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第二章 赤の瞳と金の瞳
第117話 帰り着く
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「本当に連れて帰るのか?」
「うん、あそこに置いておけないよ。もしかしたらお父さんがこの子を私に預かって欲しいのかもしれないし」
すっかり元気になったブレイドは竜の姿になって私と不思議な女の子リアを背に乗せて空を飛ぶ。飛べるということは風の魔法も使えているみたい。
リアには竜が魔法の力を回復する力があるのかもしれない。
本当に不思議な子どもだ。
「寝てる子をあそこに放っておくのも」
「そうだね。まだ近くにアイツもいるかもだったし」
「うん」
私の服にしがみついてすやすや眠るリアをしっかり抱きしめながら、景色が流れていくのを眺める。
瘴気の壁が見えてきた。
「帰ったらミリアやクロウがいたりするのかな」
「わからない。ただ壁があるかぎり入ってくる人数は限られているだろうし、今のボクなら問題なく対応出来る。それに」
「それに?」
「スピアーがあそこに残ってくれてるから」
照れくさそうにブレイドは話していた。
「今回エマの場所がわかったのもスピアーのおかげだった」
「あ、そっか……。もしかしてブローチ?」
「うん」
いつも身につけてるブローチはスピアーが魔法をいつでも使えるようにしてくれている。指輪は持ってなかったけれど、ブローチはあったからわかったんだ。
彼は嘘をつかずブレイドに私の居場所を教えて自分は留守番に回ってくれている。
損な役割なのに――。あとでお礼を言っておこう。食べられたくはないけれど、信用くらいはしてもいいのかな。
「エマを譲るつもりはないけれど、スピアーには借りを返さないと」
「そうだね」
上空に到着すると、ホッとした。
「あ、フレイルの事……、何て言おう」
「この前だって一人で飛んできたんだ。大丈夫だろう」
「そっか。そうだよね」
下からルニアの私を呼ぶ声が聞こえた。
「エマー!」
「ルニアー!」
今回は急いでいる風がなくて、どうやらミリアもクロウもきてないのと私にしか浄化できない瘴気はなかったみたいだ。
「おかえり、いたずら小僧はどこいきよったー?」
竜の姿のスピアーはそう言って、大きなあくびをしていた。
「スピアー、ありがとう。今から話すね。でも……」
「ん、でも?」
ぐぅぅぅ。
いい音がなる。
「え、違う。私じゃないから!!」
確かに私いつもこんな感じだけど今日はお母さんのご飯をしっかり食べてきたから!
「お、なんや。ちっちゃいのがおる……」
「そ、そう!! そうなの。今回のお腹の音はこの子。だから、はやく何か食べさせてあげなきゃ――」
「なんや、エマちゃんまで子どもおったんか。ますますアメリアとそっくりの境遇やな」
「じゃないから!! 私の子どもじゃないから!!」
目を丸くしてたスピアーが人の姿に変身する。近付いてくるとリアに手を伸ばした。
「くるかー?」
眠たそうにしていたけれどリアはスピアーの腕に掴まった。
スピアーはぐいっと持ち上げて肩車をしてあげていた。
「……スピアー」
リアはスピアーの名前を呼んだあと彼の頭をしっかりと持ち、嬉しそうに笑っていた。
「うん、あそこに置いておけないよ。もしかしたらお父さんがこの子を私に預かって欲しいのかもしれないし」
すっかり元気になったブレイドは竜の姿になって私と不思議な女の子リアを背に乗せて空を飛ぶ。飛べるということは風の魔法も使えているみたい。
リアには竜が魔法の力を回復する力があるのかもしれない。
本当に不思議な子どもだ。
「寝てる子をあそこに放っておくのも」
「そうだね。まだ近くにアイツもいるかもだったし」
「うん」
私の服にしがみついてすやすや眠るリアをしっかり抱きしめながら、景色が流れていくのを眺める。
瘴気の壁が見えてきた。
「帰ったらミリアやクロウがいたりするのかな」
「わからない。ただ壁があるかぎり入ってくる人数は限られているだろうし、今のボクなら問題なく対応出来る。それに」
「それに?」
「スピアーがあそこに残ってくれてるから」
照れくさそうにブレイドは話していた。
「今回エマの場所がわかったのもスピアーのおかげだった」
「あ、そっか……。もしかしてブローチ?」
「うん」
いつも身につけてるブローチはスピアーが魔法をいつでも使えるようにしてくれている。指輪は持ってなかったけれど、ブローチはあったからわかったんだ。
彼は嘘をつかずブレイドに私の居場所を教えて自分は留守番に回ってくれている。
損な役割なのに――。あとでお礼を言っておこう。食べられたくはないけれど、信用くらいはしてもいいのかな。
「エマを譲るつもりはないけれど、スピアーには借りを返さないと」
「そうだね」
上空に到着すると、ホッとした。
「あ、フレイルの事……、何て言おう」
「この前だって一人で飛んできたんだ。大丈夫だろう」
「そっか。そうだよね」
下からルニアの私を呼ぶ声が聞こえた。
「エマー!」
「ルニアー!」
今回は急いでいる風がなくて、どうやらミリアもクロウもきてないのと私にしか浄化できない瘴気はなかったみたいだ。
「おかえり、いたずら小僧はどこいきよったー?」
竜の姿のスピアーはそう言って、大きなあくびをしていた。
「スピアー、ありがとう。今から話すね。でも……」
「ん、でも?」
ぐぅぅぅ。
いい音がなる。
「え、違う。私じゃないから!!」
確かに私いつもこんな感じだけど今日はお母さんのご飯をしっかり食べてきたから!
「お、なんや。ちっちゃいのがおる……」
「そ、そう!! そうなの。今回のお腹の音はこの子。だから、はやく何か食べさせてあげなきゃ――」
「なんや、エマちゃんまで子どもおったんか。ますますアメリアとそっくりの境遇やな」
「じゃないから!! 私の子どもじゃないから!!」
目を丸くしてたスピアーが人の姿に変身する。近付いてくるとリアに手を伸ばした。
「くるかー?」
眠たそうにしていたけれどリアはスピアーの腕に掴まった。
スピアーはぐいっと持ち上げて肩車をしてあげていた。
「……スピアー」
リアはスピアーの名前を呼んだあと彼の頭をしっかりと持ち、嬉しそうに笑っていた。
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