花月夜れん

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塁 ― 4

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 カンカンカンとなる遮断機。バーは上にある。まだ全然余裕だ。
 オレは立ち止まった。ゆっくりとバーが下りてくる。待ち合わせ場所まで歩いて十分位。この遮断機を越えたらすぐそこだ。
 バーが完全におりた。もうすぐ電車がくるだろう。時計と電車がくる方向を確認する。
 ふと、小さな子どもが横を走り抜けていく。手を伸ばすが間に合わなかった。

「塁君!! だめぇぇっ!!」

 母親であろう女が離れた場所から悲鳴をあげる。
 電車はもう見えている。
 真ん中まで子どもは走っていって振り返った。
 オレはバーを持ち上げた。子どもを向こう側まで突き飛ばす。

 ◇

 動かなくなったお兄ちゃんを僕は食べ続ける。

「塁、オレの助けた子と同じ名前だ。縁があるのかな。もし今度生まれ変わったらさ……、会えるといいな」

 そう言って、お兄ちゃんは食べ物になった。
 生まれ変わる……。
 僕は優しいお母さんに会いたい。その為には、どうしたらいいんだろう。

「これはな、お守りなんだ。鬼が山を崩しにこないように。オレは鬼の仲間だって」

 お兄ちゃんの歯をとって僕もマネをする。ここから出るにはあのお山を完成させないと駄目なのかもしれない。そう思って。
 お兄ちゃんはちゃんと外に出られたのかな。
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