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第二章 赤の瞳と金の瞳
第126話 赤い瞳の魔女
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「エマ!? 何をっ」
ブレイドが来る前に終わらせたい。そう思うのだけれど瘴気の勢いが凄すぎて、私でも駄目かもしれない。
お腹もなんだか空いてきたし……。これはあとで倒れてしまうかも。
それでも、お父さんお母さんが大切にしているリアを守らなければと気合いを入れ直す。
もしかして、私の妹かもしれない。そんな予感がした。
だって、リアがお母さんに抱きついた時の顔、とても嬉しそうだったもの。
「リア! どこ? リアーっ!」
帰ってきて。まだあなたの事、私まだ何も知らないの――。でも、どうしてか懐かしさや会いたかったという感情が溢れてくる。
「リアっ!!」
チクリと針で刺したような痛みが腕に走る。
だけど、構わずに瘴気を浄化し続ける。ブレイドが抱きしめてきたけれど、浄化を止めるつもりはなかった。
その気持ちを汲んでくれたのか、ブレイドは少しでも私に負担がかからないようにという風に側で瘴気を食べ始めた。
やがて辺りが晴れ始める。晴れた先にリアが立っていた。
「……どうして?」
小首を傾げる彼女は、口を尖らせ不満そうだ。
「……逃げちゃった」
「リアっ!!」
駆け寄ろうとするけれど、ブレイドによってそれはとめられてしまった。
「ブレイド!? はやくリアのところに……」
「様子がおかしい」
「え? どこが?」
どう見てもリアだ。おかしいところなんてどこにも……。
「エマちゃん。こっちの方にヤバいのが……って、リアおったんか」
スピアーがもどってきたみたい。ちょうど横から姿を見せた。そして、彼はぎょっと驚きの表情を浮かべている。
「何? スピアーもリアが変だっていうの?」
「変っちゅーか、ヤバいのがって言ったやろ……」
「さっき言ってた?」
「そや。それがおんねん……。リアのところに」
「なら、余計にリアをこっちに連れてこなきゃ」
「いやいや、だからぁー」
二人揃って、私を行かせまいとする。どうして、リアのところに行っちゃだめなの?
「逃げちゃったアイツ、追いかけないとリアとブレイドとスピアーが怪我する」
リアはそういうと、くるりと向きを変えた。彼女の口は動いていない。さっきみたいに地面から声が響いてくる。
「待って、リア」
叫んだけれど、彼女がこちらを振り向く事はなかった。
リアが進みだしたように見えた。けれど、彼女の足は動いていない。
なのに、空へと駆け上がっていく。
「どうして……?」
彼女の下に突然現れたのは赤い瞳と銀白の鬣、翼、そして体をもつ竜だった。
その竜は、全身から瘴気が溢れ出ていた。
「「瘴気をばら撒く者――」」
ブレイドとスピアーがリアの背を見ながら呟いた。
赤い瞳の魔女。千年前瘴気が噴き出した日、その場所にいた赤い瞳の女。彼女は瘴気を浄化せず、むしろ生み出していたそうだ。そして瘴気の出る場所に必ず現れていたと伝えられている。
聖女アメリアが浄化しようとした瘴気の根源とされる人物――。
アメリアがいなくなったと同時に姿を見せなくなった。だけど、それからも瘴気は噴き出し続けたから伝えられる話の中で彼女はずっと生き続けている。瘴気をばら撒く者として――。
ブレイドが来る前に終わらせたい。そう思うのだけれど瘴気の勢いが凄すぎて、私でも駄目かもしれない。
お腹もなんだか空いてきたし……。これはあとで倒れてしまうかも。
それでも、お父さんお母さんが大切にしているリアを守らなければと気合いを入れ直す。
もしかして、私の妹かもしれない。そんな予感がした。
だって、リアがお母さんに抱きついた時の顔、とても嬉しそうだったもの。
「リア! どこ? リアーっ!」
帰ってきて。まだあなたの事、私まだ何も知らないの――。でも、どうしてか懐かしさや会いたかったという感情が溢れてくる。
「リアっ!!」
チクリと針で刺したような痛みが腕に走る。
だけど、構わずに瘴気を浄化し続ける。ブレイドが抱きしめてきたけれど、浄化を止めるつもりはなかった。
その気持ちを汲んでくれたのか、ブレイドは少しでも私に負担がかからないようにという風に側で瘴気を食べ始めた。
やがて辺りが晴れ始める。晴れた先にリアが立っていた。
「……どうして?」
小首を傾げる彼女は、口を尖らせ不満そうだ。
「……逃げちゃった」
「リアっ!!」
駆け寄ろうとするけれど、ブレイドによってそれはとめられてしまった。
「ブレイド!? はやくリアのところに……」
「様子がおかしい」
「え? どこが?」
どう見てもリアだ。おかしいところなんてどこにも……。
「エマちゃん。こっちの方にヤバいのが……って、リアおったんか」
スピアーがもどってきたみたい。ちょうど横から姿を見せた。そして、彼はぎょっと驚きの表情を浮かべている。
「何? スピアーもリアが変だっていうの?」
「変っちゅーか、ヤバいのがって言ったやろ……」
「さっき言ってた?」
「そや。それがおんねん……。リアのところに」
「なら、余計にリアをこっちに連れてこなきゃ」
「いやいや、だからぁー」
二人揃って、私を行かせまいとする。どうして、リアのところに行っちゃだめなの?
「逃げちゃったアイツ、追いかけないとリアとブレイドとスピアーが怪我する」
リアはそういうと、くるりと向きを変えた。彼女の口は動いていない。さっきみたいに地面から声が響いてくる。
「待って、リア」
叫んだけれど、彼女がこちらを振り向く事はなかった。
リアが進みだしたように見えた。けれど、彼女の足は動いていない。
なのに、空へと駆け上がっていく。
「どうして……?」
彼女の下に突然現れたのは赤い瞳と銀白の鬣、翼、そして体をもつ竜だった。
その竜は、全身から瘴気が溢れ出ていた。
「「瘴気をばら撒く者――」」
ブレイドとスピアーがリアの背を見ながら呟いた。
赤い瞳の魔女。千年前瘴気が噴き出した日、その場所にいた赤い瞳の女。彼女は瘴気を浄化せず、むしろ生み出していたそうだ。そして瘴気の出る場所に必ず現れていたと伝えられている。
聖女アメリアが浄化しようとした瘴気の根源とされる人物――。
アメリアがいなくなったと同時に姿を見せなくなった。だけど、それからも瘴気は噴き出し続けたから伝えられる話の中で彼女はずっと生き続けている。瘴気をばら撒く者として――。
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