛られている。

「健君、死ぬ時は一緒だから」

 そう言った女が寄り添うように男に抱きついた。

「愛しています」
「愛してる。愛してる、君だけだから!! だから助けてくれ!!」
「もっとはやく言ってたら……」

 女は涙を流す。

「苦しまないように、私みたいに薬をいっぱい飲ませてあげたのにね」

 笑顔で彼の上にかぶさると、女はゆっくりと目を閉じた。

 ◇

 愛し合って、一緒に死んだはずなのに、別々にされてしまうんだね。
 男はどこに落ちたんだろう。そっちが落ちてきていたら、食べにくかっただろうな。だって、この食べ物は眠っているだけみたいだから。
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