花月夜れん

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落ちてきた食べ物 ― 5

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 ◇

「お腹空いたよ、お母さん。お母さん! お願いします。僕が悪かったです。いい子になります。だから、閉めないで。閉じ込めないで。もうここからでたい。お母さん!!」

 何度も何度も叩きつけたからか手が赤くはれあがってる男の子。

「なんのにおい? ねぇ、気持ち悪いよ。お母さん、お母さん、お母さん!!」

 ぐらぐらと頭が揺れて、うえぇと唾を吐く。

「おかぁ……さ……」

 吐いたせいで涙を流す男の子はゆっくりと動かなくなった。

 ◇

「オに……ちゃんのアじ」

 最後のかけらを食べ終わる。わたしは残った白いのを教わった通りに自分のお山に積みに行く。

 べちょり

 大きな食べ物が落ちてきた音がした。
 もう少しはやかったら、もっとオニちゃんと一緒にいられたのになと思った。

「そ……ウだ」

 オニちゃんがやっていたようにと、わたしも彼の尖った白いのを引っ張る。わたしの力ではどうやら取れないみたい。

「ムずかし……」

 とれやすいものを残しておけばよかったかな。でも……。
 これでいいやと、一つ白いかけらをとった。
 頭につけたかったけど上手くいかない。もう少し大きくなったら上手く出来るようになるかな。
 それまでは横においておこう。他のとまじらないように。

「おやすみ、マたね。おニちゃん」
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